家のすぐ近くの市道。法面が大きな斜面になっています。そこにカラムシが生えていて,それを食草とするアカタテハの幼虫が棲息しています。その幼虫と競合するようにして,フクラスズメの幼虫がたくさん棲んでいます。
どちらも葉を綴って巣をつくるので,見つけるのは簡単です。
体色が鮮やかなので,ひどく嫌う人がいます。もしかすると毒をもっているのかも,という警戒心が生まれるようです。しかし,体色ほどの強烈ななにかを持っているわけでもなく,素手で触っても大丈夫です。それともう一つ,指を触れると,からだを反らせて頭部を振動させ,併せて緑色の液体を吐きます。これは,あくまで危険を回避する防御行動です。そうした特有のあり方によって,生き延びるために自分の毒々しさをアピールしているにすぎません。
たくさんいれば,成長の進み具合に開きがあるので,若齢期のものから終齢期のものまでを連続的に観察できます。そればかりか,運がよければ脱皮のような大きな変化を目撃することだってできます。
偶然,脱皮直後の幼虫を見かけました。頭がオレンジ色。尾部近くに,脱ぎ捨てた皮がありました。このときの幼虫は他の幼虫同様,表皮はまだ軟らかく,動きもゆっくりとしています。
翌日,この皮を食べたかどうか確かめました。皮はそのままでした。どうやら,フクラスズメは脱いだ皮を食べようとしないみたいです。
幼虫はたくさんいるので,いろんな様子を画像に残すことができました。もちろん,虫の目レンズでも撮っておきました。葉の下にいるからだを,周りの環境を広角にいれて写し込むのは,なかなかむずかしいものです。撮影地点は路面より下に位置します。なんとか遠景の家並みを取り込むことができました。
撮り終わると同時に,あらあらふしぎ,幼虫は下に向かって移動し始めました。
この幼虫は間もなく蛹になります。しかし,その蛹を一度も見たことがありません。この際,飼育して確認しようかなと思っています。