カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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令和3年12月3日山梨県東部地震での山梨県大月市での揺れ方について

2022-01-03 17:16:16 | 日記
①令和3年12月3日発生山梨県東部の地震の震源地,各地震度分布図(山梨県東部周辺中心)※気象庁
HPより引用。


令和3年12月3日早朝、山梨県東部でM4.9の地震が発生、山梨県大月市内で震度5弱、東京都町田市、神奈川県相模原市、厚木市、松田町で震度4、他、関東~山梨県、静岡県東部の広範囲で震度3を観測しました。

②山梨県東部で発生した地震の各震源と、その断面図※気象庁HPより引用





震度5弱を観測した大月市内では、一部の建造物に天井版の落下等の微被害がありましたが、隣接するJR中央本線、中央自動車道には、一部区間で速度規制がしかれたものの、通行止め規制はなく、大きな混乱はなかった様子です。

通常、震度5弱以上の地震を観測しますと、鉄道や高速道路では、運転中止や通行止めをなるケースが殆どですが。

実は、引用図①より、今回の地震、震度5弱を観測した大月市内でも、震度5弱観測(計測震度4.5)の地点(大月短大敷地内,防災科研設置)より、直線距離でわずか1キロも離れていない大月市役所隣接敷地内の地震計(気象庁設置)では、計測震度3.5(震度4)どまりでしたし、JR大月駅構内、ネクスコ中日本大月管理事務所内では、震度4相当以下、だった模様で、JRも中央道も、通行止め規制は免れたわけです。

では、なぜ。わずか1㌔未満の近隣地点同士で、このような震度の差異が生じたのでしょうか?

引用図②より、今回の地震、地殻(プレート)の一部が北側に沈み込んでいてその沈み込み境界のような痕跡の箇所で発生しています。
実は、当該震源地周辺では、およそ600万年前〜400万年前までの、南海トラフの沈み込み痕跡の部分であり、当該沈み込み境界痕跡で発生した地震は、おもに北側を東西方向に地震波エネルギーを発散させた様子です。

ちなみに、今回の地震では、前記およそ900万年前の南海トラフ沈み込み箇所は桂川、相模川沿いの地形的鞍部と推定されますが、この地形的鞍部沈み込み境界にそって地震波エネルギーが主に発散されていったため、神奈川県津久井町、相模原町、厚木市、などで震度4を観測し、今回の地震の震源地の南側、箱根山の北縁に沿って、およそ200万年前〜100万年前に後続で発生した南海トラフの沈み込み境界痕跡周辺で、地震波エネルギーが増幅したと推定されるためと、私は考えています。(一方、大月、都留より南西側では、富士火山の活動のため、境界痕跡がはっきりしなくなってしまった様子ですね。


さて、地震が発生しますと、震源から前後方向に地殻を変形させつつ伝搬するP波と、震源から直交方向に地殻を変形させつつ伝搬するS波が生じ、双方が地表に達して縦波成分、横波成分の表面波として伝搬させるわけですが、大月市周辺のような、比較的狭隘な地形的鞍部では、鞍部周辺の地殻基盤に地震波が衝突し屈折しやすいこともあり、鞍部走行に沿って直交しながら伝搬してくる成分の地震波が卓越するといえます。(大月周辺では、南北方向ですね。)

③大月市内各観測地点地震波形と3方向加速度成分(1Galは加速度1㎝毎秒毎秒 A:市内大月短大敷地内 防災科研設置 防災科研HPより引用 B:市立大月東小学校敷地内設置気象庁HPより引用 
双方比較は波形開始時刻に注意!!

A:計測震度4.5(震度5弱)合成320.4Gal 南北195.7Gal 東西319.1Gal 上下52.1Gal



B:計測震度3.5(震度4)合成112.0Gal 南北54.4Gal 東西96.5Gal 上下69.9Gal



A,Bともに、地震動継続時間にほとんど差異はありませんが、AはBと比較して、東西方向、南北方向成分が高くなっております。


④大月市内各観測地点位置図 国土地理院HP引用・加工



通常、地震波は、大月市周辺のような谷間地形では、地震波が伝搬する方向に直交方向の南北成分が卓越するもので、基盤の傾斜急な箇所に差し掛かるとで反射する如く屈折し、進行方向斜め谷間側方向に顕著になりやすい特性があります。これは、平成7年1月兵庫県南部地震の神戸市内や、平成26年11月長野県北部地震での長野市内 でも出現しておりました。

