落葉樹林があれば,子どもたちを誘ってそこで基地づくりやターザンごっこをさせたいと思ってきました。ターザンごっこなら,木に蔓が巻き付いて,枝から茎が下がっていて,それらを利用できたら申し分ありません。自然のなかで,からだを使ってただただ遊び興じるだけ。それは原体験そのもの。
しかし,周りに山はあってもそこはスギやらヒノキの植林地。木が大きくなっても,ターザンごっこに適した樹形でもなし,蔓があるわけでもなし。にもかかわらず,なんとかそれに近い体験をさせたいと思い,実行に移しました。
まずは,施設に隣接した広場にあるクヌギを利用して,準備的な活動としてターザンごっこをするのです。それには,枝を選定して余計な枝を伐採する,ロープを引っ掛ける,ロープにぶら下がれるように足場を作る,そんな作業が必要になります。
わたしはあくまでガイド(仕掛け人)で,安全上の注意点と危険性について伝え,活動のヒントを与えることが主なしごと。作業は,リーダー(4年生)が中心になって進めていきます。結局わたしがした作業は足場作りだけでした。安全面を最優先する以上,それだけはやっておかないといけないと判断したからです。よくあることですが,おとながあれもこれもお膳立てするような活動内容は,子どもの育ちにとって有害無益のなにものでもありません。
準備の段階から,遊びの実際に至るまで,子どもたちはじつに生き生きと活動していきました。1年生の子どもまでが木に登って,ロープを移動させようとしました。ちょっと擦り傷ができましたが,「大丈夫,大丈夫」といっている様子からは,それはそれで活動の勲章のようなものに見えました。
ターザンごっこはおもしろい! 見守るのもおもしろい!