北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■西村明美銅版画展 雪降る、花降る街に…。 (2016年9月17~23日、札幌)

2016年09月23日 09時07分20秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌の西村明美さんは毎年のように個展を開いているほか、2010~11年には札幌芸術の森美術館が開いた「札幌美術展」にも出品しています。その手法はユニークで、一般の版画は、ひとつの版(のセット)に、1枚が対応しますが、西村さんの場合は、花一輪を彫った版を、紙の中央におしたり端におしたりして、単数の版で複数の版画作品をつくります。
 インクや紙を変えたり、同じ版画でも展示の向きを変えたりすれば(西村さんの作品の多くは正方形なので、縦横や天地は自在に変更可能)、さらにバリエーションが豊富になります。

 そのような手法で制作されたのが、個展タイトルともなっている「雪降る、花降る街に…。」です。
 ダリヤの花を、三つの版を巧みに組み合わせることで、9枚の紙に表現しています。

 ところどころ、水滴のように花の上に白い粒が散っています。それが雪をイメージさせます。

 黒い紙に銀色のインクも使っています。

 西村さんの手法では、どうしても背景が白く抜けてしまいます。セザンヌ以前の伝統的な西洋絵画ではあり得ないことなので、違和感を抱く人もいるようです。
「わたしはそれほど風土にこだわる人じゃないけど、雪が積もってあたりが真っ白になるのは普通に経験しているので、ぜんぜん不自然じゃないんですよね」
という意味のことを西村さんは話しておられました。
 東洋絵画では水墨画から漫画まで背景を白いままに残すのは普通のことであり、筆者はとくだん違和感はありませんでした。


 その反対側の壁面には、4枚組みの「桜舞い散る月曜の朝に」が飾ってあります。
 ソルフュージュバイオレットという、落ち着いた紫系のインクを用いました。

 題はエリック・サティをイメージしたそうですが、根底にあるのは、発生から5年がたった東日本大震災への思いのようです。右から2枚目は黒い紙に銀のインクで刷っています。
 春に咲く八重桜には、亡くなった多くの人への鎮魂の念が込められているのかもしれません。


2016年9月17日(土)~23日(金)午前11時~午後6時(最終日~5時)
ギャラリー創(札幌市中央区南9西6)

□西村さんのサイト http://www17.plala.or.jp/an-unit/
□銅版画日記 http://an-unit.cocolog-nifty.com/

「思考する植物空間」西村明美銅版画展(2009年9月)
「Akemi Nishimura cooperplate print exhibition『マドンナの幻想』」(2007年)
西村明美銅版画展(2007年)





・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイアール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分

※ト・オン・カフェから約500メートル、徒歩7分。鴨々堂から約650メートル、徒歩8分。HOKUBU記念絵画館から約1.2キロ、徒歩16分。ギャラリー犬養から約1.9キロ、徒歩24分。れんがギャラリーから約700メートル、徒歩9分


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。