世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

スーツケース一個

2013年05月22日 | ライフスタイル
スーツケース一個の人生を送りたい。

旅に出るたびに、そう想う。





物を持つということは、それだけ神経を使うことになる。


車、家、数々の欲望を満たす物、物、物。

税金はかかるし、メンテも必要だし、管理も大変だ。


人は生きていくために、そんなに物を必要としない。

雨露が凌げ、お飯(まんま)にあり付けばいいだけのことだ。


車がなくたって、移動手段は数多とある。

服だって、清潔にしておけば最小限で済む。




旅をするときは、何時だってスーツケース一個で事足りる。


一年以上世界一周をしているときだって、バックパッカーで過ごしてきた。



一所に落ち着くと、知らず知らずのうちにあまりの多くのものを抱え過ぎてしまう。

人とのしがらみだって増えて、まるで見えない鎖に繋がれているようだ。



男は女を(自分の)モノにしようとして張り切る。

そして見事手に入れて、目出度くゴールイン。


ところが蓋を開けてみると、

手に入れたと思っているものから、束縛されていることに気付く。


「うちの女房がうるさくて」、って何度聞かされたことか。


何かを手に入れた瞬間から、別の何かを捨て去らなければならない。

これは宿命と言って良い。



こうして人は柵(しがらみ)の中で生きていくようになる。


ボクは、ぬくぬくと家で飼われている室内犬より

明日をも知れぬ野良犬の人生(犬生)を選ぶ。



欲しいものは何もない。

財産も、地位も、名誉も名声も。


みんな人にくれてやろう。


敢えて言うなら自由だろう。


それさえもある程度手に入れてしまった。

もっと自由を、なんて言ったら怒られそうだ。



一度自由の喜びを知ったものは、麻薬のようにその中毒から逃れることは出来ないものだ。


「フリーダム・シンドローム(自由症候群)」に罹(かか)っている。


旅中毒(travelic poisoning) かもしれない。



ある人がボクに聞いた。

「ずっと旅してて疲れないんですか? 平気なんですか?」


ボクは、Yes と答える。


むしろ一所に留まっていることこそ苦痛なのだ。

旅から旅の流れ者、が性分に合っている。


まるで度さ廻りの三流役者みたいに。




今日もスーツケースひとつで、生きていく。




身軽(relieved)で、気軽(light‐heartedly)で、尻軽(loose)な男。


哀れと思うことなかれ。

むしろ喜びであり、幸せの極致なのだから。