事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

あなたの時給はいくらか~3時間目

2007-10-06 | 情宣「さかた」裏版

The_big_red_one_ 今回は休日篇。山形県の教職員に支給される特殊業務手当は下記のとおりです。ちなみに、1号は非常災害対策、5号は高校の試験関係ですから無視してかまいません。

第2号業務……修学旅行、林間学校、臨海学校等において、児童または生徒を引率して行う業務で宿泊をともなうもの。日額1,700円 その日において8時間程度(就寝時間等は含まない)業務に従事したことが必要。

第3号業務……人事委員会が定める対外運動競技等において児童又は生徒を引率して行う指導業務で泊を伴うもの又は勤務を要しない日もしくは休日に行うもの。日額1,700円 終日に及ぶ程度(日中8時間程度)の勤務が必要。

第4号業務……学校の管理下において行われる部活動(正規の教育課程としてのクラブ活動に準ずる活動をいう)における児童または休日またはこれに相当する日に行うもの。日額1,200円 正規の勤務時間以外の時間等において引き続き4時間程度業務に従事することが支給要件。

部活動に関してはtotoと絡めてあらためて特集しますが、第2、第4土曜日等が休業日になって、これが児童生徒を家庭に帰す日と明示される以前は、それはもうあきれる程の野放し状態。

 ある職員の出勤簿を整理していたとき
「内勤」……26日(休日の校内における部活動は出勤でカウントされる)
「出張」…… 5日
「年休」…… 0日0時間
となった時にはさすがにため息が出ました。31日間、学校を“離れていない”のです。現在はさすがにこんなことはありえないのですが、【少なくとも月に4日は部活動を行わない休日を確保する】程度の進捗に安住するようでは、社会教育への移行までには様々な軋轢が(内からも外からも)生まれることであろうな、と……

Lm  さて、問題の時給。もっとも一般的な4号業務で考えてみます。日曜日の8時から12時までの4時間、学校で部活動指導を行ったケース。例によって教育職給料表(2)2級19号給の人にご登場願いましょう。

 4号業務に該当するわけですから現実の支給額は1,200円。時給に換算すると300円となります。

 それでは、時間外勤務手当(この場合、明確に休日勤務手当と言えますが)が教育職に支給できると仮定するとどうなるでしょう。この人の時給は2,196円。平日の時間外は2,745円でした。しかし、休日における時間外はなおその上を行き、時給に135/100を乗じた額が支給されなければならないのです。
 したがって、@2,196円×1.35=2,965円。休日は1時間当たりこの額です。
 4時間の勤務ですから2,965円×4=11,860円。1,200円との差には泣けてくるでしょう。

 ちなみに3号業務の場合はどうでしょうか。中体連等の主催の大会で一日引率した場合、現実の支給額は1,700円。8時間以上が支給要件ですから時給は213円(笑)となります。しかし時間外なら2,965円×8=23,720円。一日で、です。

……いかがでしょう。支部の定期総会で「もし教育職員に時間外勤務手当が支給されるとすれば、部活動の社会教育への移行は一気に進むだろう」と申し上げた意味がわかっていただけたでしょうか。

 現状の部活動は、地域の期待や愛校心という意義にラッピングされ、そして生徒指導上欠くことのできない本務であると主張されるものの、しかしほとんど職員の熱意に支えられた“安上がり”な業務となっているのです。

 だいたい、《特殊な》業務であるはずの特殊業務が、少しも特殊な業務と受けとられていない現状にこそ、問題点は潜んでいるはず。ご一考を。

画像は「最前線物語」THE BIG RED ONE (’80 米)
マニア向け巨匠サミュエル・フラーの、肩の力を抜いた(ように見える)小品。バンド・オブ・ブラザースと似て非なる印象。小さな、本当に小さな勝利の積み重ねでかろうじて生き残る男たち。リー・マーヴィンが率いていればどんな闘いにも勝てそうですが。軍曹が第一次世界大戦で犯した罪を、第二次世界大戦の終戦でリカバーする構成がにくい。

