カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

新型コロナ カンボジアの状況 11月30日 フン・セン首相が陽性に

2022年12月05日 | 経済
 カンボジアの新型コロナウイルスの感染状況は、感染が始まった2020年は低レベルでしたが、2021年2月から急増しました。発端は、陽性だった中国人女性が賄賂を使って隔離を脱走し、クラブ等で感染を拡大したという悪質なケースでした。2月20日市中感染事件と呼ばれるこの事件以降、感染が急拡大しました。このため、2021年4月15日からプノンペン等でのロックダウンが始まりました。その後、ワクチン接種の進展とともに感染は落ち着き始め、9月末から段階的に経済の再開が進められ、12月にはほぼ正常に戻っていました。2022年に入り、オミクロン変異株の登場で、感染者数は増加に転じましたが、5月には落ち着き、死者数、新規陽性者数ともに低レベルとなりました。しかし、7月に入って派生型ウイルスのBA.4株、BA.5株の市中感染が確認され、陽性者数は再び増加しました。9月以降は、陽性者数は減少し、10月~11月には新規陽性者ゼロの日もありました。
 12月1日のカンボジア保健省の発表によれば、11月末現在の死者は累計3056名(10月31日からゼロ名増)です。累計陽性者数は13万8106名(同114名増)となっています。死者数は、ここ7カ月間ほどはゼロが続いています。陽性者数も5月から6月にかけてゼロが続きましたが、7月以降一日数名~50名前後で推移しています。なお、PCR検査数が大幅に減少していることもあり、新規陽性者の数字の正確性については議論のあるところです。
 新型コロナ対策成功の要因となったのは、早期のワクチン接種であったと見られます。世界的に見ても早いペースで接種が進んでおり、既に、3歳以上~成人については2回接種をほぼ完了していると言ってもよい状況と見られます。11月30日現在で、1522万8456人への第1回接種を完了しています。これは、カンボジアの人口(約1600万人)の95.2%に相当します。成人(18歳以上約1000万人)への接種について見ると、既に目標の103.8%に第1回接種を、100.4%に2回目を完了しています。ブースター接種(3回目)も実施が進められ、1037万2705人(うち成人690万6254人)が接種を完了しています。第4回・第5回の接種も進められています。
 11月15日、フン・セン首相は、出張先のインドネシアで新型コロナ陽性となったと発表しました。このためインドネシア・バリ島でのG20サミット、タイ・バンコクでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)への出席を見送りました。11月11日までプノンペンで開催されていたASEANサミットではカンボジアが議長国でしたが、首相が陽性となったのはその終了後であったため、大きな影響はありませんでした。
 11月1日、カンボジアが外国人観光客の受け入れと全ての社会経済活動を再開してから、1年が経過しました。フン・セン首相は、「開国」が新型コロナウイルス禍からの回復と国民生活の正常化につながったとしています。フン・セン首相は、「開国はワクチン接種、治療、感染拡大の抑制、感染防止策への国民の協力等の状況を勘案して決定した」と述べました。「結果として、2020年にマイナス3%に落ち込んだGDP成長率は、2021年に3%回復し、2022年は5.4%、2023年は6.6%に達するとみられている」としています。
 カンボジアでは、屋外でのマスク着用義務も解除され、「アフターコロナ」と言っても良い雰囲気となっています。カンボジアへの外国人観光客数は激減していましたが、最近は西洋系の観光客をちらほら見かけるようになっています。ワクチン接種への積極的な取り組みと「ウィズコロナ」の規制緩和が非常にうまくいったものと見られ、今後の経済回復が期待される状況です。
 なお、在カンボジア日本国大使館では、「カンボジア国内では引き続き一定程度の感染が継続していると推測されますので、密の回避や手指消毒などの感染対策を引き続きご励行下さい。」と注意喚起していますので、ご留意ください。
(写真は、今年の水祭り。プノンペンのリバーサイドは賑わいを取り戻し、西洋人観光客も見かけられました。)