一方、地震波が局地的に屈折などして顕著のなった地域の、隣接地域では、逆に、地震波が弱まり、揺れは減少する傾向にあります。これも、平成26年11月長野県北部地震で長野市内で見られました。(長野市役所 震度4計測震度4.4なのが、直線距離で北へ500㍍しか離れていない長野地方気象台では、震度5強計測震度5.3 となりました。)

大月市内周辺におきましても、引用図④より、震源から西寄りに伝搬してきた地震波は、ご覧のように、大月市周辺、谷間地形でも南北に蛇行しており、丁度、▽型と△型に延びる峰の先端を地震波が伝搬した、△型の峰のすぐ西側に 観測地点A(震度5弱観測)が位置しております。桂川沿いに谷間地形で顕著になった地震波南北成分は、さらに、▽型や△型の峰先端で屈折をかさねて、斜め方向にも成分を増幅させた結果、東西方向成分は一層顕著に増幅した。この結果、震度が大きくなったわけです。

逆に、観測地点Bでは、隣接するA周辺で地震波が屈折し増幅してしまったために、Bに到達する地震波は減少してしまい、揺れが抑えられたため。と私は考えております。

地震波と地形、以上見てみますと、地震波は地形に至極敏感で、地震波が引き起こす被害も、至極局地性が強いといえますね!

富士山の恩恵は?豊富な湧水と、局地風

2021-11-18 13:19:07 | 日記
引用画像は富士山周辺地形図 ヤフー地図より引用


静岡県と山梨県の県境に富士山が位置して、両県に火山特有の湧水をもたらし、富士五湖や白士との滝など、風光明媚な観光地を形成し、各数の恩恵を与えられているのは周知のとおりです。

が、両県には、恩恵でも、少々ありがたくない恩恵を富士山より被っています。それは局地風です。

冨士山の静岡県側、静岡県東部では、富士宮市周辺から富士市潤井川流域から愛鷹山南西斜面域で、北東から北〜北西風の強風が、台風や発達した低気圧が関東南岸から房総半島南東沖などを通過した際に、ちょうど台風や低気圧の北西側に入った際に、北から北西風の強風に見舞われて、瞬間で25㍍毎秒を観測することは珍しくありません。

また、山梨県側、富士五湖地方富士吉田地区や富士五湖周辺では、台風が中部山岳を通過したり、台風や発達した低気圧が日本海を進む際に、南~南西風の強風に見舞われ、時には、家屋の損壊や、倒木などの被害が生じます。

これは、前記気圧配置時に、
ア:富士山山頂付近から風下側斜面を吹き降りる気流が発生することと、
イ:富士山複で気流が接触して上昇する際に、外側隣接の気流が下降気流となり、上空の強風を引きずり下ろすため。(筆者考え)

の双方が考えられて、私見ですが、富士宮の局地風など。前記イの作用で発生するものと考えております。


それでは、この居地風の事例<静岡県富士宮市令和3年10月1日の事例> と <山梨県富士河口湖〜富士吉田市、中央市豊富地区平成30年10月1日の事例>を紹介しましょう。

<令和3年10月1日、台風16号伊豆諸島近海から房総半島南東沖を通過。
富士宮市で14時30分過ぎに北西風29.8㍍毎秒を観測>

①令和3年10月1日15時の天気図 気象庁HPより引用



②令和3年10月1日14時のウインドプロファイラー風向風速データ(Ⅰ:上空1000㍍、ⅱ:上空2000㍍、ⅲ:上空3000㍍)
気象庁HPより引用
ⅰ:

ⅱ:

ⅲ:

この日は、台風16号が伊豆諸島近海を北上して、10月1日14時過ぎには房総半島南東沖に達しておりました。
富士山頂周辺では、隣接の関東平野上空窓の風向風速により、北から北東側より北東風が、長野県から山梨県北西部上空からは、北西風で、風速およそ20㍍毎秒程度の
強風が入り込んで、双方気流が富士山頂付近で合流していたと推定、このため。前記イの影響で強風が吹いたといえそうです。


