虫の音に源氏物語 ・・・ 2018年8月30日
24節気72候は第41候天地始粛(てんちはじめてさむし)
秋の虫の声を聴く季節となってきました。
無視の数が多ければ多いほど、「リンリン」という音が大きく響きます。
この夏初めて、このつんざくような音を聴き、荒れた館に住む姫君たちを思い浮かべ、無性に源氏物語を読みたくなっています。
源氏物語を読みたくなると秋が来た。。。というのが、私のお決まりの季節の情動であるかもしれません。
夏の緩んだ空気から、空気が引き締まる頃の事を「てんちはじめてさむし」の候と云うのだそうです。
この夏の酷暑は、同時に体調を気遣う夏でもありましたが、季節は明らかに秋へと移行しています。だからこそ、無理やりにでも秋の風情を見つけては、涼を脳に学習させているようにも思います。
今週末、9月2日は、私の能の師匠が名古屋能楽堂で「半蔀(はしとみ)」を舞われます。源氏物語の夕顔を描いた内容です。
源氏物語の半蔀の章では、ふと立ち寄った光源氏に扇の上に夕顔を乗せ歌を返すシーンから物語が展開するのですが、光源氏にしてもこの事がきっかけでどんな恐ろしい体験をするかは想像もつきません。紫式部の半蔀の展開には、夕顔という意思の見えない女性を物語のヒロインに置き、将来へ繋がる壮大なストーリーのプロローグとして書かれているように私は解釈しています。
源氏物語の面白さは、章と章から繋がる壮大な物語の中に隠されている紫式部によって仕掛けられた関係性を意図を自分なりに思う存分解釈できるところにあります。
夕顔は、源氏物語の展開に欠かすことの出来ないキーパーソンでもあるのです。
酷暑がぶり返し、暑さに負けそうな体力気力を、できることなら虫の音で引き締めて、8月の終わりを丁寧に治めたいものです。
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