虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

すれちがった人たち②

2010-10-04 | 日記
新聞に小さく「ロマン・ロラン研究会」の案内が出ていた。このころは、ロマン・ロランに心ひかれていたので、バイトを終えてから夜、一人で参加することにした。20歳のころだ。

場所は銀座のどこかのビルだった。探して、受付の場所へいくと、ちょうど同時くらいに一人の目のぱっちりした女の子が駆けつけてきた。いっしょに入ろう、ということで、隣同志にテーブルに座った。

テーマは「狭山裁判」で、報告者が狭山裁判について語っていた。なんだ、ロマン・ロランについての話ではないのか、とがっかりした。ところが、隣の女の子は、手をあげて積極的に報告者に質問している。その場の空気を破って発言する人は尊敬する方なので、スゲーと内心感心した。会が終わり、その女の子といっしょに帰ることにした。

「ロマン・ロラン読んだことあるの?」「ない。まったく知らない」と答える。
「狭山裁判知っているの?」「知らない。全く知らない」と答える。大笑いした。

歩きながら話を続け、駅についた。喫茶店でも入ろうか、と誘おうと思ったが、言えなかった。
電車に乗る。つり革につかまって、また、いろいろ話をする。女の子は「明日、大学祭なの」としきりにいっていた。女子大だったが、「来ない?」と誘われているような気がしたが、バイトの日々だから、どうせ、そんな余裕はねえ。反応しなかった。

その子が降りる駅に電車は着いた。「じゃあ」といって電車を降りて、さよなら。名前も知らない。一瞬のすれちがいだ。
しまった、と思った(笑)。(ネタがないからとはいえ、なんのはなしや)

なお、まだ不完全禁煙。タバコは買っていません。いいかげん、完全禁煙しろ!