<平成30年10月1日未明台風24号中部山岳通過時での、山梨県富士河口湖〜富士吉田市、中央市豊富地区の強風災害について>

③平成30年10月1日3時の天気図 気象庁HPより引用


④平成30年9月30日24時と10月1日1時のウインドプロファイラー風向風速画像図 気象庁HPより引用
ⅰ:9月30日24時 

ⅱ:10月1日1時 


この日は、前日21時時ごろ、台風24号が紀伊半島に上陸して、速度上げて、中部山岳を北東進しました。このため。30日23時頃から山梨県富士五湖地域甲府盆地周辺で瞬間30㍍を超す暴風が吹き、河口湖では、1日0時30分頃、観測史上最高の41.2㍍毎秒(南南西風)を観測!富士吉田や富士五湖周辺、それに、中央市豊富地区や南アルプス市の一部では、瞬間で40㍍毎秒~45㍍毎秒もの南~南西風の暴風を観測して、家屋損壊や倒木などの被害が生じました。

引用図④より、9月30日24時~10月1日0時頃にかけて、富士山頂周辺では、南~南西風が40㍍毎秒~50㍍毎秒と猛烈に強まっており、前記、ア、イ双方の要因で、当該地域に猛烈な暴風をもたらしたと思われます。


このように、静岡県東部や山梨県富士五湖地域や甲府盆地など、局地風といった、富士山からの、ありがたくない恩恵を、時にな被ることを忘れてはなりません!!

5月1日 静岡県牧之原市内と沼津市内で突風被害発生!竜巻との混在で発生の箇所も。

2021-05-06 02:13:18 | 日記
①5月1日18時の天気図 気象庁HPより引用




5月1日、夕刻に静岡県牧之原市内と沼津市内で突風が発生!牧之原市内では1日18時30分頃、沼津市内(下香原地区)では1日19時10分に
発生した模様です。

引用図①より、突風発生時刻間際の1日18時には、日本海に発達中低気圧があり東北東に移動中、実はこの低気圧、上空には強い寒気を伴っていました。
強い寒気を伴った低気圧というもの、当該低気圧の進行方向東~南側の下層には、南から暖湿流が大量に流れ込むこともあり。大気が非常に不安定になります。
突風が発生した牧之原市や沼津市が位置する静岡県内では大気が非常に不安定であった様子がうかがわれます。


ⅰ:牧之原市に突風が発生した1日18時30分の静岡県中部周辺レーダーエコー図※突風被害発生区域を黒線で囲んであります
国土交通省川の防災情報HPより引用と加工




ⅱ:沼津市に突風が発生した1日19時10分の静岡県東部周辺レーダーエコー図※突風被害発生区域を黒線で囲んであります
国土交通省川の防災情報HPより引用と加工





引用図②より、牧之原、沼津ともおのおの突風が発生した時刻頃には、ほぼ南北に帯状に連なる発達した雲の集団(帯状クラスター)がかかっておりますが、この帯状クラスター、南から暖湿流が大量に流れ込んで、一部暖湿流同士が収束しているために発生したものですが、

ⅰ:より、牧之原市内に突風が発生した区域には、北西側にフック状の発達したクラスターがあります。これは竜巻が発生している証左ですね。

一方、他区域、東側や南側には、別の発達したクラスターとの間部に入っています。こういう発達したクラスターの間部に当たる区域では、発達したクラスターの上昇流で上昇した気流が上空の強風を引きずり降ろしながら下降する箇所でもあり、この上空の強風が引きずり降ろされることによる強風災害が発生しやすい箇所でもあります。

この様子より、18時30分頃の牧之原市内の突風被害発生区域では、北西部区域では竜巻と推定!他区域では、上空の強風が引きつり降ろされたことによる局地的な強風であったといえそうです。

また、ⅱより、19時10分頃の沼津市内下香原地区では、やはり、発達したクラスターの間部に入っています。これにより、上空の強風が引きずりおろされたことによる局地的な強風といえそうですね。

牧之原、沼津市両市内に突風被害が発生した時刻頃の1日18時~19時にかけては、引用図にはありませんが、静岡県内上空3000㍍~5000㍍付近では、概ね南西から南南西風で風速30㍍毎秒~40㍍毎秒と推定され(静岡ウインドプロファイラー風向風速データから推定)、発達したクラスタの間部には、当該上空3000㍍~5000㍍付近の風速値の強風が吹き降りる(筆者調べ)ことになります。
さらに、沼津市下香貫地区などは、地形的に鞍部になっていることも相まって、強風被害を発生させてしまった といえるでしょう。

