作品名 「バレエ・リュス-踊る歓び 生きる歓び」
監督・製作・編集・脚本
ダニエル・ゲラー
デイナ・ゴールドファイン
出演
アリシア・マルコワ
イリナ・バロノワ
ナタリー・クラフスカ
フレデリック・フランクリン
2005年 アメリカ映画
ディアギレフ率いるバレエ・リュスを追ったものではなく、ディアギレフが亡くなり、カンパニーが解散したところから、この映画は始まる。解散し、モンテカルロ・バレエ・リュスとして復活したカンパニー(のちにふたつに分裂)の誕生から解散までを、当時ここで活躍したダンサーたちの証言と古い映像で構成していく。ディアギレフが死ぬまでの歴史しかしらなかったので、その意味では非常に勉強になったし、単調な流れなのだが、そこに出てくる老ダンサーがみな魅力的な人たちばかりで、映画自体とても楽しめた。なにより80才・90才になっているダンサーたちの元気なことに驚かされる。映画が完成したときには、亡くなってしまったダンサーもいるが、映像の中でおじいちゃん、おばあちゃんダンサーは、鮮明な記憶力で昔を振り返り、さらには教師として実際に踊って見せたりする。まさに副題となっている「踊る歓び、そして生きる歓び」が、ここに登場する生きたダンサーたちによって、ひたひたと伝わってくる。特にナタリア・クラソフスカヤのチャーミングなこと。彼女の英語は自分にもわかるくらいカタコトに近いものだったが、何十年ぶりかで再会したダンサーとはロシア語で話していた。やはりカンパニーの名前だけでなく、このカンパニーはロシア人たちのものであったのである。証言とともに織り込まれる古い映像も見ごたえがある。バレエというよりは、エンターテイメントにちかいテーストで、作品をつくっていたことがわかる。ダリが衣装デザインした作品「バッカナール」などは、その大胆なセットや衣装に度肝をぬかれた。インタビューの中で誰かが語っていたが、バレエ・リュスの原点とは、バレエというだけでなく、音楽、美術、衣装、振り付けを、ひとつの総合アートとして作品にしているわけだが、その伝統が息づいている。こうしたパースペクティブの広さが、バレエという枠だけにはおさまらず、のちにハリウッドのミュージカルとのコラボレーションを可能にしたのであろう。
ディアギレフのバレエ・リュスも、旅するカンパニーだったのだが、このモンテカルロ・バレエ・リュスも、また主舞台をアメリカに移してからは、専用汽車に乗って、アメリカ各地を旅していたというのも興味深かった。
最後、2000年アメリカのニューオリンズでかつてのダンサーが集まり同窓会が開かれる。みんな年老い、それぞれの道を歩みながらも、踊ることに生きる歓びを見いだした人々の顔の輝きの美しいこと。感動的であった。
満足度 ★★★
監督・製作・編集・脚本
ダニエル・ゲラー
デイナ・ゴールドファイン
出演
アリシア・マルコワ
イリナ・バロノワ
ナタリー・クラフスカ
フレデリック・フランクリン
2005年 アメリカ映画
ディアギレフ率いるバレエ・リュスを追ったものではなく、ディアギレフが亡くなり、カンパニーが解散したところから、この映画は始まる。解散し、モンテカルロ・バレエ・リュスとして復活したカンパニー(のちにふたつに分裂)の誕生から解散までを、当時ここで活躍したダンサーたちの証言と古い映像で構成していく。ディアギレフが死ぬまでの歴史しかしらなかったので、その意味では非常に勉強になったし、単調な流れなのだが、そこに出てくる老ダンサーがみな魅力的な人たちばかりで、映画自体とても楽しめた。なにより80才・90才になっているダンサーたちの元気なことに驚かされる。映画が完成したときには、亡くなってしまったダンサーもいるが、映像の中でおじいちゃん、おばあちゃんダンサーは、鮮明な記憶力で昔を振り返り、さらには教師として実際に踊って見せたりする。まさに副題となっている「踊る歓び、そして生きる歓び」が、ここに登場する生きたダンサーたちによって、ひたひたと伝わってくる。特にナタリア・クラソフスカヤのチャーミングなこと。彼女の英語は自分にもわかるくらいカタコトに近いものだったが、何十年ぶりかで再会したダンサーとはロシア語で話していた。やはりカンパニーの名前だけでなく、このカンパニーはロシア人たちのものであったのである。証言とともに織り込まれる古い映像も見ごたえがある。バレエというよりは、エンターテイメントにちかいテーストで、作品をつくっていたことがわかる。ダリが衣装デザインした作品「バッカナール」などは、その大胆なセットや衣装に度肝をぬかれた。インタビューの中で誰かが語っていたが、バレエ・リュスの原点とは、バレエというだけでなく、音楽、美術、衣装、振り付けを、ひとつの総合アートとして作品にしているわけだが、その伝統が息づいている。こうしたパースペクティブの広さが、バレエという枠だけにはおさまらず、のちにハリウッドのミュージカルとのコラボレーションを可能にしたのであろう。
ディアギレフのバレエ・リュスも、旅するカンパニーだったのだが、このモンテカルロ・バレエ・リュスも、また主舞台をアメリカに移してからは、専用汽車に乗って、アメリカ各地を旅していたというのも興味深かった。
最後、2000年アメリカのニューオリンズでかつてのダンサーが集まり同窓会が開かれる。みんな年老い、それぞれの道を歩みながらも、踊ることに生きる歓びを見いだした人々の顔の輝きの美しいこと。感動的であった。
満足度 ★★★
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