らんかみち

童話から老話まで

叔母の死後に起きたできごと

2014年06月01日 | 暮らしの落とし穴
「なんかきれいなモンがある。あれはなんでしょね」とご近所のおばちゃんが招くので物置を見に行くと……こ、これは! 無知ほど幸せなことはない、という人もいるけど、本当だね。逆さ徳利なら間違いなくスズメバチの巣だ。



 このところ陽気の良いせいか、アシナガバチやスズメバチが多いなと思っていた。去年よりかなり早くから見かける気がする、と地球温暖化を心配していたんだが、このおばちゃんとこの物置が蜂たちの巣窟だったのか。スズメバチの巣、三つ。アシナガバチ他の巣、十数個を駆除した。

 今の時期、女王蜂が一匹で巣を作ってボチボチ卵を産み付ける。幼虫はそれぞれの巣に五つくらいしかいなかったけど、スズメバチはいずれ大所帯になる。そのときになって駆除するのは、大げさでなく命がけだ。真夏にカッパ着てフルフェイスのヘルメットをかぶって殺虫剤を噴霧するのは、別の意味での命がけになる。去年がそうだった。

 梅雨明け時分に叔母が亡くなって家の片付けを始めたけど、雑草はもちろん虫や蜂などの楽園になっていた。蛇やマムシも見かけたし、この世のものではない何者かも巣くっているような気がした。実際、叔母が亡くなってから、その家は次々と災厄に見舞われ、ぼくは鎮魂に往生した。その内容は詳らかにできないけど、かかった費用は7桁の手前だった。
 
 えっと、怖い話の公募は……あるある。近いうちにあるようなので、叔母の許しを得てから書き始めたいと思う。叔母の許し? そう、叔母の遺骨はまだ納骨されていない。それにも訳があるんだけど、ここに書くことができるほど生易しいものではない。とりあえず、南無大師遍照金剛……。