世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

借金苦

2013年10月04日 | 苦境
借金苦で喘いでいる。

別に今に始まったことではない。


借金苦から逃れたい。

誰しも思うことだろう。


無借金生活は理想の生活だ。

そう信じて疑わなかった。



一度無借金状態になった時期があった。

50歳を目前にしていた。


キャッシュ払いで街に家も手に入れ、

リゾート地に店舗(ホテル)も手にし、

車も3台、全て欲しいままにした。


その代わり預金もなくなった。


あとはホテルをチマチマやって日銭を稼げば

優雅な生活ができるところまできていた。


セミリタイアー。

なんとなく格好いい響きに憧れた。

だが、それも3年ともたなかった。



刺激のない日々。

変化のない日々。

退屈な日々が続いた。


そんな折、ひとつやり忘れていたことに気づいた。

自分の究極の理想の家を建てることだった。


自ら設計した。

あらゆる機能を織り込んだ。


スタイルもひとつにこだわらず、三様式を取り入れた。

外観はヨーロッパ風、

骨組みはログハウス、

そして寝室はアーリ-アメリカン調といった具合にだ。


ジャグジーや打たせ付きの露天風呂、

円形の暖炉、

ロフト、地下室、広いテラス、

オール電化と贅沢の粋を極めた。


そのために、新たな借金をした。

1、500万円。

返済は順調だった。

10年で完済する予定だった。


以前、5、000万円の借金を10年かからずに完済したことがある。


借金慣れしていた。

へっちゃらだった。


これで老後はまた悠々自適。

舐めてかかっていた。


ところが、半部ほど返したところで雲行きが怪しくなってしまった。

例のリーマンショックだ。

そして、3・11が追い討ちをかける。


それでも、政府のモラトリアム(支払い猶予)政策のおかげで

なんとか食いつないだ。


だが、客足は一向に伸びず、時間だけが過ぎていく。

時間を持て余すと、ろくなことは考えないものだ。


退屈を嫌う。

その間、起業家精神が頭をもたげ、

新たな事業へと進出して現在に至っている。


政権が変わり、モラトリアム期間は終了した。


好むと好まざるざるにかかわらず、事業は拡大する一方だ。

それに連れて、歳もとる。


だが、不思議にも気力は衰えるどころか充実度を増している。


激務が続き、睡眠時間は短くなる。

だが、気力のみならず、体力、精力とも向上を見せる。


借金苦はその度合いを増す。



だが待てよ。

もし、無借金になったら、どうなるか。


多分、セミの抜け殻のようになり、

無気力が心を支配するのではないだろうか。



借金あってこその頑張り、充実。


苦しい、苦しい、嫌だ嫌だと言いながら結構楽しんでいるではないか。

これでいいのだ。


借金苦のおかげで、ボクの気力と身体は持っている。


気の抜けない毎日が充実感を与えてくれる。


打たれ強い。

ストレスをストレスと感じない。

悲観しない。

立ち直りが早い。



ただ、やっぱり思う。

借金さえ無かったら、どんなに楽だろうか、と。


そう思うのも、借金あればこそ。



翻って、こうも思う。

返せなくなったら差し押さえられるだけ。


モノはもういらない。

返ってスッキリするのでは。


だから、どっちに転んでも構わない。

だが、返せるうちは頑張って返そう。


そうしているうちが元気の元だから。

リタイアはもう真っ平だ。