カンボジア経済

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メコン河の歴史的低水位続く カンボジアにも重大な影響

2020年08月20日 | 経済
 8月7日、メコン河委員会は報告書「2020年1~7月 メコン河下流域の水文状況」を発表し、メコン河の歴史的低水位がカンボジアに重大な影響を与えかねないと警告しました。メコン河委員会は、カンボジア、タイ、ラオス、ベトナムの4カ国で構成する国際機関で、流域開発計画や水利用計画等を策定し、メコン河の利用に関し協調・調整等を行っています。
 報告書では、2020年1~7月は、降水量が歴史的に少なかったとしています。2020年1~7月の降水量は、4カ国の119観測所の平均で397mmでした。2018年同期の1069mm、2019年同期の628mmと比べても極端に少なくなっています。また、カンボジア最大の湖であるトンレサップ湖は、通常雨期にはメコン河からトンレサップ川を逆流して大量の水が流入します。2020年はこの逆流の時期が遅れたこともあり、7月末までの流入量は、260万立方メートルにとどまっています。前年同期は、680万立方メートルでした。少雨の原因は、エルニーニョ現象と、2020年7月に台風が発生しなかったこと等と分析しています。
 この状況を受けて報告書では、カンボジアは、漁業と灌漑に大きな打撃が予測されると警告しています。また、トンレサップ湖と周辺の水没地における生態系のバランスが崩れる可能性があることにも懸念を示しています。更に、カンボジア北東部のクラチエ州やモンドルキリ州での干ばつの深刻化にも対応が必要としています。
 メコン河は、カンボジアの中央を流れ、大量の水を供給するととともに、トンレサップ湖やトンレサップ川での漁業にも重要なものとなっています。また、毎年の洪水で農地に肥沃な栄養分を運ぶ役割もあります。8月下旬~10月の雨期に多くの雨が降って、事態が改善に向かうとする予測もありますが、今後の状況を注視する必要があります。
(写真は、メコン河クラチエ付近で撮影した河イルカ。2018年12月)

メコン河委員会の発表(英文です)
http://www.mrcmekong.org/news-and-events/news/mekong-low-water-flows/


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