虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

NHKBS 証言記録 日本人の戦争

2011-08-22 | 映画・テレビ


NHKBSの「証言記録 日本人の戦争」を見た。これは、やはりNHKでしか見られない。とてもいい番組だった。(テレビ、しかたなく地デジにしました)。

前編、後編合わせて、6時間。80歳以上になる戦争体験者の貴重な証言と映像だ。
前編は、日中戦争から、昭和19年7月まで、ガダルカナル戦やインパール戦、テニアン島玉砕など。後編は、昭和19年7月から敗戦までの1年間。レイテ戦やニューギニア戦、特攻、満蒙開拓義勇団や疎開、沖縄戦などなど。

わたしも戦後生まれだから「あの戦争」のことはあまり知らない。だいたい、学校で、太平洋戦争の経過など、教えてもらったことがない。ミッドウェイで、ガダルカナルで、インパールで、レイテで、どういう戦争が行われたのか、マニアは別にして、詳細は知らないにちがいない。わたしの子供の世代になると、「ガダルカナル」と聞いたって、それ何?という始末だ。あの歴史を知らない国民が大半を占める。しかし、日本人は、あの大戦争を、戦争の各局面各作戦の詳細まで知らなければならない、と思っている。

かつて、大戦争があって、300万を超える人々が死んだ、というだけの漠然とした認識だけですましてしまってはいけない。戦国や幕末維新などの歴史などとは比較にならないくらい痛切重大な歴史のはずなのだ。



証言するのは、ほとんど80歳以上の人々だが、その高齢にもかかわらず、その語る言葉は知的で、明晰であり、真剣。衝撃を受けた。ずっと戦争についての体験をひきづり、戦争について考えつづけててきた人々の言葉は、胸をつく。とても高齢者、老人とは思えない。戦後、日本人全体が戦争を反省し、検証し、責任を明確にしなければならなかったのだが、戦後の人々はいちはやく戦争を忘れたような日々を送ったが、かれら体験者、高齢者たちだけが、戦争という現実になお対峙させられてきた、という印象だ。また、人が語る言葉の重み、凄さを思った。日々、垂れ流されるテレビのキャスターやコメンテーター、芸能人たちのテレビからの言葉の空しさ、無意味さを感じた。

かれら戦争体験者は、わたしの親にあたる世代だ。本来なら、戦争は親の仇だ。わたしたちは、なぜ多くの親たちが、あのような惨めな死に方をしなければならなかったのか、このようなことは2度と起こしてはならない、ゆるさない、と発憤して真相を追求すべきことだったのだ。だが、そうしなかった。

見ていて、戦争の悲惨さもさることながら、怒りがわきおこってくる。この怒りは何に向けられるべきか、息子の世代が明らかにすべきだったのに。

あの戦争体験者は、あと10年もすれば、この国から完全にいなくなる(いや、証言をして数ヶ月で亡くなった、という人もおられたようだ)。
もうすぐ、戦争を知らない人たちばかりの国になる。
証言を記録しておく、というNHKのこの企画はよろしい!

再放送があるそうなので、見てない人は是非見てほしい。
8月25日 前編 8月26日 後編に再放送するそうです。