ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
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やっぱり登りたい!「馬の背はどうだ?」

2019年08月24日 23時06分30秒 | Weblog
「馬の背」と呼ばれるポイントへ行くためには、夏ルートとは全く違ったルート取りをしなければならない。
両サイドが切れ落ちたナイフリッジの稜線上を通り、馬の背へと向かう。


トレースは一切無い。

ノートレース上のナイフリッジを進むことは何度も経験はしているが、このルートにおいては初めてだ。
緊張はあったが、それよりも期待感が上回っていた。
どこか楽しみにしている自分がいた。

かなり危険なコースとなるため、N君は奥穂のてっぺんに残し自分一人でスタート。
一歩一歩が楽しい、そして重い。
その重さは未知のルートへの緊張感でもある。
「夏は何度も歩いているけど、やっぱりこの時期はまったく違う。」
そんな当たり前のことを思いながら一歩一歩慎重に進んだ。

徐々にナイフリッジが厳しくなってきていることが嫌でも分かった。
両サイドの切れ落ち具合がスタート時よりもあきらかにきつい。


どこまで行けるかは行ってみなけりゃ分からないが、せめて馬の背を下りてみたい。
雪がしっかりと付いていてくれれば下りるだけの自信はあった。


N君が何枚か写真を撮ってくれていたが、「無理はしないでいいから。適当にね。(笑)」

途中何度か立ち止まり、雪質の状況を確認した。
緊張感は増している。
右も左も落ちたら「はいそれまで・・・」ということだけは確かだった。
より慎重に確実な一歩を刻む。
ピッケルで探りを入れ、行けそうだと思ったら一歩、そしてまた一歩。

なんとか馬の背の手前まで来たが、馬の背を見て愕然とした。

雪が無い・・・
雪が残っているのは完全にルートから数メートルも離れた下の方で、ザイルにより確保が必要だった。
「さて、どうするか・・・。アイゼンを装着したままでこの岩のかたまりの急勾配を下りるのはあまりにもリスクが大きい。」

そうは思っていてもこの先まで行ってみたいという欲求がある。
しばし二つの思いを天秤に掛け考えた。
「・・・止めよう。やっぱ危険すぎる。ザイルもないし、ましてや確保してくれるパートナーもいない。」

12本の爪がこの時ばかりは仇となったかも知れない。
それでも行けるところまでは行ってみたという実感は得た。
再びナイフリッジを戻り奥穂へと向かった。

N君には「無理だったよ」と笑って言ったが、内心悔しさはあった。
「さぁて、一服したら下りようか。小屋で何か食べたいね。」


山頂から見下ろした上高地方面。
河童橋も見える。


下山を前にくつろぐN君。


やっぱりてっぺんでの一服はうまいね♪


よっしゃ! いよいよ下りるよ。
覚悟はいいかな。


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