デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

希望は絶望のど真ん中に

2011-09-08 13:08:40 | お仕事日誌
書名 『希望は絶望のど真ん中』
著者 むのたけじ  出版社 岩波書店(岩波新書)  出版年 2011

タイトルを見て、すぐに買った。96歳を超えたいまも現役のジャーナリストとして活躍するむのたけじさんが、3・11以降をどう見ているのか、それが書いてあると思った。
最近よく考えることは、東北をこよなく愛し、核を憎みつづけていた亡くなった井上ひさしさんだったら、東北がいま面している危機を、苦境を見て、なにを書き、何を話しただろうかということ。そろそろ巷には復興プランや勇ましい再興を説く書物が現れている。震災の被害をえさに金儲けをしているとしか思えないものばかり。井上さんだったら、どんなことばを紡ぐのだろう。きっと絶望的な状況にあっても、人びとに向かって希望のたいまつを掲げたはずだ。でもどのような言葉でと・・・
むのさんのこの本は3・11にも触れているが、直接それにむかってのメッセージではない、それどころから人類の発生のところから現在までを振り返りながら、人間にとって、人類にとっていちばん大事なものはなにかを熱く語り起こす。むのさんは人類学者ではなく、ジャーナリストであるから、なぞるのではなく、現代人が努力しなければならないと目的をはっきりとうち出す。これが実に小気味いい。
戦争をなくすという目的のために、いったい何が必要なのか、
今の世の中明るいものがあまりにも少なく、暗いものがあまりにも多く見えるが、両者はばらばらではない、「絶望と見える対象を嫌ったり恐れたりして目をつぶって、そこを去れば、もう希望とは決して会えない。絶望すべき対象にはしっかと絶望し、それを克服するために努力し続ければ、それが希望に転化していゆくのだ。そうだ、希望は絶望のど真ん中の、どん底に実在しているのだ」と明確に言い切るその潔さに感銘する。
もうひとつ本論とは関係ないが、感動したのは、むのさんのモットー「いのちがけで」「死にもの狂いで」「いばるな」をまさに座右の銘としていた先頃亡くなった黒岩さんのエピソードだった。
このエピソードを知るだけでも一読の価値はある。
この本からもらった勇気を少しでもより多くの人たちに分けてあげたいと思うような、一冊であった。
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