事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

飲酒運転はクビを覚悟で?

2007-10-17 | 情宣「さかた」裏版

Sokyuu 朝日新聞2001年11月13日付 第3社会面

「免職」の波 市町村にも

 秋田県南部の町。管理職だった男性は町長から渡された辞令に目を見張った。
「免職」
 勤続30年。定年まであとわずかだった。
 手慣れた仕事も、2,500万円ほどの退職金も、思い描いていた将来も、あっけなく消えた。
 その2日前の夜、仕事後、役場以外の友人と一杯やった。ビールと焼酎を数杯。2時間ほど自分の車の中で休憩して、ハンドルを握ってしまった。
 検問中の警察官に止められ、酒気帯び運転がばれた。翌朝、上司に自己申告した。
「代行運転で帰ってもよかったのですが、2~3時間待たされると聞いて……。休んだからもう酔いはさめたかなと思ったのです。」
 そして翌日。道交法による罰金5万円、1ヶ月の免停とは比較にならない重罰を下された。「停職か減給くらいかと思っていたんだ。甘かった。」今も後悔の念にさいなまれるという。

……この町は町職員出身の公務員倫理に厳しい町長の発案で99年10月から規定を改め、飲酒運転はたとえ酒気帯びでも免職の対象としている。

 秋田県は98年10月、県職員によるひき逃げや酒酔い運転が相次いだため、前年の11月に全国に先駆けて「飲酒運転は原則懲戒免職」とした高知県の方針の後を追った。この波は市町村にも広がり、以降、県と5市町で3人が免職、6人が停職になった。

それぞれの立場から、コメントが載っている。

自治労本部
「飲酒運転は許されないが、事故もなく自己申告しても免職というのはどうか。自治体間で処分に差があるのも問題だ」

全国交通事故遺族の会・井手政子理事
「酒飲み運転は『未必の故意』。死亡事故を起こしたら殺人罪を適用してもよい。秋田のような動きが全国に広がってほしい。」

斎藤文男・九州大学名誉教授(憲法学)
「公務員が一般より厳しく律せられるのは当然だが、飲酒事故で逮捕された職員と、酒気帯びを自己申告した職員が同じように免職では運用上問題がある。内部規定ではなく、他の不祥事への対応も含めて条例化を目指し、公の場で公務員倫理を論議すべきだ。」

「県民の見方」~某県議
「やらなければいいだけの話だが、家族のことを思うと可哀想。免職になることが分かっていて何でやるかなあ。時代の流れ。これまでが寛容すぎたのではないか。」

Tinnpi

……この4月から、勤勉手当への成績率が導入されてしまいました。全国では山形を含む2県だけが阻止していましたが、さすがに耐えきれず、形はどうあれ導入だけはさせてくれとの県の意向を呑まざるをえなかった経緯があります。総務省のニラミもきつくなっていたし。

 この件についてはあらためて特集しますが、その形とはとりあえず懲戒処分者への適用。おそらくもっとも多いケースは交通事故、違反ということになるでしょう。結果、反則金・行政処分・勤勉手当減額という三重の処分を受けることになる……そのことは確かに大きいといえます。しかし、それ以前にまず心していただかなければならないことがあります。その点を、事務職員部報から再録。

  事務職員へのこの1冊①

初等ヤクザの犯罪学教室」浅田次郎著 幻冬舎アウトロー文庫

Yakuza_2 地方公務員としての平和な日常をお過ごしの皆様に、別にヤクザへの転職をお薦めするわけではありませんが、これは特に若い事務職員必読であろうと思われます。

 内容は浅田(蒼穹の昴)次郎お得意の大ぼらの連続ですが、その序講で“絶対に割に合わない犯罪”として「酔っ払い運転」を挙げている点が推薦に値するのです。

 浅田によれば「酒酔い運転(酒気帯びも含む)」とは単に道交法上の呼称であって、酔っ払ってコツンと追突して相手がむちうちにでもなろうものなら、即「業務上過失致死傷」という刑法犯になってしまい、刑法犯である以上
→「現行犯逮捕」の規定にしたがって手錠をかけられ
→所轄警察に連行され
→必ず身柄は拘束され
→刑事に腰ヒモの先端を持たれたいわゆる「猿廻し」の状態で現場検証に引き出され……

つまり事故そのものは過失であっても、酒を飲んで運転したことは明らかに故意なので、飲酒運転による人身事故に不起訴はありえない、というわけなのです。その先は想像するだに恐ろしい展開が。
山形県教職員組合事務職員部報№291 1998.7.22.

Tyuugenn ……おわかりでしょうか。くどいようですが、事故には「過失」という要素が認められこそすれ(ここで組合が組合員を守ろうとするベクトルがはたらく)、しかし「飲酒して運転」の方は明らかに「故意」としてしか扱われないのです。現場検証、という貴重な体験をしたことがある私は(泣)、短くもなくなった人生の中で、あれほどプライドが傷つけられたことは無かったと断言できます。手当が減額される云々というレベルの話ではありません。

 公務員に対する世間の目は日に日に厳しくなっていることもあり、心してハンドルを握りましょう。愛車を、凶器に変えないように。これはもちろん、自戒でもあるのですが。

【2002年5月17日発行 情宣さかた】

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教育長訪問ツアー終了。

2007-10-17 | 情宣「さかた」裏版

Flightplan_  各市町の教育長訪問を終えました。一種のツアー。疲れた。
 今回教職員組合として伝えたかったのは、完全週5日制によって子どもたちが家庭・地域に帰ったことにより、実は教職員自身も、一市民として家庭や地域に帰る(※)ことになった、このあたりを教育行政として後押ししてほしい、ということです。幸い、各教育長はそのことに理解を示してくれました。

