世の中には「へぇ~そうなんだ!」ってビックリするお話がまだまだ沢山ありますね。
皆さん、ご存知でしたか?
フランスパンに上下というか向きがあるって…。
フランスパンを焼く時に表面に数本の切り込みを入れ、それがクープを言います。
クープはパンに模様や飾りを入れるだけでなく、
フランスパンを膨らませて、水分を蒸発させ、
独特の軽いシットリした風味に仕上げてくれるもの。
このクープはカミソリのようなもので切り込みをいれますが
職人さんの手元を見ているとサ~サァ~といとも簡単に
まるで表面をなでるようにつけられますが
上手においしくクープが入れられるようになるまでかなりの年月の修業が必要だそうです。
そして焼くと出来るのが「立ったエッジ(立上り)」。
写真でいうと左側に見える反り上がったような部分。
これらが左側にくるのがパンの向きとなり
カゴにたてる時は左側にエッジの立った方がくるそう…なるほど。
すべてのお店がそうされている訳ではありませんが
超~有名な全国展開しているパンやさん(D社)ではそうされているそうです。
そこにお勤めのIさんから次のことを教えてもらいました。
D社に立上りが左ということを教えてくださったのは
レイモン・カルベルさんというフランスのパン職人さん(ビゴさんの師匠)。
フランスが伝統的なバゲットの製法を捨てよう(労働時間の関係でクイック
でフランスパンを焼くようになり、品質が低下していること)に警鐘をならし、
伝統的な製法を訴え続けた人で、
D社の三代目 藤井幸男さんが昭和29年に出合って
この方にフランスパンを教えてもらった方だそうです。
パンは神の体と言われていて、最初にナイフを入れた方が
頭にすべきということでクープの立上りが左になっています。
(昔の刃の入れ方ではクープの立上りが左になる)
昔のクープナイフは鋳物で現在のナイフと形が違います。
(今はカミソリの刃に柄を付けて使う事が多い)
そのため、クープの入れ方が今は逆になっていて
今の入れ方ではクープの立上りは右になるのですが、
「D社」は伝統を守り、今でも左立ち上げで商品を並べておられるそうです。
いままで意識していなかったことですが
これからフランスパンを見たら、クープの立上りの向きが気になりますね。
まだまだ知らないことって、いっぱいありますね。
とても興味深いお話をお聞きできて嬉しいです。