五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

何事も手間暇かけて

2008年09月18日 | 第6章 螺旋状に上昇する意味
夏から頼まれた掛け軸を仕立てています。
同時に4副の掛け軸を手掛けるのが精いっぱいで、梅雨明けから始めた掛け軸が一副ずつ、仕上がってきつつあります。

しょうふ糊を使い、化学糊は一切使いません。
化学糊は、時間をかけずに、しかも綺麗に仕上がるとのこと。でも、私は一度も使ったことはありません。
しょうふ糊を使う手法は、時間が必要です。工程ごとに一週間前後乾かし、按配をみながら、次の作業に進みます。でも、昔は、それが当り前のやり方でした。

花を活ける友人がいます。手間暇かけて花材を探し、それに相応しい花器も自分で焼きます。今日も信州の山に行っているはず・・・花は新鮮さが命なのだ・・・、そう言いながら、腰越漁港で買い求めた「かま揚げシラス」がいったい何日持つか?、とちぐはぐなことを言っています。

ほんとうに必要なのは、安易に出来上がったものでは無いように思うのです。
いつか、飽きがきます。

理想の形を求めつつ、それに対しての努力は惜しまない。「ある領域に関しては、絶対に曲げないものを持っている人」との付き合いは興味深いものがあります。

手軽に習い事ができる便利な世の中。それはそれで良いと思います。
でも、伝統的な巧の業は、そのものの価値に値段が付けられないほどの手間暇がかかるものなのです。

「ものを作る職人が居ない・・・」と嘆く前に、「簡単に安く手に入る」ことを改めて考える必要がありそうです。

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