デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

渡りの足跡

2010-08-20 23:50:31 | 買った本・読んだ本
書名 「渡りの足跡」
著者 梨木香歩  出版社 新潮社  出版年 2010
我が同胞、野毛の嘘つき万里こと福田豊が尊敬する鳥は、コンドルなそうである。なんでもどんな肉でも食べちゃうからなそうだ。でもコンドルは福田さんの肉だけは食べないんじゃないというと、いつも喜んでいる。自分はコンドルよりは、何千キロも渡り飛んでくる渡り鳥たちを尊敬する。「ワタリ」と聞いただけですぐに反応するのは、これはもって生れたコスモポリタンへの憧憬からもしれない。
だからこの本の書評を新聞で見たとき、これはぜひものの本だとピーンときた。読んで正解、著者は迷惑がるかもしれないが、なにか自分と同じ匂いを感じてしまう。
「渡りは、一つ一つの個性が目の前に広がる景色と関わりながら自分の進路を切り拓いていく、旅の物語の集合体である」なんて言葉を読むと、うれしくなる。本書は渡り鳥に魅せられた著者が渡り鳥が旅に出発するとき、あるいは旅を終え到着したときにあわせて、出かけた旅の記録でもある。カムチャッカまで行ってしまう、そしてそこで「デルス・ウザーラ」とまで出会っている。ここに同じ匂いを感じてしまったのかもしれない。しかしこの渡り鳥を訪ねるという旅、かなり刺激される、真剣に自分も行こうかという気にさせられてしまった。
白州で朝散歩していたら、電線にたくさんのツバメが並んでいるのを見たことがある。まさに南へ帰る旅立ちの直前だったのだろう、翌日白州のあの一帯からツバメは消えていた。
通常は鳥は群れをなして渡るのだが、オオワシは単独で渡るという。大変だろうが、格好いいよな。尊敬に値する鳥である。
もうひとつ同じ匂いを感じたのは、渡り鳥だけでなく、やはり著者は「ワタリ」する人に惹かれているところである。アメリカの強制収容所で抵抗しつづけていた日系人の話を長々と紹介し、また「デルス・ウザーラ」と出会うのは、「『存在』は移動し、変化していく。生きることは時空の移動であり、それは変容を意味する。それが『渡り』の本質なのだろう」と見抜く著者だからこそなのだろう。
渡り鳥の話だけでも、存分に楽しませてもらったが、もうひとつ感謝しているのは、「おれ にんげんたち デルスー ウザーラはどこへ」という本の存在を教えてもらったこと。これもまたぜひもので読まなくてはならない、そんな匂いを発している。
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