事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「エイリアン ALIEN」「エイリアン2 ALIENS」

2007-10-31 | 洋画

Aliens_aliens_adultes2   全米公開から1年以上も待たされて「スター・ウォーズ」が公開された時、一番驚いたのは、ハリソン・フォード扮するハン・ソロの宇宙船が“汚れていた”こと。

宇宙船といえば、よくわかんないコックピットがぴかぴか光り、信じられないぐらい無機質かつセクシーな宇宙服を着た女性飛行士がいたりするもんだと思っていたので(「宇宙大作戦=スター・トレック」や「謎の円盤UFO」……ああストレイカー司令官!の見すぎである……どうせ若いモンにはわからんだろうが)、まるでヤンキーがチューンナップした族グルマに、しかもお姫さまを乗せるという強引な展開には感激までした。

Alien01 ところが「エイリアン」のノストロモ号はその先を行った。

民間企業の(COMPANY、とだけ呼ばれている)資源探査船?という性格からか、いやー汚い汚い。

しかもこの汚れは乗組員の方にも徹底していて、「1」は町工場の整備工たち、って感じ。「2」の方は『今度は、戦争だ。』というコピーを裏切らず、まるでベトナム戦争時の前線部隊。

以降、「3」は囚人、「4」はゲリラとこのシリーズはコンセプトがしっかり。露骨、ともいえるか。そのなかでも、「1」と「2」の面白さは突出している。タイプは違うが、どちらも傑作。実績のあまりなかった監督(リドリー「ハンニバル」スコット、ジェームズ「タイタニック」キャメロン)を抜擢して一躍メジャーにしたことでも共通。

 その面白さは“部屋で見ながらタバコを吸うのを忘れる”という、私には最大級のもの。でも何度も観ると欠点も目立つ。「1」でいえば、あれだけ巨大な宇宙船に、乗組員全員が乗れる救命艇が無いのはいくらなんでも不自然だし、船長(トム・スケリット)やサード・オフィサーのリプリー(シガニー・ウィーヴァー)は作戦ミスが目立ち、冷静に考えると3人はリプリーのせいで死んでいる。

でも作り手がそのことを意識していないわけではなくて、アッシュ(イアン・ホルム)が実はロボットであるエピソードをうまく挿入して、観客にアラを気づかせないようになっている。うまいなぁ。

Alien02 今回も和田誠と三谷幸喜の「それはまた別の話」を参考にすると、そのアッシュがリプリーを襲うときに使ったエロ本が、なんと【平凡パンチ】だったって、気づいてました?

でそのロボットが「2」では善玉にまわる(「人間にしては、やるね」このセリフはにくい)パターン、よく考えたら「ターミネーター」と一緒でした。このジェームズ・キャメロンが、まさか「タイタニック」のような大恋愛映画を撮るとは……。

「4」で主演したウィノナ・ライダーが、「子どもの頃に観て以来の(このシリーズの)ファンなの」と語っていたが、そうか、1作目は’79年の作品なのだ。ギーガーのデザインしたエイリアンを〈脳天ちんぼ〉と呼んでいたのは20年以上も前。もうそんなになるのか。

間違いなく古典になるといえるこの映画、しかし【我等が時代の名画】が、人間の胸を食い破って出てくるモンスターのお話であるのは、いやはや殺伐としたものだが。

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DIE HARD  (88‘ 米)

2007-10-31 | 洋画

Brucewillisdiehard ジョン・マクティアナン監督 ブルース・ウィリス主演 89’年度キネ旬ベストテン第1位

おすすめDVDシリーズは、みなさんがこの映画を既に観ている、という前提ですすめます。ネタバレもありあり。

え?あなたは「ダイ・ハード」を観ていない?次回「エイリアン」も?まさか「JAWS」は?……何考えて生きて来たんです。今すぐビデオ屋に走れ!

映画館、ビデオ、DVDと何度も観ているこの映画(タイトルを意訳すると「なかなか死なねーなーこいつ」)。そのたびに感心するのは、んもうどこまで練り上げられた脚本なのか、ということ。原作(あったんだね)を読んでいないので比較はできないけれど、とにかく伏線につぐ伏線。それらを一気に収束させるラスト。ため息が出るくらい完璧な脚本である。

和田誠と三谷幸喜が、映画のディテールにこだわって対談した好著「それはまた別の話」(文春文庫。このタイトルに笑った人は、三谷のあのドラマを観た人ですね?いずれ特集しますのでお楽しみに)で「ダイ・ハード」は取り上げられ、実作者である三谷に

Diehard709124 三谷:「ダイ・ハード」の決定稿を作家がただ一人で机の前で書いたんだとしたら、僕は潔く筆を折ります。

とまで言わしめている。それほどすき間なく計算されていることが何度も観ているとわかってくる。「神は細部に宿る」というが、この映画は再見に耐える小細工が満載である。

1.日本企業が既婚者を嫌うため(いえてる)、主人公の妻は旧姓を名乗っているが、家族写真を伏せているせいもあって、テロリストにいつ夫婦であることがばれるか、とのサスペンスをそれだけで発生させている。ラストのセリフにもちゃんとつながるし。

2.1のこともあって主人公ジョン・マクレーンはちょっとふくれていて、妻の有能さの証としてボスから贈られたローレックスが、さらなる夫婦関係の亀裂を観客に予感させる。が、そのローレックスとともにテロリストの首領を墜落死させることで、カタルシスを倍加させている。

3.クリスマスイブであることが徹底して利用されているストーリー(たった一人で、あれだけのテロリストと渡り合って生き残る、それだけでもクリスマスの奇跡)だが、裸になったマクレーンが、銃を隠すために使った小道具がクリスマス用のテープだったあたり、芸が細かい。ここまでやるかねしかし。

……他にも、【西海岸】【東部】【日本】といった地域性が十分に活かされていることや、現代のハリウッド活劇の主人公に必須な条件「考えろ!考えろ!」を本当に口にしているあたりに感心感心。

次回「エイリアン」のリプリーもそうだが、今や技術やメカに疎い人間はヒーローやヒロインになれないこともよくわかる。無理してシリーズ化されているが、「2」も傑作。「3」は数段落ちる。が、キャッチコピーは「3」が一番優秀だった。

世界で一番運の悪い男

そりゃそうだ(笑)。ダメ押しの一撃も含めて、現在のエンタテインメントの方向性を決定づけた金字塔にして教科書のような作品。ま、教科書というには四文字言葉が多すぎるんだけどさ。

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