事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

花火の夜2009~二尺玉

2009-08-01 | まち歩き

Sakatafw1 2008年バージョンはこちら

それでは例によって早速酒田花火ショーを特集。今年は帰るのに時間がかかったから酒田最速とはいかないだろうな

息子はガールフレンドと、妻は北海道から友だちが来たということで、娘と、娘の同級生を連れて行く。去年買った携帯パイプ椅子が3脚だからちょうどいい。

例によって酒田南ジャスコにクルマをとめて……と思ったら7時前にもう満車。しかたなく大宮をウロウロ。なんとか、駐車場所は見つかるものです。娘たちふたりと最上川堤防へ。去年よりも河口側に席をキープ。涼しいし、雨も少し落ちてくる程度だったのでかえって気持ちいい。まあ、小さいこどもを連れている人たちにとってはしんどいことだったろうが。

さて、今年の花火の売り物は全国初の二尺玉8連発。髪の毛がふるえるほどの衝撃なのでこどもたちは泣き出したりする。まあ、通過儀礼。この経験をとおして立派な酒田市民になってくれ。ヤンキー兄ちゃんやピンクの浴衣のお姉ちゃんたちは微塵も動じていないぞ。

花火の新作発表会としては大成功だったろう。風があったので雲で翳ったりもしなかったし。でもいつも思うんだけど、花火の名前の長さはなんとかならないんだろうか。たとえば地元の煙火店である(有)安藤煙火店の二尺玉は

「昇曲導付 紅緑銀乱変芯 錦冠先之吉」

という玉名。暴走族もびっくりだ(笑)。エンタテインメントとしての花火の進化を実感できたし、今年も満足。不景気な今だからこそ、蕩尽としての花火は美しい。さてさて来年は誰と観ていることやら。

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1Q84 BOOK1

2009-08-01 | 本と雑誌

1q84_01  おそろしく魅力的な場面からこの小説はスタートする。青豆、という奇妙な苗字をもった女性が首都高の渋滞にまきこまれる。クラウン・ロイヤルサルーンに高価なステレオを搭載した個人タクシーの運転手は、首都高には非常階段があると青豆に告げる。池尻大橋の手前に。刻限までに渋谷に着こうと思えば、そこを使えばいい、と。

青豆はハイヒールを脱ぎ、タイトなミニスカートでありながら鉄柵を乗りこえて非常階段を降りる。運転手は彼女に警告する。

「見かけにだまされないように。現実というのは常にひとつきりです。」

(※パラレルワールドの否定であると同時に、後半の展開を予言している)

しかし青豆は、その瞬間からもうひとつの(と見える)世界に入りこむ。月のそばに、“もうひとつの月が存在する”世界へ……

「不思議の国のアリス」導入部のパロディとしても出色の出来映え。独立した短篇として読んでも満足できる。そしてこの小説に、もうひとりの主人公である天吾が登場する。

 青豆の章と天吾の章が交互に展開され、ふたりの存在とふたつの世界(1984年の東京と1Q84年の東京)の関係性が次第に明らかになる。おなじみの(広義の)ミステリ的手法。しかしそれよりも村上春樹のファンにとっては「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の変奏曲としても楽しめる造りになっている。「世界の~」との最も大きな違いは、“どうして村上春樹は、今度はこんなにも面白く語ったのか”だ。

 そうなのだ。とにかく「1Q84」(タイトルもすばらしい)は、予想外に、しかもめちゃめちゃに面白い小説だったのである。青豆が行っている“仕事”は殺人であり、その手法は藤枝梅安とほぼいっしょ。殺される人間は例外なく女性をおとしめる男だから、誰でも感じるように青豆は仕掛人の1984年バージョンだ。

 精神的なバランスをとるために(殺し屋ケラーが切手を収集するように)青豆は夜のバーで髪のうすい中年男を漁り、セックスをむさぼる。奇妙な嗜好は、青豆が一生をかけてある男性を追い求めていることと矛盾しない。殺伐としたハーレクインロマンスとしても読めるわけ。くわえて……

BOOK2につづく

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