mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

春の気配の奥日光(1)みぞれの山王峠道

2019-02-21 20:05:24 | 日記
 
 19日―20日と奥日光へ行ってきた。恒例となっている山の会の2月スノーシュー合宿。湯元の休暇村に宿をとり、二つのコースを歩く。事前の天気予報は、60%の降水確率。麓の日光市は雨でも上は雪になると踏んで、今年は雪が少ないから歓迎だとタカをくくっていた。
 ところが19日、Kさんと一緒にスノーシューを借りて光徳牧場に着き、ほかの皆さんがバスで到着するのを待つ間、曇り空が温い感じがする。手袋なしでも冷たくない。外気温は1℃。風はない。15日に別のところを歩いたときは雪が少ない感じがしたが、牧場から奥の方は、しっかりと積雪がある。  バスが到着する。車にもっていかない荷物を置き、スノーシューをそれぞれが身に着ける。参加者の一人、kwmさんが9日にこのルートを歩いて涸沼まで往復している。今日はその手前の山王峠まで。スノーシューが初めてというYさんもいる。swdさんの友人であるこの方は、表銀座を歩いたり、毎月のように高尾山をゲレンデに山歩きをつづけているという。アラカンと、年齢も一番若い。Kさんがスノーシューの付け方をいろいろ世話してくれている。
 
 10時20分頃、歩きはじめる。降り積もった雪が締まって、50センチほどの高さになっている。光徳牧場のクロスカントリースキー・コースもあって、そちこちへ行く踏み跡が、すっかり固められている。山王峠へ向かうと、左の方に砂防の堰堤が見えてくる。もう何年前であったか、湯元から切込湖、刈込湖を経て山王峠に上り下って来た時、大きくトラバースするルートを踏み外し、下の谷に降りてしまったことがあった。雪が多かったから、谷間を通過して、無事にこの堰堤に降りてきたことを思い出した。
「どこで間違ったんだろう」
 と、そのとき先頭を歩いていたKさんは、なぜ間違えたかを、いま思案している。
 Kさんのスノーシューが壊れてしまった。私の初代スノーシューが11年で壊れたのを聞いた彼は、自分のこれは12年もってるよと自慢したばかりであった。プラスティックの底板が割れてしまったのだ。細引きを使って固定しようとしたが、ムリなようだ。Kさんはそのあと、壺足で歩く。
 
 雨かとおもったら、みぞれが降ってくる。気温が高いのだ。雨着を着たりザックカバーをつける。斜面をジグザグに上がって、右側に崖のような急斜面を見ながらトラバースして登る。針葉樹林に入ると、前方になだらかに下る広い斜面が目に入る。
「ああ、ここで間違えて向こうへ下っていたんだ」
 と、Kさんが想い出す。彼が記憶しているというより、場所が彼の記憶をとどめていたような塩梅であった。
 
 皆さん順調に歩いている。そろそろ45分、峠までの半分と思う頃、前方に「シラカンバとダケカンバの混淆琳」の看板が見える。後ろの方にいたmsさんが、
「ちょっとお水を飲みたいのですが……」
 と、一本取ってくれという。
「あと一分で一休みします」
 と応えて、看板のところまで行く。今回初参加のYさんがシラカンバとダケカンバの違いを尋ねている。看板には、標高1500メートルまでのシラカンバが、ここ1600mにダケカンバとともに林をなしていると、記している。
 
 この地点から上りは傾斜が急になる。ルートは溝を辿るように深くなり、両側はたっぷりの雪。そのところどころにクロスカントリースキーのとった跡が二本、下へと延びている。いつもなら背の高いブッシュなのだが、雪があるとどこでも通れる。これがクロカンもそうだが、スノーシューでもそのように上れる。
 みぞれが雪になったのだろうか、気にならない。左からこのルートに踏み込んでくる、しっかりした踏み跡がある。これは、涸沼からの旧道を上って来た人たちが、山王峠の古い、朽ち果てた看板のところから、すぐに延びる稜線を下ってきて、ここで夏道に合流しているのだ。私たちは夏道の方へ向かう。ふたたびヒノキの針葉樹林に入る。暗い道筋の傾斜を上る。見上げると樹林の合間にスカイラインが見える。あそこが山王峠と、声をかけて励まそうとするが、そんな配慮は無用とばかり皆さん元気がいい。
 
 山王峠前の表示板から左へ行けば旧道の涸沼ルートに向かう。皆さんにどうするか尋ねる。みぞれが少しきつくなっている。峠に出ると風も強まって、夏のベンチがすっかり雪に埋まっている広い場所では、とてもお昼をとる気にならない。
 涸沼にはいかないことにして、もう少し先へ進んで木陰の下に座ったり屈んだりして、お昼にする。15分くらいでお昼を切り上げ、早々に下山にかかることにする。

 夏の舗装車道を下ろうかと思っていたが、上って来たルートのほうが面白そうと誰かが言い、そちらを下ることにする。固まった踏み跡じゃなくて、バージンスノーを踏んで行ってください、と声をかける。新しいスノーシューを手に入れたばかりのkwmさんは、皆さんと離れて樹林の間を抜けて下る。swdさんもそのあとを追う。雪に踏み跡をつけて歩くのが、たまらなく楽しいという風情だ。ほかの皆さんが踏み跡をぐるりと回り込むところを、雪面を直進してショートカットする。
 
 いつかルートを踏み外した地点で、夏道へすすむ人たちと違って、kwmさんとswdさんが下が崖のようになっている急斜面に踏み込む。そこをトラバースしてショートカットしようとしているのか。滑り落ちると面倒だなと思い、私もそちらについてゆく。急な斜面に雪が落ちてしまって、ところどころ枯葉が吹きだまって露出している。雪の上でないとスノーシューのストッパーが利かないのではないか。こちらの雪のある方へいったん方向を変えて下り、のちにヘアピンして先へ進むのがいいんじゃないかと声をかけ、先頭を行くkwmさんと別のルートをすすむ。その先をさらに雪のあるところを辿ると、谷底に降りてしまう。そうするとまた、少しばかり登るようになるのが面倒だ。そう考えて、少しばかり枯葉の堆積を踏んで、崩れそうな急斜面をトラバースする。swdさんには「木につかまってね」と声をかける。そのうち木がなくなり、雪のあいだから顔を出しているササを束にしてつかんで、斜面の廻り込む。うまくいった。振り向くと、swdさんが慎重についてきている。降り立って「ああ、怖かった」とため息をつくが、やったねという響きに溢れている。kwmさんも続いて降り立つ。
 
 ほかの方々はとっくに下っていて、光徳の入口の所で待っていてくれた。いつしかみぞれは上がっている。1時45分。こうして、一日目のスノーシューは終わった。Kさんと私はスノーシューを乗せて車で宿へ向かい、ほかの方々はバスに乗って湯元へ向かう。しばらくロビーで待ってからチェックインをし、部屋へ通してもらう。
 風呂に入り、風呂上がりのビールを飲み、kwmさんがもってきてくれたシャンパンで、私の喜寿祝いと称して乾杯し、そう言えば、昨年はoktさんとKさんの喜寿祝をしたなあと思い出す。来年はkwrさんが喜寿だ。そういえば男たちは皆さん、後期高齢者になっている。この年で元気に歩けるのはお祝いするに値するよと、oktさんはいう。
 皆さん、飲み過ぎるほど飲まなくなり、疲れも加わって私は、8時ころには夢の中にいたのではありました。(つづく)