mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

値上がり基調は好ましいか

2024-09-06 09:17:23 | 日記
 先日お米を買いにいったら、7月のときに比べて倍くらいの値がついているのに驚いた。しかも、開店すぐあとというのに、棚には数えるほどの数しかない。順番に並んでいたのに、私の番のときにはもう棚に一袋しかない。私の後の人が手を伸ばしてそれを押さえて、「いいですか」声をかける。イイもワルイもない。もう手を伸ばしてるじゃないか。
 結局、胚芽精米というのを手に入れてきた。炊いて食してみる。白米とどう違うか、わからない。ああ、わからないのがワタシなのだと腑に落とす。何しろ戦中生まれ戦後育ち。しかも料理のそれほど得意だったわけでもない母親に育てられた。舌が肥えていないのが、こういった食糧難時代には大いに役立つ。うまいものを食って育ってきた人は困ってるだろうなあと、いらぬ心配をする。
 でも、どうしてお米が不足しているのだろう。ネットの情報によると、去年の不作とか、インバウンドで外人が来てお米の需要が高まったとか、海外へ輸出する米は増えているといわれる。他方で、国内消費の購入量は、さほど変化がなく、月々の米の流れは順調だと流通量の変化がさほどないことを強調するグラフも示されている。
 なんだ、要するに、米も値上げをさせてくれっていう生産者側の企みが、出荷調整などで値上げを操作しているってことか。そういえばTVで、どこかのJAの代表が、涙ながらに農家を代弁するようにそうしたことを訴えていたなあ。そうか、それで農水省も、在庫を出すよりも新米の出回りを待ってくれと、呼びかけていた。
 でも農水省のお役人は米の値段のことには一言も触れていない。その触れていないってことが怪しいんじゃないかと、ミステリー・ドラマをTVで娯しんでいるカミサンは推察しているが、案外、当たらずとも遠からずって感触はワタシの心持ちにもある。
 なぜか。彼らお役人は、輸出米の奨励金を生産者(か流通業者か)に出している。その施策が、今回の平生流通米の急不足に関係しているなんて、ひと言もいわない。あるいは、在庫米というのが、もう何十年も前の国際取引において日本の農産物保護のためという言い訳の代わりに毎年一定の輸入量を約束させられて、溜まりに溜まっている。それはしかし、「飼料につかう」という口実であるから、消費米には回せないってことも、口にしない。そういえば「お米育ち豚」という肉も販売されていないなあ。なんと贅沢な。
 要は、米も、このインフレのご時世、値上げさせてよという策略と思うほかない。なにもかも藪の中。農水行政は農水省の専門家に任せて、世の中の趨勢にも後れをとらないよう大楊に観てやってくださいと、いっているようだ。
 そういえばいつであったか、農産物の自給率が四十パーセントを達成しようと危機感を煽って、じつは、農水省役人やJAなどの農水行政のかかわる人たちの利権を守ることばかりをしている、とどこかの農業雑誌の編集者が力説していたなあ。そのときは、このジャーナリストの論調が、日本農業の得意分野を増強していけば、海外からの需要も増えて農家はもっと生産効率を上げることもでき、収入も大幅に増えるっていう「成長論者」にみえて、好ましくおもわなかった。
 そうだ、思い出した。そのジャーナリストの所論を一部好ましく思ったところもあった。日本の農政は全国一律におなじような指導を行うセンス。だが必要なのは、それぞれの地域で、その土地に応じた得意な農産物を生産することを考えなさいよと、いわば、地域的な小コミュニティをモデルに想定して力説していたことだ。つまり機械化による大規模化というのをどこでも展開するのは、JAなどの(農家に器具を買わせる)事業を促進するにはいいだろうが、日本の農業に似つかわしくない。その土地の状況に見合った野菜、果実などを探れと言っていた。そのセンスは、山間地などを多く抱えた日本の農村には必要な視点だと街暮らしのワタシは納得していた。そういうことがあったな。
 そのジャーナリストの思惑をさておけば、事実として農水行政がそれから現在利益利権を得ている人たちの食い物にされているという指摘は、間違っていなかったかもしれない。と、いまさらながら、おもう。それが今回ワタシが抱いた「農水行政の陰謀」論のベースになっているのかな。
 ま、日本の農政を云々するのなら、それらをもう少し精確に調べて言ってよ、といわれるかも知れない。そうは思うが、もうそこまでの余剰力量はわが身に残っていない。開き直って申し訳ないけど、愚痴をこぼすだけにとどめるわ。何しろ八十路爺の私にとっては、値上げ基調は(たとえ2%といえども)好ましいものではないのだから。