事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

冬の時代~人勧特集3

2007-10-08 | 情宣「さかた」裏版

051206_warai バブルがそして破れ、以降の勧告は悲惨そのもの。3%をこえていたのが91年で、そのあとは下降の一途。01年はついに0.1%をきり、0.08%。まるで銀行の金利のような状態。おかげで給料表の改定は行われず、前年は特例一時金という形で3月に2,448円が支給されたにすぎませんでした。一方で期末手当の削減だけはどんどん進んだので、年収ベースではすでにマイナスになっているのはご存知のとおり。

でも、本俸がダウンするということは(しかも-2%をこえるということは)かなり大きな意味をもっています。
ここで02年の勧告を整理してみましょう。給与に関して柱は三つあります。
1.基本給の引き下げ
2.一時金の削減
3.配偶者扶養手当の減額、三人目以降の子ども等の扶養手当の増額
内容を見てみると……

①基本給の引き下げは何度も報じられ、この裏版でもとりあげてきたわけですが、2.03%の減額、と言われても実感できないかもしれません。具体的に見てみましょう。国家公務員行政職の平均年齢は40.9歳。現行の給与平均は382,866円です。この平均の人がどれだけ減額されるかというと、7,770円。これを毎月です。しかも基本給が下げられるということは期末手当、勤勉手当に響くことはもちろん(医療職、行政職なら時間外手当にも)、退職手当、果ては年金額にまで波及します。ここ数年の期末手当の削減よりもはるかに大きい意味をもっていることがここでわかります。しかも、2%弱の効果を持つといわれている昇給をも上回る減額。来年1月の新給料からは、昇給時期にかかわらず、歴然と下がっていることが全員実感できてしまう勧告になっています。お?どうやらこの平均氏、私と同じぐらいの年齢層だな。対応号給をチェックすると……なんてことだ。やはりわたしも毎月7,800円の減額だ!

②手当の削減が続いたので(おまけにその精算を毎年3月でやっていたので)月数は事務職員でもわけわからなくなっていたのですが(私だけかもしれん)、来年度からはこうなるというのです。
   
期末手当  6月 1.55月
  12月  1.70月
      3月 廃止

勤勉手当  6月 0.70月
      12月 0.70月

合計    6月 2.25月
      12月 2.40月

Warai あ、6月と12月が増えるんじゃん!と喜んでいる場合ではありません。合計では0.05月分の削減です。しかも問題はその中身。期末手当から勤勉手当にシフトし始めたということは……飲酒運転の号でも申し上げましたが、成績率の導入とからんで(つまり勤務成績に比例した支給割合の上限と下限が大きくなるわけ)、将来に向けてかなり問題を残しているのです。

しまった。終わらなかった。次号に続く。

画像は「笑の大学」(’04 東宝)
「僕の生きる道」などの監督らしい盛り上げ方。それがちょっと鼻につくところも。出演者はほとんど二人きり。舞台版の西村雅彦と近藤芳正のコンビにはもちろん及ばない。役所広司が相手なのは稲垣吾郎にとってはちょっとつらかったか。不良主婦のベストワン作品。
         ゴローちゃんがもう少し小狡い感じが出せれば……☆☆☆★★★

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泡の時代~人勧特集2

2007-10-08 | 情宣「さかた」裏版

Photo041 前号で81年までの勧告の様子を見てきました。60年以降、ここまでは紆余曲折はあったにせよ(政府が完全に勧告を無視したり、実施月を遅らせたり)公務員共闘のがんばりでなんとか実施させることができたのですが、82年からはちょっと様相が変わります。

 1982年、組合は12%の賃金アップを要求し、民間が7%台の春闘相場を獲得、結果として人事院が4.58%を勧告したにもかかわらず、この年のベースアップは見送られてしまいました。

 この頃の不況と就職難はとにかく深刻。自分が当事者だったのでよくわかりますが、文学部などという就職のことなど何も考えていなかった学部の学生には特に厳しい現実が待っていて、田舎で就職するには公務員になるしかほとんど手はありませんでした。同じような境遇の連中の多くは公務員試験に殺到し、採用が若干名(4名以下)に過ぎなかった市町村立小中学校事務職員にすら600名もの受験者があったぐらい。でも結果的に200倍の激戦から選ばれたのが、この地区では私と、今はO沢小学校で教員をやっているS(情宣にオレはいつ出てくるんだ、とリクエストされた)の大馬鹿二人であることを考えると、試験とは名ばかりの“抽選”だったんだな、と今は思えるのですが。

 以降、84年までの3年間ベースアップが“値切られ”たのには以下の背景があります。この当時から公共事業の大盤振る舞いなどによって財政危機が叫ばれ、マスコミの論調も『甘い人事院勧告の民間準拠』(朝日)だの『公務員給与の抑制は当然』(毎日)といった具合に勧告への風当たりは強くなる一方。そして鈴木善幸首相(当時)が【財政非常事態宣言】を出し……

……何か気づきませんか?

