五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のドリフ

2015年06月05日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2015年7月号より

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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ドリフターズ (平野耕太 先生)

 

 のどかな豊久軍・・・?

 信長さんがオルテ軍の奪取計画を着々と進める中、
 大将の豊久は、ハンニバルじーさんとお昼寝!

 暇をもてあましている様子の豊久に、オルミーヌが苦言を呈するものの、
 自分は「功名餓鬼」であるゆえ、信長とサンジェルミに悪だくみを任せている
 なんて言い放っています。 

 

 

 

 「功名餓鬼」のやるべきことは・・・?

 そして、自分のやるべきことは、関ヶ原の退き口の続きだと、
 笑みを浮かべながら話す豊久からは、“狂気”とも思える凄味がひしひし。

 ここにあるのは、死に場所を見失った武士の姿。
 死ぬべき時に死ねなかった己に課した、新たな死に場所さがしなのかも。

 しかしオルミーヌが、その言葉をさえぎり、否定したかと思うと、
 ハンニバルじーさんまでもが正気を取り戻して、諭しはじめます。

 豊久の命は、信長の闇の枷である。
 といったようなことを話しはじめるハンニバルじーさん、カッコイイ!

 豊久と与一がいるからこそ、信長の魔は抑えられていて、
 豊久の死によって、そのタガが外れることを警戒している様子らしく、
 このあたり、ハンニバルの信長への高い評価をうかかがわせますね。

 まあ、あっけにとられた豊久に、頭がっくんがっくんされて、
 じーさん元に戻っちゃってたのは、笑いましたが゜(*゜´∀`゜)゜

 

 

 

 そして、オルテ帝国と、グ=ビンネンの講和へ向けた動き。

 交渉を任されているのは、サンジェルミ!
 グ=ビンネン側からは、序列第2位のブリガンテが来ている模様・・・

 でしたが、これがグ=ビンネン側の“奇襲”になっていて、
 さすがのサンジェルミも、一瞬ひるみを見せたほどで、“緒戦”はビンネン有利。

 やって来たのは、序列筆頭バンゼルマシン・シャイロック!
 敵中でも穏やかな笑みと口調で、人を食ったような余裕を見せつける様は、
 さすが序列筆頭といった風格であります。

 そして、両者の交渉は、ハッタリ・本音を織り交ぜ、相手の立場を見抜きつつ、
 がっちりとぶつかり合う、まさに合戦のごとき苛烈さで、緊張が高まります。

 交渉自体は、現在有利な立場であるビンネン側がハッタリをきかせようとすると、
 それを的確にサンジェルミがつぶしてゆくという流れで、なかなか痛快!
 商人という本質をもつグ=ビンネンの思惑を、しっかり認識できているのが
 大きいですね・・・ 交渉では相手のことを知るのが大事、といった所でしょうか。

 

 

 

 そして、さらなる要求を突き付けるサンジェルミ。

 和平へ向けた交渉は、つづいてオルテ帝国からグ=ビンネンへの要求へ。
 戦争としてはビンネン側が有利な立場であるにも関わらず、
 サンジェルミが厚かましい要望を告げられる背景には、黒王の存在が!

 つまり、情報が命である商人を基盤とするグ=ビンネンは、
 すでに黒王の脅威について、ある程度つかんでいるとみたサンジェルミ。

 そこで、対黒王の矢面に立つオルテ帝国へ協力せよというのだから、
 厚かましいながらも適切で、かつビンネン側も断りづらい状況に・・・

 さらに、質として「銃」を持ち出す周到さは、もうさすがといった貫録ですねえ。
 しかも、この「銃」の量産は、オルテだからこそできるという強みが、
 強力な交渉カードになっていて、脱帽でしたよ!

 「銃」に関わる重要な要素が「うんこ」。
 この「うんこ」が決め手というのが可笑しすぎますが、大真面目な話ですからね。
 「積み重ねたウンコの量が違う」なんてセリフが、交渉のクライマックスだなんて!

 
 そして、交渉はみごと決着。
 オルテとグ=ビンネンが、まさかの和平から協力関係の締結にまでこぎつけます。

 これには、サンジェルミの交渉術がすぐれていたことも挙げられますが、
 相手側であるバンゼルマシン・シャイロックの視野の広さと度量の大きさも、
 かなり大きなポイントになっていたのではないかと思われます。

 もし、序列第2位のブリガンテが来ていた場合、
 ここまで早期の決着はなかったかもしれないのですよね。
 ブリガンテは、空母・飛龍をめぐるやりとりから考えて、目先の欲得で動くタイプ
 のようですし、そのために駆け引きを長引かせるような印象を受けますので・・・

 対してシャイロックは、もっと広く長い目で「得」になることをわきまえるタイプ。
 黒王の脅威に対して備えるべく、オルテに協力した方が「得」だと、
 即座に理解できる頭脳と度量の持ち主なのでしょう。

 などなど、オルテとグ=ビンネン間の和平交渉が描かれた今回。
 サンジェルミの優秀さはもちろん、シャイロックの度量の大きさもうかがえたのは、
 かなり面白かったですね~。

 これで、山口多聞提督も、協力関係になるのかどうか・・・
 気になるのは序列第2位ブリガンテの動きですかね、彼、飛龍ほしがってましたし。
 なんて気になりつつ、次は西方をどう収拾するのか? 今後も楽しみです!
 

◆ ヤングキングアワーズ 感想