おー。すんごく面白いじゃないか。諜報に対して冷徹であればあるほど軍部の熱狂からはじき飛ばされる「D機関」とよばれる鬼っ子のような存在。構成員たちがまるっきり人間らしくないあたりがいい。スパイにとって殺人は最悪の選択、というポリシーにもうなる。確かに、そりゃそうだよな。
D機関といえば西村京太郎の「D機関情報」が有名だけど、初期の西村はほんとによかったのにな。「殺しの双曲線」なんてみごとな本格。
柳広司のこの作品も、体裁はともかく内容はおそろしく本格ミステリなのである。“魔王”結城という首謀者が公安九課の荒巻課長とダブってダブって(笑)。
まもなく続編が刊行されるとか。長くなれば長くなるほどよくなるシリーズのような気がする。もう書店に出てるのかな?
「ダブル・ジョーカー」につづく!