カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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1日は、関東以西太平洋側で高温!そのカラクリは?

2016-05-02 08:20:16 | 日記
①5月1日12時の天気図 気象庁HPより引用



②1日10時~16時までのウインドプロファイラー時間高度分布図 気象庁HPより引用
:三重県尾鷲



静岡県静岡




5月1日、日本海から進んできた低気圧の影響で、東北地方では天気がぐずつきましたが、関東以西の太平洋側や内陸部中心に気温が上がり、
ところによっては7月中旬頃の陽気となった個所もありました。

全国各観測地点で最高気温が高かった主な地点と最高気温を順に紹介しますと

和歌山県新宮 30・2℃

高知県江川崎 30・1℃

宮崎県西米良 29・7℃

静岡県静岡 29・6℃

となっております。いずれも、西側に山地を抱えた地域となっていますよね。

③5月1日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


ご覧のように、1日日中は、関東以西の各地上空では、上空1000㍍から上では、概ね西〜西南西となっています。このような風向の場合、例外なく、本州の、西側に山地を抱えている地域では気温が上昇するものでありますし、引用図③より、西日本上空よりも、関東静岡周辺や関東南部上空で風速が強まっているもの特徴です。
これは、一体なせでしょうか?

まず、引用図②をご覧ください

尾鷲、静岡ともに、上空1000㍍よりした側では、下降流が卓越して、この下降流こそ、高温をもたらした因ですが、尾鷲では、上空1500㍍付近より上側では、逆に上昇流が卓越しております。
これは?ですが、西〜西南西風が、紀伊山地中腹より上側に接触するようにしてぶつかり合い、その結果、上昇気流となったこと、当該、上昇気流が発生した反動で、隣接の、上空1000㍍より下側では下降気流が卓越した ということになります。

静岡でも、1日12時頃までは、上空2000㍍付近より上側で上昇流が卓越しており増す、西〜西南西風が、中部山岳中腹より上部に、前記したように、接触するようにしてぶつかり合ったためと
いうわけですね。その後、静岡では上空3000㍍付近までか交流が卓越しておりますが、これは、西寄り風が、中部山岳で分断されて、その間に静岡上空が入ったためですね。
引用図③より、静岡周辺上空や関東南部上空で、比較的風速が強まって入る原因が、この中部山岳で分断された気流と、東海道域上空を吹く気流同士が収束したため ですね。


このように山地に平行に吹く気流が上昇流を引き起こし、その反動で隣接地域に下降気流が卓越する。これぞ、1日の高温の原因ですが、とりわけ、中部山岳で気流が分断される状態下では、隣接東側の関東平野や静岡市周辺など、気流が下降しますので、やはり気温が上昇します。
中部山岳の風上側には、目立った降水はないことが多いですから、乾いたフェーン現象 と呼ばれるものです