芸能人がイベントで「一日警察署長」なんて良く聞くけれど
私は「一日学生」してきました。
京都調理師専門学校の「割烹料理専攻科」の特別授業。
E-styleの生徒さんのKさんが卒業生ということで
一緒に聴講させて頂きました。
白衣を着た学生達に混じって、一番前の特等席をゲット!
ちょっと大人げなかったかな?
将来のある若者に席を譲るべきだったかしらと
ちょっと反省しながらもワクワクドキドキ。楽しみです。
本日の講師の先生は「草喰 なかひがし」の中東久雄先生。
そう、あの有名な「なかひがし」の御主人です。
摘草料理「美山荘」の次男で平成9年に銀閣寺門前にお店を出されています。
予約がとれないお店のひとつで
こだわりの水、米、おくどさんで炊くご飯と目刺しが有名。
中東先生、直々の講義で、
「文月の御献立」をすべて目の前で作ってくださいました。
調理と共に京料理の心や季節を盛り込む工夫などもお話、
為になることばかりです。
お店では最初に「緑茶」を出されるそうです。
お茶の苦味で口が清められて、甘み・渋みを感じることで
お料理の味を楽しむ準備が出来るそうです。
八寸までに口の中でスッと消えるお茶が理想だそうで、濃すぎたり甘すぎたりしない緑茶を選んでだされるそうです。
お勉強なので試食はこの中の1品だけでしたが、目の前で「匠の技」を見せていただける機会はなかなかないので、2時間半があっという間でした。
【八寸】
赤ざ とうもろこし浸し塩鱈
茂茄子(もぎなす)揚煮浸し枝豆詰
モロッコ三度醤油和え 黒胡麻付け
鱧寿司梅肉付け笹巻
田にし旨煮
秋刀魚新子
【汁】
新じゃが水晶芋
えんどう豆 白味噌仕立て
※新じゃがをすりおろして、鍋で火を入れながら練って
お餅のようにしたもの。美味しそうでした。
【焼物】
鮎塩焼き
ズッキーニ、煮詰めトマト
※鮎に串を打つところから、塩の振り方、焼き加減まで見せてもらいました。
このお皿は線を横に使うと、川底をイメージできたり、線を縦に使うと
とくさ模様になったりと「重宝なんですよ」と器のお話も交えて…
【向付】
鯉造り
大根シャーベット
実山椒
煮氷、トマト湯引き
※鯉は捌くところから始まります。
写真は時間が立ってしまっているので完成品ではないのですが
夏大根を擦って、シャーベット状に凍らしてものが
左手前にこんもりと盛りつけられていました。
夏氷をイメージした「涼しさ」の演出ですね。
左手前の煮氷は鯉の骨をカリカリに焼いて煮出して
ゼラチンで固めた煮凝り。手間がかかっています。
日本料理の奥深さを感じた一品です。
【煮物椀】
岩魚葛たたき
三度豆 萱草の花 葛きり 黄梅肉
※煮物椀の蓋の裏側の模様は、七夕の「天の川」をイメージしてデザインされた
そうで、この時期に使われるそうです。
【鉢肴】
加茂茄子白味噌あんかけ
南瓜、隠元豆あんかけ
茄子皮針揚げ
山椒素揚げ
山椒オイル
※こういう料理の茄子は素揚げしてある料理が多いけど
加茂茄子農家のおばあさんにお聞きした
加茂茄子の一番美味しい食べ方は「蒸す」だったので
それから考えたお料理だそうです。
あっさりと頂けて、剥いた皮をカラリと揚げたものの食感も楽しい。
最後にたらりとかけた山椒オイルがアクセントです。
山椒オイルは「なかひがしオリジナル」だそうで現在開発中。
もうすぐ商品化されるかもっておっしゃってました。欲しい~。
【御飯】
白御飯
丸干し
香の物
※なかひがしさんの真骨頂。こだわりの水、米、おくどさんで焚いた御飯が
登場です。
2時間半の講義でしたが、もちろん下ごしらえの時間などを入れれば
想像できないほどの手間隙がかかっているということを
改めて気づかされた授業でした。
一期一会。
手間隙を惜しまず、この一回のお食事・出逢いに心を込めて
「おもてなしのお料理」をお出しして楽しんでいただくということ。
日本料理の奥深さを知らさせた一日でした。
マスコミなどで有名で、お店も繁昌されている方の中には
横柄な態度の方もたくさんおられますが
私が言うのもおこがましいですが、
本当に一流の方はどの方も皆さん、決して驕らず、謙虚で
自分の仕事に一生懸命取り組まれておられることに感動します。
御主人の中東さんも、とても素敵な方でした。
お人柄が出るようなやさしいお味のお料理。
食材への感謝の気持ちを持たれて、野菜であれ、魚であれ、
頂いた生命は全部頂こうという姿勢のお料理でした。