そうです。今とそっくりなのです。竹中平蔵福田官房長官が勧告前に(これはずるい!)『公務員給与の削減やむなし』といった発言をくり返して地ならしをし、世論の公務員バッシングの波をうまく利用する。そして今回は勧告そのものがマイナスとなってしまいました。

では、不況を脱し、国民全てが躁状態になったかのように語られるバブルの時代はどうだったでしょう。

85年のプラザ合意に始まり、総量規制に終わったと言われる、この実態と株価の乖離がはなはだしかった時代もチェックしてみてください(やっぱり表なし。ごめん)。

おかしいと思いませんか?世間の狂騒のわりには、ほとんど上がっていないのです。民間が空前の利益を上げ、札束が乱れ飛んでいた印象があるのに、なぜ賃金はおさえこまれていたのでしょう。

Polanski ここに現在がまだ“バブル後”と呼ばれてしまう要因があります。マネーゲームによって蓄積された圧倒的な内部留保を、各企業はいったい何に使ったか。従業員にちゃんと還元していれば現在の苦境はなかったはずなのに、無謀な設備投資やさらなるマネーゲームにつっこんでしまったのはご存知のとおりです。しかしそんななかでも民間にはボーナスの伸びはあったのに、官の方はバブル終盤に0.55月分が伸びたにすぎません。こう言ってしまってはミもフタもありませんが、バブル期に公務員にはほとんどいいことはなかったのです。そしてバブル崩壊後、民間にも、公務員にも冬の時代がやってきました……

画像は「戦場のピアニスト」The Pianist(’02)
 実在のピアニスト、シュピルマンの自伝の映画化。ナチスのポーランド侵攻により、ワルシャワで生き残るために辛酸をなめたユダヤ人の物語。しかしこれは、むしろ母親をアウシュビッツで虐殺され、自らも逃亡生活を送った監督ポランスキーの体験記と考えた方がいいかもしれない(この監督は妻をチャールズ・マンソンに惨殺されたり、少女との性行為のために国外に逃亡していたり、実生活の方がよほど波瀾万丈)。そのせいか、逆に淡々とした描写が続く。多くの人は、ヒロイックになろうともせず、こうやって“食べる”“飲む”“着る”ことに汲々としていたのだろう。ほとんど最後の最後まで、主演のエイドリアン・ブロディにピアノの猛特訓の成果を披露させないあたり、にくい演出。

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田中角栄の時代は良かった、は本当か~人勧特集1

2007-10-08 | 情宣「さかた」裏版

Genba 今回からは裏情宣の人勧特集。年代別になっています。
発行は2002年8月。数字は当時のものです。

まさか知らない人はいないと思いますが(いや、油断はできない)、わたしたちの給与がどのように改定されていくかをおさらいします。

 まず国家公務員の給与がどう決まるか。

 内閣のもとにある人事院は、一方で非現業国家公務員約50万人の4月の給与実態を調査し(国家公務員給与等実態調査)、同時に一方で全国の34,000事業所から抽出された7,500事業所の従業員約46万人の4月分の賃金実態を調査します(職種別民間給与実態調査)。

 なぜ4月分の給与なのかというと、民間の賃金は春闘(春季賃上げ闘争)によって変わるから。そして上の調査で導かれた公務員と民間の賃金をつきあわせ(官民比較)、国家公務員の給与はこうあるべきではないか、と勧告する……これがいわゆる人事院勧告制度です。

 山形県職員であるわたしたちにこれがどう影響するかというと、組織としての山形県には、人事院とほぼ同様の権能を持つ人事委員会があり、ここもやはり人事委員会勧告をおこないます。しかしその内容は人事院のそれと毎年ほぼいっしょ。これは別に人事委員会がさぼっているわけではなくて、国や他の都道府県、特別市の給与にくらべて何らかの“突出”が認められると、それはもう国から壮絶にいじめられるから。ほとんど国からの交付金に頼っている地方自治体にとって、これはこわい。ほんとうにこわい。したがってどこの自治体も似たような勧告になってしまうというわけです。

