事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

リンダリンダリンダ

2007-10-02 | 邦画

Linda3thumb 高校生活最後の文化祭のステージに向けて、オリジナル曲の練習を重ねてきたガールズバンド。ところが本番まであと3日という時になってギターが指を骨折、さらにボーカルまで抜けて、バンドは空中分解寸前となる。残されたドラムの響子(前田亜季)、キーボード転じてギターの恵(香椎由宇)、ベースの望(関根史織)はひょんなことからブルーハーツのコビーをやることに。そして彼女たちがボーカルとして声をかけたのは、なんと韓国からの留学生・ソン(ぺ・ドゥナ)だった……

バンドをやろう、と人が思い立つのはどんなときだろうか。わたしは中学時代にFのコードが押さえられずに(これをいわゆる『Fの壁』というらしいです)バンド系の青春に挫折した男だが、ギターが弾けたならさぞや楽しい十代が過ごせたであろうと夢想する。調子よすぎるけど。

 この映画に登場するガールズバンドの面々は、楽器を手にすることが必然であるかのような存在感にあふれている。文句なく傑作。ストーリーを見ればどんな映画かは想像してもらえるだろう。「スゥイングガールズ」や、同じ矢口史晴の「ウォーターボーイズ」のように、小さなギャグを積み重ねながら、最後の文化祭ライブでスクリーンの内外の観客を盛り上げる……確かにまちがいではない。タイトルにあのブルーハーツの名曲を選んでいることからもおわかりのように、ラストの大興奮は保証する。

Photo  でもそれ以上に、この作品が「スゥイングガールズ」などと一線を画するのは、こいつらこそが実際の女子高生だと感じさせるリアルさにある。どこか気だるく、教師や先輩には奇妙な敬語を使い、大胆なくせに好きな異性には臆病になってしまう……これって女子高生でしょう?少なくともわたしが考える女子高生のリアルとはこの映画のそれだ。甘いですか。

 バンドの中心メンバーであるにもかかわらず、慣れないギターに手こずり、だからこそ最後までつっぱる「ローレライ」の人間兵器(笑)香椎由宇の美しさや、子だくさん家族の長姉として生きる強さを感じさせる関根史織もすばらしいし、「意外なふたり」でおなじみ、ヒロトの弟の甲本雅裕が教師役でいい味を。が、なによりペ・ドゥナ!!ライブ前夜に無人の体育館でひとりマイクパフォーマンスをかますシーンだけでも必見。いやはやすごい女優がいたものだ。青春映画の傑作、という形容は陳腐だけれど、ここにはまさしく青春(リアル)がある。若干30歳の山下敦弘監督のセンスに脱帽。絶対観て!

コメント
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