森信雄の写真あれこれ

日々の生活や散歩、旅の写真を掲載しながら、あれこれ思いを語ります。

故郷の埋立地

2005-10-21 23:15:55 | 旅の写真 国内篇
私は四国の愛媛県四国中央市というところで生まれた。以前までは伊予三島市で、よく島ですかと言われたり、静岡県の三島市とも間違われた。ちょうど瀬戸内海に面する、四国の真ん中あたりではある。
 目の前に瀬戸内海の燧灘がありすぐ後ろが山だったので、海山空に囲まれて育ったようなものだ。夜の海にかすかに遠く、本州が見えることもあった。中学3年のときに、海岸べりの市営住宅に引っ越して、毎日海辺で犬の散歩をしていた。毎日波の音を聞きながら暮らしていたのだった。今は埋め立てで、海からは離れてしまい、住宅や病院が立っている。
 
 この写真は20年前くらいの、家の近くの埋め立て地だ。まだ海を埋め立ててから完全に海水が引かない状態のときで、ところどころに池も出来ていた。風景が壊されたようで初めはショックだったが、これも現実である。
 このとき帰省して埋立地を散歩しながら、かっての海の風景を懐かしむ気持ちと、年を取ると言うのは、見たくないものまで見てしまうものなのかと思った。
 風景は記憶なのだ。記憶はほとんどが消え去るものだが、心に残る風景は消えることが無いだろう。でも現実もまた受け入れないといけない。
 生きていくというのは、清濁併せ呑むことでもあるのだろう。たくましさとは、めげない精神でもあるのだ。
 でも、このときの埋め立てた海の痛々しさは、忘れないだろうなと思う。

 
コメント
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