今回の5月1日の突風被害、久々に甚大なものでした。損壊家屋が牧之原市内でおよそ100棟 沼津市内でもおよそ20棟!このほか、牧之原市内ではトラックの横転や電柱の倒壊多数!
日本版Fスケールでは、牧之原市内ではF2 沼津市内ではF1と推定されるものでした。

改めて合掌!!東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から10年

2021-03-11 01:32:45 | 日記
本日11日で、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から10年が過ぎました。

今回も、この東北地方太平洋沖地震、どのように引き起こされたのか振り返ってみましょう。

一昨年、昨年同日の本ブログ記事の一部を再度引用しますが

①㍻23年東北地方太平洋沖地震発生させた地殻変動の時系列図 防災科学技術研究所HPより引用


◇引用図①より、

宮城県牡鹿半島東約130㌔東で発生した変動(震源)は、発生後90秒までは、プレート間内陸部に近い部分で一部発生するものの、
殆どの変動は、震源より東側、宮城県沖でのプレート間の海底の近い部分(比較的軟らかい地層)主体に変動しており、この変動のずれは、一部で50㍍以上に
及んでおります。



◇変動発生後90秒後になりますと、これまでとは異なり、プレート間でも、陸地に近い部分での変動が発生、比較的古い堅固な地層が変動したことで、比較的
周期の短かい地震波を発生させて、



◇発生100秒後になりますと、福島県沖でも変動が発生、この変動も、プレート間の陸地に近い部分での
変動が広がり、やはりこの地域特有な比較的古い堅固な地層が変動したことで、これまた比較的周期の短かい地震波を形成させながら、プレート間での変動は次第に
茨城県沖へと広がった。

というシナリオを描きました。

②平成3年東北地方太平洋沖地震での宮城県築館、塩竃、茨城県日立 と、平成7年兵庫県南部地震での、兵庫県鷹取と葺合での地震波速度応答スペクトル図
(東京大学地震研究所HPより引用)



引用図②より東北地方太平洋沖地震、前記のように、比較的周期の短い地震波が多く発生したことで、
建造物の深刻な被害を与える地震波は多くなかったことがわかります。

しかしながら、前記のように、プレート間の海底に近い地層の変動が甚大であったことで、未曽有の大津波を引き起こす結果
となりました。

③平成23年東北地方太平洋沖地震で、いずれも震度7を観測(防災科学技術研究所観測)した、
ⅰ:宮城県築館 ⅱ:茨城県日立 ⅲ:栃木県芳賀 での地震波形図(防災科学技術研究所HPより引用

ⅰ:


ⅱ:


ⅲ:


④平成23年東北地方太平洋沖地震での最大加速度観測分布図 防災科学技術研究所HPより引用





引用図③ⅰより、築館では、変動発生後およそ90秒後発生した、宮城県沖での陸地に近いプレート間が変動したことでの
比較的周期が短かい地震波が最大の揺れを引き起こしましたが、周期が短い地震波のため、最大の揺れはすぐにおさまっています。

引用図④より、最大加速度1000GAL以上を観測した、マゼンダ色の観測地点が、宮城県内、福島県内と、関東地方の広範囲にまで
及んでおりますが、今回の地震が、宮城県から福島県、そして、茨城県沖でのプレート間の変動が、陸地に近い比較的深い地域の境界部分で発生したため、
変動した地殻が比較的固く、地下の比較的深い箇所であったため、内陸部の広範囲にまで、比較的周期の短い地震波が発生拡散していったといえる証左ですね。


日立では、変動発生凡そ110秒に最大の揺れを観測、これは、当初発生した宮城県沖の変動に伴う地震波と、福島県沖から茨城県沖に変動が及んで発生した地震波との収束の賜物で、
芳賀(栃木県)での最大の揺れは110秒から120秒にかけて発生しております。


最大の揺れの発生時刻が、ⅰ→ⅱ→ⅲと時系列で変化していることがわかりますが、これは、福島県沖から茨城県沖での変動の伴う地震波と、最初に発生した
宮城県沖での変動で発生した地震波が、福島県中通り地域に広がる、地形的鞍部を伝播して、収束した結果と思われます。

