自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

秋の“虫の目”写真(5)

2015-11-15 | 随想

昼休みのウォーキング道での出合いを一つ。

真っ直ぐに伸びる農道。両側に広がる田は,稲がほとんど刈り取られています。農道の土手は草が刈り払われあと,短く生え揃った草がずっと向こうまで続いています。その所々にカラムシが群落をつくっていて,そこにアカタテハが産卵期になると卵を産み付けます。

 
秋の今頃になると蛹が多く見られるのがふつうなのに,今秋はあまり見かけません。すこし前幼虫はたくさんいたのですが,蛹はさっぱり。たぶん,草が刈り取られたからでしょう。ということは,アカタテハの最大の外敵はヒトだということになります。

「それでも」という気持ちで,とりあえずは探してみました。すると,たった一カ所だけ葉が綴られて巣になっているところがありました。開けてみると,うれしいことに蛹がいました。白い体色をした,懐かしい蛹です。

 
「これは是非とも“虫の目写真”で画像に残しておきたい」と思いました。遠景が広がっていて,構図になりそうです。

翌日,カメラを持って行って撮りました。しかし,葉の下にある被写体を主役にしながら,環境を取り込むというのはなかなかむずかしいものです。幸い快晴の秋日和でしたが,蛹自体にはさっぱり光が当たっていません。垂蛹の格好をそのまま生かしながら,周辺の環境を入れるのに苦労しました。空も,山も,田も。そして,カラムシの群落も。それでいながら,主役を脇に追いやってはならないのですから。

 

 
結局,カメラを縦方向に構え,フラッシュを使って撮ることに。その一コマが上写真です。撮ったときのわたしの姿勢は,道路に腹這いになった格好です。

こうして撮った画像は一枚一枚が掛けがえのないそれぞれです。この一枚も秋の記憶として残り続けるでしょう。