ジャンル 映画
観覧日 2021年11月30日
「ウッド・ストック」があった同じ年に、ニューヨークのハーレムで「ハーレム・カルチュアルフェスティバル」というソウルミュージックのフェスティバルがあったということは全く知らなかった。
とても見たかった若きスティービー・ワンダーや、往年のB.B.キング、「ウッド・ストック」にも出演していたスライ&ファミリー・ストーンズなどに感激もしたが、フィフス・ディメンションの「アクレアス」に涙してしまった。なんて美しい曲だったのかと思う。以前桑野塾でニューヨークに滞在中の武隈君がアメリカ文化を知るには教会にいかないとというコメントが印象に残っているが、この映画の前半に流れたゴスペルを聞くと、確かに黒人とゴスペルに教会というのがアメリカ文化の核をつくっていたような気がする。
このフェスがあった年はキング牧師が暗殺されている。ケネディーから続くこの暗殺ラッシュの中で、絶望していた黒人たちも多かった。そんなことを背景に歌われたマヘリア・ジャクソンの歌に涙がとまらなくなった。これだけ心を揺さぶれる歌を聞いたのは、いままでなかった。
そして黒人に立ち上がれ、絶望しても、希望は失うなと鼓舞するニーナ・シモンの迫力にも圧倒された。
この時撮影されたフィルムが50年間も眠っていたところに、この映画のナレーションにもあったように、黒人文化への軽視というのがあったのは否めないだろう。その意味でトランプによって白人優先主義がまたはびころうとしているいま、この映画が公開される意義は大きい。特にニーナー・シモンのあの歌のもつメッセージは重い。
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