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■伊藤三千代 彫刻空感展 (12月17日で終了)

2007年12月19日 23時54分18秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 
 空知管内長沼町の石の彫刻家、伊藤三千代さんの個展。
 筆者は、2004年の個展のときには札幌におらず、06年のSTVエントランスアートはなぜか見ていないので、じっくり作品に向かい合うのはじつに5年ぶりということになります。

 出品したのは20点。
 中庭にも置いてあります。

 曲線や、波のかたちを生かした石を見て感じたことは、なによりも
「やさしさ」
ということでした。

 「女性らしいやさしさ」
という形容詞で片づけるほど筆者は時代遅れではありません。
 作品に、母親として、主婦としての伊藤さんの思いがこめられているのは確かなのですが。


 今回の個展では、島松(恵庭市)に住む、ラブフルートの演奏家とのコラボレーションを行いました。
 ラブフルートとは、北米の先住民族の縦笛です。
 場所の空気感を出したかった-と、作品は、一般的な展覧会の場合のように、壁には寄せずに、会場の中央に散らしています。
 さらに、アロマオイルが注げる作品もあり、香りも会場の雰囲気づくりに貢献したそうです。

 表面が茶色の石が何点かありますが、これは「伊達かんむり」という種類とのこと。
 「土色に興味があったんです」
と伊藤さんは話します。


          

 「森のひと」。
 作品の中空部から向こう側がのぞけます。


              

 フクロウの足のような「生み出す気持ち」。
 子宝をさずかったときの気持ちをかたちにしたのだそうです。

 生命を包み込むような心が、自然にかたちになっています。


              

 法邑の入り口に置かれていたテラコッタの小品「prayer」。
 訪れていても気づかなかった人もいるかもしれないと思い、ここに掲げました。


 伊藤さんの作品にあるのは、通俗的な癒やしではなく、もっと人間の根っこにある愛とかやさしさに、作家としての意識がとどいているのだと思います。
 だから、いつまでも見飽きずに、ほっこりしたあたたかな気持ちになれるのではないでしょうか。

 「石を扱うのはハード。主婦をやりながら-は、大変です。いつまで出来るか分からないから、いま、しっかり作りたいです」
というようなことを、伊藤さんは語っておられました。


07年12月10日(月)-17日(月) 10:00-18:00 火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1-8-27) 

□Maoi Art Studio(伊藤夫妻のサイト) http://www.warp06.hotcn.ne.jp/~ti-maoiart/

伊藤三千代 彫刻小品展「海からの贈り物」(02年)


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