さらに、気象庁HP内、強震観測データの項目をひも解くと、東北地方太平洋沖地震発生時の、各観測地点の波形や、加速度、震度などが閲覧できますが、と以外強震観測データより、地震波の加速度(瞬間的な揺れの強さ)に地域性があり、総じて、加速度が高かった地震といえそうです。

地震波は、加速度は高くなるほど、当該地震波の周期は小さくなり(比較的がたがたと揺れる)加速度が低くなるほど、当該地震波の加速度は大きくなる(比較的ゆさゆさと揺れる)ようになる性質があります。

一つの地震の中には、様々な周期加速度の地震波が含まれてはいるものの、おおまかに地震波の加速度と周期の間には次のような関係があります。(引用画像は気象庁HPより)


東北地方太平洋沖地震では、震度7を観測した宮城県栗原市(栗原市築館)での最大加速度(南北、東西、上下3成分合成)で、2933ガルなのに対し、20年前の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)発生時の、
震度7と推定される地域の最大加速度(3成分)は、おおむね700ガル〜800ガルでした(気象庁等調べより)同じ震度7でも、栗原市は、周期0・1秒程度だったのに対し、兵庫県南部地震での震度7観測地域では、
地震波の周期は0.8秒~0.9秒程度だったことになります。

地震波とその周期との関係として(筆者調べ)

◆地震波の周期が1秒程度であると、建造物と共振して揺れが大きくなり、建造物にかかるダメージは大きくなってしまいますが、周期0・1秒~0.4秒の短周期の地震波は、山がけ崩れや、
建造物の外壁破損や屋根瓦のずれ・落下などは発生しやすくなるものです。

◆地形的に、台地や丘陵などの比較的固い地盤では、周期の短い地震波(周期0・3秒以下)が共振しやすく、三角州や埋め立て地などの軟弱地盤では、
比較的周期に長い地震波(周期0・6秒以上)が共振しやすくなります。

◆さらに、周期の短い地震波ほど、崖の周辺や硬軟が不均一な地質を伝番する際に、地震波が屈折、反射して、より周期な短く、加速度が高い地震波を
発生しやすくなります。


まさに、東北地方太平洋沖地震、比較的周期の短い地震波が多かった地震といえますね。東京都内でも、山の手地域の観各観測地点が、下町地域の観測地点よりも加速度は高く観測されております、

山の手地域の属する、杉並区や中野区、千代田区の一部では、加速度が、300ガル台〜400ガル台を観測しており、被害状況(総務省消防庁)見ましても、一部破損家屋の戸数は山の手地域でもまんべんなく発生しており、杉並区で956棟も発生していることからも、このことが伺えられますね


続いて、全被害のおよそ90%をもたらしたといえる 津波 ですが

◇プレート間の変動と、変動に伴う地殻変動との双方で津波を発生させ、双方が合体し、大津波を引き起こした!!⑤岩手県沖~宮城県沖~福島県沖のかけてのGPS波浪計の観測結果(港湾航空技術研究所HPより引用)
※引用図内メートル表示数字は、観測地点の水深です。


引用図⑤より、地震発生直後から、プレート間の変動に伴う海面の変動が見られ、引用図内矢印で示す第1波の峰は岩手南部沖と宮城北部沖で比較的大きくプレート間の変動が、これらの地域の沖合で大きかった所作ですが、
岩手中部沖や岩手北部沖、それに、福島県沖には、第1波の峰のあと、それ以上に極めて短時間に急な海面の変動が見られます。

この急な海面の変動ですが、
岩手北部沖では15時19分に約4・0㍍上昇、岩手中部沖では、15時12分に約6・3㍍上昇、岩手南部で、ほぼ同時刻の15時12分に、約6・7㍍上昇福島県沖でも、15時15分頃、約2・6㍍上昇 となっており、
各々の地点で、ほぼ同じ時刻頃に、急な海面の上昇が見られます。

なお、宮城北部沖と宮城中部沖でも、津波の第一波の峰自体高いところへ、前記の各地点と同様な短時間での海面の上昇が見られるものの、測定機材が津波の影響で測定不能となってしまい、正確な値は測定不能です。

これら、第1波の峰の後の、短時間の急な海面の上昇は?それは、地震を引き越したプレート間の変動の後、岩手県沖から福島県沖にかけて、プレート間変動とは別の地殻の変動があったといえ、当該地殻変動は、引用図④より、岩手県沖と、もう一つ、福島県沖でも発生したものといえますね。

