カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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本日未明に熊本県天草地方で震度5弱 震度はどのように算出されるの?

2005-06-03 23:48:16 | インポート

今日3日未明に、熊本県で強い地震があり、熊本県天草地方では、震度5弱の強い揺れを観測した地域がありました。

ということで、今日は、久々に、地震ネタを提供しましょう。

今回は、地震と言えは、震度 と すぐ思い浮かびますね。地震が発生すると、まず気になるのは、自分が今いる地域の震度がどのくらいか?ということでしょう。

さて、この震度は、昔は、各気象台の係官の方が、その体感や被害情況をもとに決定していましたが、現在は、計測震度計と言う計器で測定します。
そして、この計測震度計で震度を決定する重要な要素は、地震波の3成分(東西方向、南北方向、上下方向)をベクトル合成したものと、そのベクトル合成した地震波の、0,3秒以上を満たす地震波の加速度の最大値です。この地震波の加速度の最大値を気象庁考案の関係式に当てはめて、計測震度を算定するものです。

この事を詳しく述べると、計測震度は、震度計内部で以下のようなディジタル処理によって計算されます。

ディジタル加速度記録3成分(水平動2成分、上下動1成分)のそれぞれに、フーリエ変換・フィルター処理・逆フーリエ変換の手順で、以下に示す特性のフィルターを掛ける。 (大まかに言えば、地震のさまざまな波の周期のうち、0・1秒~2秒の範囲の周期の波をピックアップしています。)
得られたフィルター処理済みの記録3成分から、ベクトル波形を合成する。
ベクトル波形の絶対値がある値 a 以上となる時間の合計を計算したとき、これがちょうど 0.3秒となるような a を求める。
この a から I = 2 log a + 0.94 により計測震度 I を計算する。
(気象庁HPより引用) となります。

そして、以上のように計測震度計で算定された計測震度と以下の表の範囲に分類して、震度を算定するわけです。

計測震度 震度階級
0~0.4 震度0
0.5~1.4 震度1
1.5~2.4 震度2
2.5~3.4 震度3
3.5~4.4 震度4
4.5~4.9 震度5弱
5.0~5.4 震度5強
5.5~5.9 震度6弱
6.0~6.4 震度6強
6.5~ 震度7

(気象庁HPより引用)

※ちなみに、㍻16年10月の新潟県中越地震では、震度7を観測した川口町での計測震度は6・5、震度6強を観測した小千谷市では6・3でした。

現在、日本全国には、気象台や、提携している各自治体などの計測震度計が600地点以上あり、それらを、気象庁が管理して、震度情報を発表しています。

このように、計測震度計での震度測定になって、震度観測地点が増えた事によって、その地域の揺れの特性などが如実に表現されるようになりました。防災の点からは、実に喜ばしい事ですね。同一市町村内でも、地形の特性などで、震度階級が2から3異なることは珍しくありません。