カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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冬型気圧配置時の日本海上の帯状雲(日本海寒帯気団収束帯 JPCZ ) 寒気と朝鮮半島と中層の上昇流域をもが発生要因

2018-01-15 00:58:26 | 日記
①1月12日3時の天気図 気象庁HPより引用



②1月12日3時の
ⅰ:日本付近赤外画像図 高知大学HPより引用


ⅱ:日本付近水蒸気画像図 高知大学HPより引用



                 ↓
③1月12日15時の日本付近赤外画像図 高知大学HPより引用



1月9日、低気圧が北海道付近に進んで発達したあと、本州付近上空には、波状的に北極からの強い寒気が流れ込んで、本州日本海側ではまとまった雪と、各地で凍てつく寒さに見舞われました。

特に、1月11日から12日にかけて、引用図②でわかるように、日本海北西部から日本海中部、および、北陸地方にはひときわ白く輝く帯状の画像域(発達した積乱雲の集団です。)が見られて、この帯状雲がかかった北陸地方では、平野部中心に記録的な大雪となり、新潟市内では、12日6時までの24時間に73㌢の降雪量を観測!12日、日中以降、当該、日本海中部〜北陸地方にかけてかかる帯状雲は、やや弱まりながらゆっくりと南下したため、12日、日中以降、記録的な大雪の範囲は北陸中部〜西部、近畿北部へと移動して、12日18時までの24時間には、新潟県西部地域の能生で93㌢、金沢でも50㌢を超えました。

冬型の気圧配置時に出現する、こういった、帯状雲は、筋状雲が更に発達したもので、日本海寒帯気団収束帯 JPCZ と呼ばれるものです。(本記事内では、JPCZと呼びます。)

筋状雲同士、ハ の字型に合流して更に発達し、JPCZを形成するものですが、
この成因は、
ア:大陸からの季節風が、朝鮮半島の天白山脈などの、山地をいったん迂回し、その後、日本海で再度合流する性質を持つことと、

それにプラス、
イ:大陸から日本列島付近へ流れ込む寒気の勢力がより強いこと。

と 
ウ:寒気の流入の先端に分布する、中層(上空およそ3000㍍付近)の上昇流域が重なることで、
冬型季節風に伴う筋状雲が、JPCZへと発達するするとみられます。

ですので、前記、ア と イ と双方が顕著になるほど、帯状雲は発達して、帯状雲を形成する筋状雲同士の合流は、より対角線方向へ変化し、更に発達すると、JPCZ内には、渦巻き状の雲の集団も見られるようになります。

JPCZは、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風向が

◇西寄り~北西風であると、日本海西部で北西〜ほぼ東西方向に分布

◇北西〜北北西方向であると、北西〜北北西方向に分布

して、日本海から本州付近へと流れ込む寒気の勢力が強く、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風速が強まるほど、JPCZ自体の活動は強まるといえます。

また、JPCZ自体、複数発生する事例も多く見かけます。

概ね、日本海沿岸部の上空5500㍍付近で-35℃以下、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風速が20㍍毎秒(10分間平均)であれば、JPCZがかかる日本海側の地域では、ほぼ大雪警報基準の降雪が見込まれて、
当該状況下で、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風速が一層強まると、日本列島の脊梁山地の地形的鞍部から太平洋側の一部までも大雪となります。


また、JPCZの中では、発達視した積乱雲の集団ですので、竜巻や突風などの強風災害の発生しやすいことは勿論、JPCZの外縁部のあたる地域では、特に広範囲で強風
、海上では高波に見舞われます。この点も要注意!ですね。


④㍻29年1月24日12時の日本付近赤外画像図 高知大学HPより引用





このような、非常に発達したJPCZの影響で、引用図④で示すように、昨年1月15日に、京都で15㌢の降雪を観測し、同月22日~24日にかけて、鳥取周辺から近畿北部にかけて、記録的な大雪に見舞われたことは記憶に新しいところですし、22年前の㍻7年12月25日、日本海北西部から若狭湾周辺へと非常に発達したJPCZがかかった影響で、24時間降雪量が三重県四日市で53㌢、愛知県伊良湖岬で12㌢と、やはり、記録的な大雪を観測しています。