そして、この地殻変動が発生した原因ですが、引用図➀より、今回の東北地方太平洋沖地震、岩手県沖から茨城県沖にかけて、プレート間の変動は、陸側の直下に近い箇所からプレート間の境界の日本海溝の海底に近い箇所まで広範囲に変動が生じましたが、とりわけ変動した面積が大きい箇所は、岩手県沖から宮城北部沖の部分と、もう一つ、福島県沖沖にもみられます。
どうも、この、変動の面積が大きい ア:岩手県沖から宮城県北部沖 と イ:福島県沖で、海溝側に堆積している比較的柔らかい地層が、プレート間変動に触発されて、大規模にかつ、急激に崩壊移動したためではなかろうかと私は考えております。

今回の東北地方太平洋沖地震のように地震を起こすプレート間の変動が、海底近くの箇所が広範囲に大きくなった場合、2次的な地殻変動が海底で発生しやすく、大津波をひこ起こす。このことは今後の教訓となるでしょう!!

19日昼前 東北道宮城県内で地吹雪下での多重事故発生!原因の一つにこんな所に!

2021-01-20 03:07:56 | 日記
①1月19日11時50分頃発生した東北道宮城県内事故発生位置と周辺地図画像※+印が事故発生地点(国土地理院HPより引用加工)




1月19日、北日本東日本中心に冬型気圧配置が強まり、北海道や東北中心に風雪が強まりました。
この状況下、19日11時50分頃、宮城県大崎市内の東北道で、地吹雪による、強風伴った視界不良状態が発生、
延べ100台以上が関係する多重衝突事後が発生してしまいました。

引用図①より、事後発生地点は、宮城県北部、奥羽山脈の地形的鞍部の接する場所で発生しています

②1月19日12時の天気図 気象庁HPより引用


③1月19日 ⅰ;11時の東北地方南部周辺アメダス気温と風向風速分布図 ⅱ:12時の東北地方南部周辺アメダス気温と風向風速分布図
ともに気象庁HPより引用

ⅰ:




ⅱ:


事故発生当時の19日12時、北日本東日本中心に冬型気圧配置が強まり、事故発生地点の宮城県北部では、地形的特性も相まって、
西北西風が概ね10㍍毎秒以上と強まり、事後発生地点付近気温は概ね-2℃〜-4℃程度。11時より12時になって風速は増しています。

積雪下で、気温がより低く、風速がより大きくなると積雪が大気中に舞い上がる(吹雪)状態となりやすく、視界が悪化し
筆者自身の調べでは、積雪がある状態で概ね気温-3℃以下、風速が10㍍毎秒以上になると、視界が50㍍以下(高速道路の通行止め基準)
となります。事故当時、吹雪で高速道が通行止めになりつつある状態ではありました。

さらに

④1月19日6時〜12時~18時にかけての仙台における ウインドプロファイラー時間高度断面図 気象庁HPより引用




事故発生地点に隣接する、仙台でのウインドプロファイラーによる鉛直方向に気流の様子を見ると、地表付近では概ね下降流の場でありますが、
19日11時まで、上空3000㍍~4000㍍付近では、上昇流となっていました。相対的な暖気移流の場となったからです。
が、11時を境に、上空3000㍍~4000㍍付近でも、相対的な寒気移流の場となって下降流が顕著となるものの、11時30分頃になると、上空3000㍍付近で再び上昇流となり11時40分頃にかけて
上空2000㍍付近まで上昇流の場は拡大しました。その後、上昇流の場は再び衰え、12時10分頃には、地表付近から下降流の場となっていきました。

このように、上空3000㍍付近で上昇流の場と下降流とが時系列で混在していると、地表付近では気流は乱流するようになるもので、とりわけ、上空3000㍍付近で、上昇流の場から下降流の場に転じる
状況下で、風の息は一番荒くなりながら風速は強まり、最大瞬間風速を観測するようになります(筆者調べ)


19日におきましても、事故現場に隣接するアメダス古川で、11時56分に、最大瞬間風速27.8㍍毎秒を観測しております。

今回の多重事故、現場付近では地吹雪が発生する状況下となりつつあるところに、風の息が荒くなりながら強まったため、地吹雪が強まって視界をより一層悪化させたため。と思われます。