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夢の切符 ジャパンレイルパス 2022秋

2022年12月04日 | 生活環境
 日本に一時帰国するのに合わせて、鉄道ファンにとって夢の切符「ジャパンレイルパス」を購入しました。このジャパンレイルパスは、日本全国のJRに乗り放題のパスです。原則として外国人しか購入できませんが、日本人でも「在留期間が 10 年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」を有する方は購入することができます。今回は、在カンボジア日本国大使館で在留証明書(10年以上)を発行していただき、購入・引換することができました。
 ジャパンレイルパスはいろいろな種類がありますが、今回購入したのは、7日間有効、グリーン車も乗り放題で289ドルでした。今年1月には約360ドルでしたが、円安効果でお得な値段でした。プノンペンのクロマーツアーズで、まず引換券を購入しました(現時点では、プノンペンでJRパスを購入できるのはクロマーツアーズだけとのことです)。日本に到着後、みどりの窓口でパスに交換してもらい、座席指定を取りました。
 今回は、中学・高校時代の鉄道研究部の仲間と東北を旅しました。カンボジアから一時帰国して日本を鉄道で旅行すると、日本の美しさに感動します。できれば、このパスでまた日本を再発見する旅に出たいと思います。
 鉄道ファンには本当にうれしい切符ですが、購入には条件がありますので、詳細はクロマーツアーズ等にご確認ください。条件が合う方は、ぜひお試しください。
(写真は、釜石線を走るSL銀河)

Japan Rail Pass
https://japanrailpass.net/about_jrp.html


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日本への一時帰国2022秋 新たなアプリが必要に

2022年12月03日 | 生活環境
 11月に日本に一時帰国しました。今回の帰国は、アシアナ航空でインチョン経由成田空港に向かいました。プノンペン空港は、すっかり活気を取り戻しており、チェックインカウンターも以前と同じ大混雑でした。アシアナ航空のチェックインでは、コロナ関係は何のチェックもありませんでした。その後、出国手続き、セキュリティーチェックも特段変わったところはないようでした。プノンペン空港の免税店街は、観光客の回復に備えたリノベーション工事も終わり、明るい雰囲気となっています。ビジネスラウンジは、平常営業に戻っていました。
 アシアナ航空に搭乗しましたが、特に変わっているところはないようでした。インチョン空港では、トランスファー客については、到着時のチェックやセキュリティーチェックでは特段のコロナ対応はありません。空港の免税店は、全店が開店していました。お客さんの数は少ないかと思いますが、地道な努力を続けていると感じました。
 成田空港に到着後については、11月からアプリMySOSがVisit Japan Webに統合されています。Visit Japan Webサービスは、デジタル庁が開発したもので、海外からの入国者(海外から帰国する日本人も含む)が、入国時に「検疫」・「入国審査」・「税関申告」の入国手続を行うことができるウェブサービスです。MySOSと同様に事前に様々な情報を入力すると、検疫については事前審査が実施され、「青」になっていれば、特段の手続きなく入国審査に進むことができます。入国審査については、日本人はこのアプリは不要で、普段通り自動化ゲートを通過します。なお、帰国後の色々な手続き(運転免許更新、免税等)に必要となりますので、ゲート通過後、有人窓口でスタンプを必ず押してもらっています。税関申告では、事前に情報を入力しておくとQRコードが出ますので、これで税関が新たに導入した自動ゲートを通ることができます。今回はスムースに進んだので、全ての手続き完了にかかった時間は30分ほどでした。
 それにしても、日本の入国時の検査・手続きは、予算や人員、入国者の手間等を度外視したもので、政府系の仕事を長くしてきた者としては、その効果やコストパフォーマンス等に大きな疑問を抱かせるものでした。成田空港には、どう見ても多すぎるスタッフが配置されていますし、事前入力が必要な情報も多すぎます。更に、そもそもの水際規制が、世界保健機関等から「非科学的」と批判されているという惨状です。早急な効率化や改善を要するものと見られます。
(写真は、Visit Japan Web)