                こういう鬼軍曹役が似合う役者が少なくなったなあ☆☆☆★★★

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あなたの時給はいくらか~2時間目

2007-10-06 | 情宣「さかた」裏版

Jn  さて、教職調整額が時間外勤務手当ではない、と考える根拠は、管理職手当と比較するとよくわかると思います。

1.管理職手当は月の初日から末日まで勤務しなかった場合支給されないが、教職調整額は支給される。つまり勤務の有無に左右されない
2.同じ意味で教職調整額は有給休職者の給与の算出基礎にもなっている。
3.
管理職手当受給者には時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当は支給できないと明確に規定されているが、教職調整額受給者にそんな規定はない。
4.その管理職手当を受給している3級在職者(つまり教頭)にも、実は
3級加算額という教職調整額が支給されている。
5.期末勤勉手当、
退職手当(!)の算出基礎にもなっている。

……事務職員のくせに久しぶりに条例をひっくり返してみたので頭が痛くなりましたが、要するに教職調整額とはすでに給料の一部なのです。

前号で「給料月額」と「給料の月額」は意味が違うと書きました。給料月額とは給料表に載っている額そのものですが、給料の月額、とはこれに調整額を加えたものを意味します。そういえば事務職員は新採研修の時点から「給料」と「教職調整額」とは不可分のものであることを叩きこまれていたのでした。

 さて、教育職員に時間外勤務手当が支給されていないことがわかったところで、では支給されていたとしたらどの程度なのか、をシミュレーションしてみます。

Oneflewratched2_sm  前号でご登場いただいた2級19号給の人でまた考えてみましょう。この人の時給が2,196円であることは計算済みですが、それでは時間外に勤務が及んだとき、1時間当たりこの額が支給されるべきなのでしょうか。
 違います。

これもバイトの経験がある人ならおわかりでしょうが、8時間の勤務を超えて時間外勤務を命ぜられた場合、その時給に
(午前5時から午後10時までなら)×1.25
(午後10時から午前5時までなら)×1.5
こんな具合に乗じた額が支給されなければならないのです。

ですから、時給2,196円の場合、一般的な時間外勤務手当の単価は
2,196円×1.25=2,745円

私は中学校から小学校に転勤したのでどちらの教員たちの現状も見ていますが、いずれもおそらく始業前の勤務も加えれば、少なくとも週4時間は時間外がある、とふんでいます。ですから月にするとおよそ18時間。算出すると
2,745円/時間×18時間=49,410円。
5万円ほどになります。
教育職員に時間外勤務手当が支給されうると仮定すれば、現在はこれだけの額のサービス残業を続けている、と考えることもできます。しかも、あくまで少なく見積もってです。

 もちろんこれは一種の暴論です。しかし何気なく勤務時間を考えないで勤務し続ける人もいるようですが、冷静に自分の労働の対価を考えたとき、そのことに意識的であることによって変わってくる“何か”があるのではないでしょうか。前号で時給の算出方法を載せましたが、あの式で言えば、長時間勤務すればするほど、分母の値が大きくなっていく→時給が下がっていくのです。

 話はこれだけにとどまりません。学校という職場に特有の“休日勤務”を考察すると、【特有】なのではなく【異様】な姿が浮かび上がってきます。
またしても、次葉繰越。

画像は「カッコーの巣の上で」ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST(’75 米)

ほぼ三十年ぶりに再見。予想以上に前半に退屈する。俳優たるもの、この脚本に燃えないはずはないだろうが、ジャック・ニコルソンはむしろいつものニコルソン。バック・トゥ・ザ・フューチャーの博士とか、ダニー・デヴィートとか、意外な面々が精神病患者として出演していてびっくり。

                   オスカーをとったルイーズ・フレッチャーって、両親ともに聾唖だったとか☆☆☆★

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