虎尾の会

幕末の草莽の志士清河八郎の会の名を盗用しています。主人は猫の尾も踏めません。

百姓一揆の小説

2007-07-27 | 一揆
人気の藤沢周平に「義民が駆ける」(庄内の天保一揆)がある。
メジャーな作家には珍しい。司馬遼太郎も松本清張も書かなかった一揆ものだ。
でも、初期の藤沢周平は、この小説の他、雲井龍雄を描いた「雲奔る」などがあるが、もし、初期の作品しか残さなかったら、藤沢周平はこんなにメジャーにはならなかっただろう。読みやすくないし、印象もあまりない(わたしは、藤沢周平は苦手)。これは藤沢周平の作品の中ではあまり読まれてはいないのではなかろうか。
しかし、よくぞ、書いてくれた、と思う。

あとは、わたしの知る限りでは、ぐっと古くなる。
西口克己「直訴」(文殊九助をあつかったもの、未読)、江馬修「山の民」「本郷村善九郎」、西野辰吉「秩父困民党」(未読)。
集英社文庫で小野寺公ニという人の「南部一揆の旗」(三閉伊一揆)という小説もあるが、未読だ。正延哲士に「安房一揆 万石騒動」がある。
おそらく終戦直後にはいっぱい出たのにちがいない。しかし、泡沫のごとく消えてしまっている。

短編では、南條範夫に「武左衛門一揆」、水上勉に「城」(松木荘左衛門)がある。あと、海音寺潮五郎の短編「田村騒動」,そして、列藩騒動録の中の「阿波騒動」も背景に百姓一揆が出てくる。

あとは、地方の小さな出版社か自費出版もので、今井文栄「一揆 上田藩宝暦騒動」、児山祐一良「千原騒動」、田靡新「播磨寛延一揆」などもあるが、どれも古書店でしか手にいれないし、はっきりいっておもしろくはない。

なんでおもしろくないのだろう。年貢など当時の税法がわからず、お百姓さんの暮らしも実感できないからかもしれない。

他にもわたしの知らないおもしろい一揆ものの小説があるのかもしれない。教えてほしい。