いよいよ、明日香の旅のレポートも最終回です。
やはり『食』に関してのお話にします。
まず、最後に訪れた談山神社で行われるお祭りのお話。
春と秋に開催される「けまり祭」は有名ですが、『嘉吉祭(かきつさい)』ってご存知ですか?
毎年10月第2日曜日に開催されるお祭りで、
戦乱の足利時代に御神体を飛鳥橘寺に遷座し、
3年後に帰座したことを喜んだ人々が秋の収穫物を整えて供えた神饌を
「百味の御食」というそうです。
「芸術的」と形容される談山神社の特別な神饌「百味(ひゃくみ)の御食(おんじき)」。
古くは200種近くあったとされる御食の食材だが、現在はギンナン、ブドウガキ、
サトイモ、ピーマン、クリ、ナス、リンゴ、スダチなど35種ほどになっている。
ミョウガの葉をまとめた芯にクシで刺して神饌として形作られていくが、
上部にふくらみをつけるのが特徴。
「和稲(にぎしね)」は、赤、青、黄の食用紅で染めた米粒が、
1周42粒70段にわたって米のりで心棒に張り付けられます。
お米は漫然と張られているのではなく、
「卍」型や「△」型、ひし形などが連続する文様を美しくデザイン。
なんて緻密な作業、昔の人の思いが伝わります。
そして、別の博物館の展示物で飛鳥の時代の人が食べていたであろう
食事の模型写真を撮ってきましたのでご覧ください。
<貴族の食事>
材料豊富でとくに宴会の食事は大変豪華。
真鯛、鮑のウニあえ、鮎、古代のチーズともいえる蘇、心太(かんてん)
そしてデザートの果物なども膳に並んでいる。
山海の珍味だが、栄養の過剰摂取で成人病に悩むことも多かったろう。
【メニュー】
主食 白米
副食 わかめの汁、鮎の煮つけ ゆでたせりつき、鯛のあえもの、鮑のうにあえ
心太(酢じょう油)、枝豆、瓜の糟漬、しょうがの酢漬
飲料 清酒(きよざけ)
デザート 蘇(チーズ)、果物(くるみ、うめ、びわ)
調味料 酢、塩
<下級役人の食事>
玄米の主食に煮魚やなますがつくことがある。
酒は糟酒だが楽しみの一つ。
宮内からは、給食や宴会に使った土師器・須恵器の食器が大量に見つかっている。
【メニュー】
主食 玄米
副食 青菜(あさつき)のみそ汁、いわしの煮つけ、かぶの酢の物、きゅうりの塩漬
酒 糟湯酒
調味料 塩
<庶民の食事>
都での労役に地方から藤原京へ駆り出された農民たちの食事は、
玄米に塩、それに湯がいた青菜や山菜がつく程度の貧しいものだった。
栄養失調で行き倒れる人も多かった。単身赴任。
経費は出身した村の負担。
【メニュー】
主食 玄米
副食 あらめの汁、ゆでたのびる
調味料 塩
とても充実した「一泊二日 明日香歴史ロマンの旅」でした。
ご案内くださったMさん、本当に有難うございました。
ちなみにMさんが名誉会長をされている
<景観ボランティア明日香>の活動などは
こちらをご覧くださいませ。