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森山大道「北海道」(2)

2009年07月20日 21時39分44秒 | つれづれ読書録
承前)

 では、森山大道写真集「北海道」について、撮影地を中心に、読み解いてみたい。
 どれだけの分量になるか、想像もつかないが…。

 先述したとおり、写真集にはテキストは一切ない。
 したがって、以下の文章は、写真集の鑑賞の妨げになるかもしれない。作者の意図に反したものといえるかもしれない。
 それを念頭においてお読みください。




 背後に見えているのは共済ビルだろうから、たぶん札幌市中央区北4西1。
 手前は北5条通で、右側の道路(バスが走っている)のが創成川通だろう。
 最初に選ばれたプリントにいきなり「日教組撲滅」と大書された右翼のビラが電信柱に貼られているのも意外だが、たぶん政治的な意図はないのだろう。そういえば、昔はあちこちに右翼のビラがあったものだ。
 交叉点の向こうの電柱には「札幌興農園」の広告がはってある。五番舘デパートの前身ともなった農具・たねの老舗である。
 信号を待つスーツ姿の男性とワンピースの女性が背中をこちらに見せているが、服装などからはとくに時代を感じない。




 小樽駅前。
 まだ長崎屋が建つ前で、その場所に、小樽を代表するそば屋である「藪半」が見える(いまは仲通に移転)。
 先日撤去された歩道橋はまだ設置されていない。また、このほど取り壊し工事の終わったサンビル(小樽国際ホテル)は、工事中であるのが見える。このビルは、写真集の末尾近くで登場する写真ではほぼ完成している。
 右側には札幌と小樽を結ぶ国鉄バスがならんでいる。この区間はもちろん列車もたくさん走っているが、バスの便も多い。正面に「特急」とあるのは、現在の都市間高速バスよりも停車個所の少ない便。この下に「急行」という設定もあり、これは普通列車とほぼおなじ個所に停車していた。さらに「快速」は、札幌中心部はバス停をいくつも通過していくものの、手稲をすぎると全バス停にとまっていくので、間違えて「快速」に乗るとたいへんな目にあうのだった。
 どのバスにも「ワンマン」という表示がある。この表示は、ワンマンバスがあたりまえの存在になった近年まで残っていた。



 不詳。札幌ではなさそう。
「武山外科」のビル以外は、低層の建物ばかりである。



 飲食店のカウンターに坐ってこちらを振り返る女性。
 「御祝」の祝儀袋を壁にならべて貼るのは北海道独特の習慣である。



 列車の網棚にならんだたくさんの荷物。長距離列車なのだろう。
 粗い粒子が大道さんらしい。


 小樽に本社を置き、札幌や空知などにたくさんの路線を抱える北海道中央バス。近年は減っている旧来の塗装の車体だ。
 粒子が粗く、行き先の表示は読めない。

7左・右
 はじめて縦写真が登場する。


この項続く)


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