虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

すれちがった人たち①

2010-10-03 | 日記
ロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」にアントワネットという女性が出る(作品の中では、この女性のために「アントワネット」という章を設けているくらい重要な人物だ)。

クリストフの親友になるオリビエの姉だが、若くして亡くなる。クリストフがオリビエと知り合う前にこの女性とすれちが場面がある。うろおぼえだけど、劇場で席がたまたま隣同志になり(少しは会話する)、その後、あるとき、駅のプラットホームでクリストフが電車に座っていると、もう1台の電車も止まり、そこにアントワネットが座っていて、互いに相手を認めるが、電車はそのまま通り過ぎ、それっきり二人は2度と会うことはなかった。ちょっとしたごく短い場面だけど、印象に残るシーンだ。

ちょっとすれちがった人だけど、妙に印象に残る人たちっているよね(前ふりが長いぞ!)

それで、小生の場合(笑)。

時は中1の1学期。場所は東京練馬の原っぱ。
わたしは、学校をさぼって、一人、畑の前で木刀の素振りをしていた(机龍之介の真似をしていた)。どこから現れたか、それを横から見ていた同じ年頃の男子がいた。ニヤリと笑って「おれにもやらせて」と声をかけてきた。

近所の子ではなく、中学校も違っていた。初めて見る男。わたしと同じように学校をさぼっていたのだろうか。すぐ、仲良くなり、原っぱで、相撲、柔道などをして草原を転げ回った。

「親指1本で相手は倒せるさ」といった。「学生服の上から3番目のボタンがあるだろ。その下を親指でつくんだよ。今度、試してみな」と教えてくれた。喧嘩の達人だ。2,3時間遊んで、別れ際に、「君、このへんでイヤなヤツいないか、いたら教えろよ」といったので、上級生の「シン」という名前だけ教えた(小学生のころのこのへんのボスだった)。

それから、数日たってから、近所の同年配の子から「おい、変なヤツが来て「おまえはシンか?」と、いきなりむなぐらをつかんできた、だれだい、あいつ」と文句をいってきた。
きっと、「シン」を探して歩き回っていたにちがいない。

とにかく、それっきり会っていない。名前も何も聞いていない。昔の藤 竜也(藤原 竜也ではない)をそのまま子供にしたような顔で、藤 竜也を見ると、いつもこの子を思いだす。

なお、不完全禁煙。今日はしけもくを1本。何ヶ月も前のヤツで頭がクラッときた。