一言で言えば、全く期待外れの内容だった。
「不祥事」と「不正支出」、この二つの「不」は地方議会の代名詞みたいなものだ。但し、前者は出来損ないの議員の行為、後者は制度自体の問題だ。議会の本質からずれる。最初のこのナレーションが語られたとき「こりゃ、ダメかな」と思ったのだが、予想以上に旧くから指摘事項だけの提起だった。
その中で、最後に提示された「議案」に関する議会の実態が問題の本質の一端を突いていた。しかし、時間の関係もあってか、番組の中の取扱いが粗雑であり、北川教授の説明も実態を具体的に把握していない様子であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/b9/34cc97107afccf64b79f891f31965cd1.jpg)
筆者には、首長提案議案に対する原案可決90%は低いようにみえ、一方、議員提案議案5%は高い様に感じられた。ただ、議案であって、条例案ではない。議員提案の中には「意見書」(主に国に対する要望書)も含まれている。これは行政とは関係なく議会だけで出すものだ。条例案・予算案とは同列に扱えない。
最近の報道によれば、自民党中央が全国の地方組織に対して「憲法改正」の意見書を出すように指導しており、議決された地方議会もあるようだ。
さて、上記のデータの出所が明らかでないため、少し調べた処、市に関して全国市長会の調査・研究があった。全国の市議会のデータをまとめたものであり、都道府県、町村は抜けるが、傾向をみるのには使える。条例を比較しよう。
「市長提案議案」 「議会提案議案」
条例 その他 計 条例 意見書 その他 計
32,573 61,743 94,316 1,308 5,451 2,319 9,078
(A)議会提案議案/議案総数 =8.8%
(B)議会提案条例案/条例案総数=3.8%
ところが、これは議会だけではなく、条例全般に係わることであるが、議員提案条例案には、議員報酬、期末手当、費用弁償などの金銭に係わる条例、法の改正に関連して改正すべき条例、委員会設置等の議会運営に係わる条例等、市民生活には関係なく、形式的あるいは運営上での改正条例が含まれる。
そこで川崎市議会平成24年の議員提案(委員会提案を含む)を調べると、全体で5件、その中で、「虐待から子どもを守る条例」が唯一、行政に関連する通常の条例であった(因みに川崎市では(A)=11.6% 比較的大)。
一例だけでは十分ではないが、ゼロではないため(ゼロの処が多いと考えられる)、5件に1件を先に(B)に適用すると、実質的な議会提案条例案は、
(議会提案条例案/条例案総数)×1/5=0.7% となる。
放送で掲げた議員提案議案の数値5%に関して、北川教授と国谷キャスターとの間で以下のやり取りがあった。
「私(北川)、ずっと…追求して…やっと5%きた…」、「議員提案が?」
「…ゼロだったんです…これを10,20%にしていく…民意の代表として…」
「地方はみずから考えて政策立案、実行するタイミングでは?」
「…ピンチをチャンスで切り替える機会だと…議会が捉えて頂けたら…」
「議会不要論が6割…」「…どう答えを出すか…今こそ議会に求められる…」
先に示したように、議会のミッションから「5%」は意見書を含み、実質的には大きすぎる数値であり、“実質1%以下”程度が妥当な数値であることは、議会に関する研究者であれば、直観的に察知して欲しい。また、クロ現スタッフも数値には厳しくチェックを入れるべきだ。尤も、5%では少ないと思っていた?
