デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

第四十二回 石巻地方神楽大会

2019-08-21 17:38:28 | 観覧雑記帳
ジャンル 民俗芸能
第四十二回 石巻地方神楽大会
開催日   2019年7月14日9時半開演
会場    石巻市河北総合センター

石巻地方に伝わる神楽をまとめて見れるということで、まったく予備知識を持たずに、観覧した。9時半から始まり14時半すぎまでという5時間、休憩なしで8団体の神楽を見るというなかなかハードな観覧となったが、途中あきることもなく見ることができた。観客はほとんどがお年寄りだったが、みんな楽しみにしているような感じで、いい演技には拍手が送られていたし、近くで見ていたご老人はかなり的確な批評をしていた。
予備知識を持たず見たということで、第一印象のようなものになるが、気がついたことをメモしていきたい。
1)神話と民俗との出会い
取り上げられている題材はほとんどがイザナギノミコトやスサナオノミコトなどが登場する日本神話の世界であったことが新鮮であった。神楽は神社に伝わるものなのだから当然と言えば当然のことなのだろうが、神話が各地の民俗に溶け込んでいたからこそ、これだけ根づいたものとして、現在も受け入れられているのだと思った。
2)舞台について
これはあとで読んだ本田安次も書いているが、能舞台とかなり似た構造の舞台であったことも新鮮であった。これは実際に神社でやられているものを見ないとわからないのかもしれないが、みんな同じ舞台で公演していたのにも驚いた。
3)仮面について
鬼とか魔王などいろいろな仮面が出てきたが、これがみんな表情豊かで、神楽の世界を色彩豊かにしているように思えた。

今回見た演目をメモしておく。

打ち鳴らし(福地法印神楽保存会)
神々を呼び出す
太鼓と笛 2人

日本武尊(和渕法印神楽保存会-石巻市)
荒行舞の代表的な舞
スサナオノミコトが八岐大蛇を退治し、尾の先より出た「天の叢雲の剣」を熱田神宮に奉納する。ところが日本武尊に恨みをもつ魔女が化身して刀を盗み出す。それを日本武尊が退治して刀を取り戻し、熱田神宮に再び奉納する。
魔女登場、魔女の舞-細やかな所作、スピーディー、かなり上手(観客席から上手いの声がかかる)
日本武尊の動きは大きな動き
化身した魔女(赤い服と鬼の面)



所望分(飯野川法印神楽保存会-石巻)
四季の神たちが90日ずつ一年を構成していたが、土の神が加わらないため、土の徳が衰え、万物が実らず民が苦しみ。春夏秋冬の間に18日ずつ土用をつくり土の守護日を72日と定めたところ、民の暮らしが豊になった。
四人の舞手が次々に登場、円陣をつくっていたく。この中に今日が初踊りという小学5年生がいる。声をよく通っていた。他の3人よりも一番よく通っていた。
土の神が登場して他の4人と戦うところが見せ場か。
 

田村三代(大室南部神楽保存会-石巻)
坂上田村丸が悪い鬼を退治する。
これは今回唯一の参加となった南部神楽。
北上地区。大太鼓をバチで叩く。二人の勇壮な踊り。背景幕がつくられる。鬼との争いでは動きが大きく、激しくなる。弓を射る。
 
    
魔王攻(江島法印神楽保存会-女川町)
スサナオノミコトが諸魔のために苦しむ民を救い、諸魔を追い払う。
ふたりの道化役が袋を担いで出てきて、客席でこの袋からお菓子をとりだしてお客さんに配って歩く。自分もカントリーマムをもらった。道化役はスサナオノミコトが登場する前にコミカル動きで笑いを誘う。演技ではなくスサナオノミコト役が舞台に登るまえにずっこける。この舞台への導線が傾斜になっているので仮面をつけているとわかりづらいかもしれない。足を滑らせる人が何人かいた。
 

笹結び(福地法印神楽保存会-石巻市)
河北地方の神楽
舞台の四面に笹が飾られる
スサナオノミコトが五鬼王という魔王を退治する
スサナオノミコトの独舞からはじまる。大きな所作でダイナミック
魔物は笹を担いで客席から登場、客席で争う、舞台にあがり、ここでまた争う。
魔物が客席に逃れ、これを追いかける。
また舞台で今度は剣をとりだして打ち合い。二刀流で激しく打ち合う。


道祖(神取給人町法印神楽保存会-石巻)
桃生地区
猿田彦の舞。地舞としては最高の舞で、神楽通の見る神楽とされる。
所作大きく、ダイナミックな舞。声がよく通っていた。
刀を抜き、剣舞をおどる、次第に動きが激しくなる。
                   

白露(牡鹿神楽保存会-石巻)
牡鹿地区
我国の夫婦のはじめといわれるイザナギノミコトとイザナミのミコトの男女二神の契りを高尚に描く優美な舞。
男と女の舞。かけあいの面白さ。囃子の太鼓がちょっと元気がなかった。

岩戸開(雄勝法印神楽保存会-石巻市)
本神楽でも最も重要とされていて、必ず舞う神楽。ここから「五矢」「鬼門」「叢雲」「魔王退治」などの演目に繋がる。
天照大神が天岩戸に身を隠してしまい、魔王や魔神が横行し、困った群神・万民は何とか元の明るい世にすべく相談。そして岩戸を開くことができた。
太鼓2台ということで、かなり大がかりな感じがするし、登場する舞手も多く、さらに剣舞もダイナミックで迫力があった。




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