Visit Japan Webサービス
https://vjw-lp.digital.go.jp/


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自衛隊の護衛艦 カンボジアを親善訪問 2022年11月

2022年12月02日 | 経済
 11月18日から20日まで、海上自衛隊の42次派遣海賊対処行動水上部隊の護衛艦「はるさめ」がシハヌークビル港に寄港しました。シアヌークビル港ではカンボジア海軍による歓迎式典が開かれ、カンボジア政府の担当者から花束が贈呈されました。日本が国連のPKO(平和維持活動)の一環としてカンボジアに自衛隊を派遣してから今年で30年となるため、カンボジアとの親善を図るため、ソマリア沖での海賊対策からの帰路に立ち寄ったということです。
 11月12日のバイデン米国大統領とフン・セン首相と首脳会談で、バイデン大統領は、シアヌークビル近郊のリアム海軍基地問題を取り上げました。米国等は、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると批判しており、中国軍の拠点拡大の兆候として警戒しています。リアム海軍基地は、シアヌークビル空港の南の海岸にある小規模な基地で、現在は、桟橋が1本あるだけです。また、周辺海域は、水深が浅く、大型船舶の入港は現状では困難と見られます。直ちに中国軍の軍事拠点となるのは難しいものの、タイ湾の湾口を押さえる重要な戦略拠点となりうる場所にあり、万が一にもこの基地が中国の手に落ち、中距離ミサイル等を配備された場合、タイや周辺諸国との海上サプライチェーンの安全保障に重大な脅威となりかねません。また、3300メートル級の滑走路を有する空港が近いこともあり、航空輸送で展開可能な電子戦部隊の進出等も危惧されます。
 カンボジアが中国との関係を重視するなか、日本としては寄港を通じてこの地域で影響力を強める中国をけん制する狙いもあるとの見方も出ています。米中冷戦が厳しさを増している中で、カンボジアが日本に寄せる信頼感は増しているものと見られます。日本としては、「親中派」と呼ばれているカンボジアが中国に傾き過ぎないよう、様々なルートにより粘り強い外交を継続していくことが重要となっているものと見られます。
(写真は、海上自衛隊のサイトより)



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ASEAN次期事務総長 カンボジアから

2022年12月01日 | 経済
 11月11日~13日のASEANサミットで、カンボジアのカオ・キム・ホン氏(H.E. Kao Kim Hourn)が次期ASEAN事務総長となることで、加盟国が合意しました。2023年1月1日に就任する見込みです。任期は5年間となっています。ASEAN事務総長は、原則として加盟国のABC順で輪番に各国から推薦されることとなっています。
 カオ・キム・ホン氏は、現在、首相付大臣です。ポルポト時代を生き延びて、1981年に15歳でアメリカに渡り、ハワイ大学やオハイオ大学で学びました。1993年にカンボジア帰国した後、カンボジア政府の様々な部署での経験があるとのことです。特に、1999年のカンボジアのASEAN加盟の際に活躍しました。また、現在、最高国家経済評議会(SNEC)のメンバーでもあります。
 カンボジア日本人商工会も加盟しているASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)は、ASEAN事務総長と毎年対話を行っています。今年も8月10日に対話が実施され、今回の対話では、ポスト・コロナ時代に向けて日本企業のASEANでの事業・投資活動を再活性化させるべく、ASEAN進出日系経済界からの提言書を基に議論を行いました。具体的には、ASEANの目指すASEAN包括的復興枠組み(ACRF)に基づき、ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性最大化、包括的なデジタル・トランスフォーメーション、より持続可能で強靭な未来、人的資本の開発という4つの柱について日本側から提言を行いました。
 日系企業の要望をこうした形で提言し、ASEAN各国の様々な改善に結び付けていくことは、大変に意義のあることです。今後の継続的な対話実施と提言のフォローアップが期待されます。
(写真は、AKPより)



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