041122502002  そしてこの勧告をうけ、国会は給与改定法案を審議し、法案が通ればそれで国家公務員の新たな給与が決定。地方の場合はそれよりやや遅れて県、市町村議会で条例が通り、結果的に秋から年末にかけてベースアップが決定され、4月にさかのぼってそのベースアップ分が年末に支給される……これが“差額”です。

 おさらいがすんだところで、ではこの8月8日に出た2002年度の人事院勧告が、いかにとんでもないものであるかを裏版でも検証していきます。

 右の表をごらんください(めんどくさいので表まではアップできませーん)。これは人事院勧告の実施状況をとりあえず81年までまとめたものです。

 みなさんの職場に「田中角栄んどぎはいがったなー。差額がボーナスより出だもんなー。」という人はいませんか?あるいはあなたがその人ですか?人事院勧告が実施見送りになった(だから差額が無かった)82年度採用のわたしにとっては夢のような話ですが、これは本当でしょうか。

※差額のことを、その支給時期から“餅代”とよぶ人もいる。この年は、さぞやみなさん正月にたくさんのモチを食べたことであろう。

 表を見ると、角栄の首相在任期間である72年から74年あたりまでの%がものすごい数字になっていることが見て取れます。とくに74年。29.64%(!)の給与改定とはどんな額でしょう。4月から12月までの本俸のアップに加え、6月支給の期末勤勉手当、そして当時の寒冷地手当は給与連動で現在より高額でしたからその差も加算して……単純に計算しても給料三ヶ月分を軽く超える額になります。
ほんとだ。ボーナスよりはるかに多い。しかもボーナスの場合は源泉徴収される税額も多めだから、手取りの差は圧倒的だったでしょう。

041122502001   やっぱり田中真紀子の親父はすごかったんだな……という話にはしかしもちろんならないわけです。この“賃上げ”の背景には、角栄の列島改造論やオイルショックがもたらした狂乱物価があるし、そしてこのあたりから官民の労働組合が協力して壮絶に賃上げに取り組んだ成果でもあるわけですから。

次号は不況~バブル期を特集します。

画像は「ネバーランド」Finding Neverland(’04)
 ピーターパンの戯曲を書いたジェームズ・バリと、ピーターパンのモデルとなった少年の物語。バリを演ずるのがジョニー・デップ、少年役がフレディ・ハイモアの必殺「チャーリーとチョコレート工場」コンビ。面白くないわけがない。舞台のプロデューサー役にスピルバーグの「フック」で船長を演じたダスティン・ホフマンをキャスティングしたあたりもしゃれている。ラストで“どこにもない場所”に旅立った二人に泣けない客はいないだろう。いやー泣いた。泣いた泣いた。

                                                             ジュリー・クリスティは年とってもきれいだなあ☆☆☆☆

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サタデーナイトフィーバー

2007-10-08 | 洋画

Saturday_night_fever_big 今回は若い教職員への1本。(時事ネタは腐るのが速いなあ。これ、6年前のやつです)

 学校現場もそろそろ四十代の人間が主導権を握り始めている(なにしろ数が多い)。若手の皆さんの中には、日々彼らに指導という名の下に虐げられている(「今時の若いモンは!」)方もいらっしゃることと思います。そんな皆さんに、今回は同じ四十代の人間として同胞を少し裏切るような情報を提供しましょう。

 実はこの四十代の人間には、消そうにも消せない暗ぁい過去があるのです。1978年7月、短足のイタリア系野郎が週末にド派手な格好で踊るこの¨ディスコ映画¨が世間を席巻し、当時十代後半から二十代の世代はこぞって新宿や六本木のディスコに繰り出し、そのイタ公ジョン・トラボルタの影響下、¨フィバる¨と称して恥ずかしいことにみんな同じステップで踊っていたのです。はっきり言って盆踊りですわな。

 ですからこの世代から説教を垂れられてムカついた時には、耳元で(相手が四十代前半なら)「新宿ツバキハウスの焼きソバはおいしかったですか?」とか(四十代後半なら)「六本木キサナドゥがなくなって残念ですね」と囁いてやればいいのです。途端に連中は盆踊りを思い出し、赤面して引き下がること確実です。

 にしてもです。ディスコが衰退し、クラブに名を変えたあたりで私も「あー、今の若い奴らは大人だよなー」と感心していたというのに、一体何なのだあのパラパラとかいうヤツは!?また盆踊りを始めてどうするというのだ!

 ……ったくこれだから今時の若いモンは。

コメント (2)
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