 およそ教職員ほど、産業革命当時のイギリス労働者階級もびっくりの長時間勤務をしている職種は珍しく(ウチで仕事をすることが常態となっている人、部活に熱心なあまりほとんど年中無休になっている人……)、家庭や地域のコミュニティから隔絶されている事例は多く伝わってきます。

 昨年の県教委交渉で組合員からこんな発言がありました。
「われわれ教職員が、一般常識に欠けているだの、視野が狭いという話はよく聞く。けれど、生活のほとんどを学校に拘束されている状態で、果たして“世間知らず”でいないことが出来るものだろうか。」

 私は激しく同意しました。教育熱心であればあるほど、世間から浮いてしまうこの状態が続いていいはずがありません。完全週5日制こそ、私たちが“普通の人”になるいい機会ではないでしょうか。ご一考を。

 それにしても、各教育委員会の教育長室に入るのは気が重かった。何でこう気が進まなかったのだろう。確か県教委の(旧)学事課長の部屋に入ったときも同じように憂鬱だったので思い出した。交渉相手の行政主査に、
「ここ、処分を受けるときに入る部屋ですよね。」
「……え?まあ、そうですけど。」
そうなのだ。就職して一年もたたないうちに、交通事故やらストライキやらで文書訓告一回、口頭訓告一回を受けた(しかしひどい新採だ)私にとって、こういう部屋は『叱られに来る場所』だったのである。もう二度と来るまい、と思っていたのになあ……。        (次号裏版はその“処分”特集)

【2002年5月7日 情宣さかた】

……この情宣が配付されたとき「おい、大丈夫か?」と電話が入った。組合の先輩である。
「大丈夫、ってなにが?」
「教育長訪問をツアーなんて言ってさ」
「別にいいんじゃない?(笑)」
「油断しない方がいいぞ、そういうことにうるさいヤツもいるんだから」
なんちゅう仕事を引き受けてしまったかと暗然としてしまいましたっけ。

Jodie_foster ※地域に帰る。
ある町の役場職員(同級生)から言われたことがあります。
「お前たちは、なんか尊敬されてる感じがするからいいよな。みんないつも町民からなんて呼ばれてるか知ってるか?
『がっこのシェンシェガダ
『やぐばのショ
『農協のヤロダ
だぜ?」(庄内人以外にこのニュアンスが伝わるだろうか)これを、額面どおり尊敬されているととるか、地域への溶け込みの差ととるか……

画像は「フライトプラン」FLIGHTPLAN(’05 米)
 いっしょに乗ったはずの娘が、ベルリンからニューヨークに向かうハイテクジャンボジェット機の中で消え失せる。乗客も乗務員も、娘の存在を信じない……ヒッチコックの「バルカン超特急」をうまくリメイク、というにはひねりが二回転ぐらい足りない。ジョディ・フォスターの作品はタイトルデザインがめちゃくちゃにいいんだけど、これは彼女のご推奨のアーティストがやっているのかな?
なんでいつもジョディは嫌みな女の役ばかりやりたがるんだろう☆☆☆

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『アンブレイカブル』 UNBREAKABLE (’00 米)

2007-10-17 | 洋画

Photo 「見たわ。『シックス・センス』。」
「ふーん。」奥さん機嫌がいい。私が留守にした夜は必ずビデオに走っているらしい。

「良かったわあ。」
「だろ?」
「泣いちゃった。あの車の中のシーン」
うんうん。
「でもね。ちょっと分らないことがあるんだけど。」
「?」
「ブルース・ウィリスが××××××××ったのは何故?」え?
「×××××だったはずなのに」あらら?
「あのね、この映画のひっかけはね……」
「……えっ?そうだったの?!」

あのひっかけに途中で(病院のシーン)気づいてしまった私も不幸だったが、見終わっても気づかない人がいるとは予想外だった。これだからいつも暗ぁいヨーロッパ映画ばかり観ているとハリウッド娯楽映画方程式について来れなくなると言ってるのに。
「いつも一人で観てる人は分るんでしょうけど。」おっとやぶへびだったか。

「でも貴方もあいつ(M.ナイト.シャマラン)の映画は去年映画館で観てるんだよ。」
「嘘。」
「子どもと一緒に観たじゃないか、『スチュワート・リトル』(脚本)。」
「えええっ?!」

その、今やノりにノってるシャマラン(ついこの間までシャラマンだと思っていた)の新作「アンブレイカブル」、相変わらずやってました。露骨なひっかけを。私は好きだから構わないが、今度は怒った人も多かったろう。日米ともに、一週目に目一杯稼ぎ、二週目にガターっと興行成績が下がったことでもうかがえる。

Robinwrightpenn  でも、このインド人、誰も言わないが女優の選択が実にいいのだ。「シックス~」は子役のハーレイ・ジョエル・オスメントの達者さに隠れていたが、彼のお母さん役トニ・コレットの堅実さがなければ、例の車のシーンで妻が泣くこともなかったろうし(アカデミーの助演女優賞候補になった人を、隠れていたもないもんだが)、今回も関係の冷え切った妻役のロビン・ライト・ペンがため息がでるほど良かった。この人はショーン・ペンの今の奥さんだが(あの野郎、前妻がマドンナで……)、後で調べたらロブ・ライナーの快作「プリンセス・ブライド・ストーリー」の、あのキュートなお姫様じゃないか。これは他の人とは違った意味で、彼女のためにもう一回観なきゃな。

初めて観る人への、観終って怒らないためのヒントは「最初のナレーションを、絶対に聞き逃すな」ですかね。

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