問題は議会のミッションが何で、現状の質的問題は何か、という問題意識だ。
北川が指摘するように、最近は、議員提案の数値は上がっていると思われるが、その内容を地方自治体の研究者群が調査・分析をどこまで行っているのか。それが学問の世界で先ず、共有され、更に実務レベル、先端市民レベルにまで情報が循環されるべきなのだ。
情報が脈絡に欠けて浮遊し、それが「事件」という磁場が発生することで、引き寄せられ、ゴミ情報の集まりとなる。それをより分けるマスメディアの視点が「不祥事」と「不正」では、先を切り開く展望は得られない。
「不祥事」と「不正支出」、この二つの「不」は地方議会の代名詞みたいなものだ。但し、前者は出来損ないの議員の行為、後者は制度自体の問題だ。議会の本質からずれる。最初のこのナレーションが語られたとき「こりゃ、ダメかな」と思ったのだが、予想以上に旧くから指摘事項だけの提起だった。
その中で、最後に提示された「議案」に関する議会の実態が問題の本質の一端を突いていた。しかし、時間の関係もあってか、番組の中の取扱いが粗雑であり、北川教授の説明も実態を具体的に把握していない様子であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/b9/34cc97107afccf64b79f891f31965cd1.jpg)
筆者には、首長提案議案に対する原案可決90%は低いようにみえ、一方、議員提案議案5%は高い様に感じられた。ただ、議案であって、条例案ではない。議員提案の中には「意見書」(主に国に対する要望書)も含まれている。これは行政とは関係なく議会だけで出すものだ。条例案・予算案とは同列に扱えない。
最近の報道によれば、自民党中央が全国の地方組織に対して「憲法改正」の意見書を出すように指導しており、議決された地方議会もあるようだ。
さて、上記のデータの出所が明らかでないため、少し調べた処、市に関して全国市長会の調査・研究があった。全国の市議会のデータをまとめたものであり、都道府県、町村は抜けるが、傾向をみるのには使える。条例を比較しよう。
「市長提案議案」 「議会提案議案」
条例 その他 計 条例 意見書 その他 計
32,573 61,743 94,316 1,308 5,451 2,319 9,078
(A)議会提案議案/議案総数 =8.8%
(B)議会提案条例案/条例案総数=3.8%
ところが、これは議会だけではなく、条例全般に係わることであるが、議員提案条例案には、議員報酬、期末手当、費用弁償などの金銭に係わる条例、法の改正に関連して改正すべき条例、委員会設置等の議会運営に係わる条例等、市民生活には関係なく、形式的あるいは運営上での改正条例が含まれる。
そこで川崎市議会平成24年の議員提案(委員会提案を含む)を調べると、全体で5件、その中で、「虐待から子どもを守る条例」が唯一、行政に関連する通常の条例であった(因みに川崎市では(A)=11.6% 比較的大)。
一例だけでは十分ではないが、ゼロではないため(ゼロの処が多いと考えられる)、5件に1件を先に(B)に適用すると、実質的な議会提案条例案は、
(議会提案条例案/条例案総数)×1/5=0.7% となる。
放送で掲げた議員提案議案の数値5%に関して、北川教授と国谷キャスターとの間で以下のやり取りがあった。
「私(北川)、ずっと…追求して…やっと5%きた…」、「議員提案が?」
「…ゼロだったんです…これを10,20%にしていく…民意の代表として…」
「地方はみずから考えて政策立案、実行するタイミングでは?」
「…ピンチをチャンスで切り替える機会だと…議会が捉えて頂けたら…」
「議会不要論が6割…」「…どう答えを出すか…今こそ議会に求められる…」
先に示したように、議会のミッションから「5%」は意見書を含み、実質的には大きすぎる数値であり、“実質1%以下”程度が妥当な数値であることは、議会に関する研究者であれば、直観的に察知して欲しい。また、クロ現スタッフも数値には厳しくチェックを入れるべきだ。尤も、5%では少ないと思っていた?
問題は議会のミッションが何で、現状の質的問題は何か、という問題意識だ。
北川が指摘するように、最近は、議員提案の数値は上がっていると思われるが、その内容を地方自治体の研究者群が調査・分析をどこまで行っているのか。それが学問の世界で先ず、共有され、更に実務レベル、先端市民レベルにまで情報が循環されるべきなのだ。
情報が脈絡に欠けて浮遊し、それが「事件」という磁場が発生することで、引き寄せられ、ゴミ情報の集まりとなる。それをより分けるマスメディアの視点が「不祥事」と「不正」では、先を切り開く展望は得られない。