HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

文学青年

2007年03月04日 | グレイプバイン
久しぶりのグレイプバインのお話。別に彼らのことを忘れていたわけではなくて、案外コンスタントにいつも聴いていた。そう、マイケミの間にもエルレガーデンの間にもJET KELLYの間にも彼らの曲は一定の間に必ず入っていたわけで、ある意味10年は聴いているのかもしれない。

そうグレイプバインは10周年を迎えた。

スペースシャワーの「チャート☆コバーン」にゲストで出ていたんだけど、やっぱり田中くんは素敵な人だな~って思った。

このチャート☆コバーンの鹿野さんといっしょに番組をやっている木村綾子ちゃんは大学で日本文学を専攻してたようで、彼女と田中くんの文学談義がちょっとだけあった。その時、綾子ちゃんが「田中さんの詩から坂口安吾とか太宰とか感じるんですが・・・」って切り出した時に、素で驚いたように反応した田中くんがまた素敵だった。田中くんはまさか坂口安吾の名前がこんな場所で出てくるとは予想してなかったのか、素でうれしそうに話していて「あ~この人ってやっぱり文学青年なんだな~」って思った。

いっとき坂口安吾の「堕落論」を持ち歩いていたらしいから。

田中くんの書いた本は2冊もっている。最近はついついエルレの細美くんやTOKYO DROP(JET KELLY)の真田さんの詩のことを書いてしまっているけれど、もちろんそれだけ彼らの詩がすごく心に響くからなんだけど、昔から変わらずずっと私に言葉のすばらしさを歌で伝えてくれていたのは田中くんだったのを最近は書いてなかったな~って。


そんな彼が今日は興味深いことを言っていた。

あんなに文章力があって、言葉が豊かなのに彼にとっては歌詞よりやっぱりメロディが大事で、それにちょっと色どりを添える感じで言葉をつけるというような事を語ったんだ。実際メロディだけでも人はイメージを抱けるから、そこにあえてくわしく言葉をつける必要はないと考えるんだって。

なんか不思議な感じだった。でも、彼の歌詞はやっぱり言葉力があると思う。無駄な言葉はないし、彼しか言えない言葉が存在する。


何を言いたいのか・・・
何を伝えたいのかより、自分が何をいいたいのか

を私が好きなアーティストたちはいつもわかっているような気がする。

真田さんにしても、細美くんにしても、そして田中くんにしても。


「これを言いたい」

それを聴き手がどう聴くか、感じるかは自由なんだよね。
そういう曲が私は好きな気がする。

何かを伝えたいという思いが強すぎて、メッセージ満載の曲だと

「こうしろ、ああしろ、がんばれ、まけるな」ばかりが押し寄せてきて、逆に疲れてしまう。


真田さんなら、その歌詞でそこに情景を拡げてくれて、聴き手の自分がその風景を見ながら、感じながら、自分自身にいろんなことを問いかけることができる。

細美くんなら、その歌詞で今の私自身の状況を「そういうこと俺もあるし、誰でもあるんだよ」って、その現状を受け入れる力なり勇気なり、生きる力なりを分けてくれる。

そして、田中くんなら、その歌詞で今の私自身の中の渾沌とした感情を少しづつ、少しづつ、絡んだものをもつれたものを解きほぐして、「な~んちゃってね」って感じで、笑ってくれるそんな歌詞や、あるいは「泣いちまえよ。俺がいるからさ」みたいにそこにいてくれる歌詞をそっと置いてくれる。


実はずっと昔から洋楽をメインに聴いてきた自分にとって、やっぱり音楽はメロディありき・・・だったんだ。

だけど、田中くんと出会い、細美くんに出会い、そして真田さんに出会って、言葉の力を初めて信じられたんだ。


もうすぐグレイプバインのアルバムが出る。すごく楽しみだ。

余談だけど、ゲスト出演の時に田中くんが着ていたカーディガンの色は私の好きな色で、もっている服にもある色だった。春を感じる薄いパープル・・・

「君を待つ間」でも聴こうか。
コメント
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