五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

表装のお話

2007年08月10日 | 第2章 五感と体感
今年に入ってすぐ、友人から二枚の版画を託されました。
「額装が飽きたから、掛け軸にして頂戴、、、」と。

「バティック、使って欲しいのだけれど。」

彼女はとても贅沢な人です。
私が20代からのお付き合いで、仕事がらみで互いの感性に惚れ合い出会った人。一回りお姉さんです。
人付き合いも、仕事も、好みに関しても手を抜かない。
そのくせ愛らしく、正直で、思いやりの深い人。
私は彼女から、「本物」の世界を多く学ばせて頂きました。

「バティック」、インドネシアの更紗です。
版画を託され、8ヶ月が経ち、私は事ある毎に、古布屋を覗き、更紗との縁を待ち続けました。

そしてとうとう昨日、私の手元に好みの更紗が納まったのです。
二日間、古布屋に通いました。
それも、出会いです。「裂」=布をこよなく愛し、そのためには労を厭わず、媚を売らず、謙遜でいて「確かな商人」との出会いの中で、その更紗に出合ったのです。

人と成り。

作品は、「人」と「成り」です。だから、紙一枚、裂一枚選ぶのに、たいそうな時間がかかります。
一幅の掛け軸にこれだけの時間を使います。
作品のための表装ではありますが、同時に持ち手の姿を映し出すようなものに仕上げたいと願うのです。

更紗との良き出合いのおかげで、次の行程にようやく進みます。
今度は、その更紗と作品を生かし合う「裂」との出合いです。

まだまだ、私の放浪は続きそうですが、材料選びの加速がついたようです。
年内には、友人の手元に納まるか。。。

・・・まだ、それは、わかりません・・・

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2 コメント

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反省 (永遠の少年)
2007-08-10 07:53:00
昔、昔、私が所属する日本の大学の研究室に、少し後輩にあたる研究生がいました。有名な能楽の家に生まれ、私達も時々、その家に客間に案内され、古来の名品の掛け軸や、その関連の国宝級の能面を拝見しては、わけのわからない批評を勝手にしていました。

表具作成に関わる裏話?を聞けば聞く程、反省しきりです。

治療にしばしば能面を使用し、患者さんの感情掘り起こしにその国宝級の能面を使用させていただいた事を、今から思うに冷や汗が出ます。

その能面についてのお話を書いた書が美しい掛け軸で説明されていました。

現代の能面よりも、古来の能面の方が、治療に役立つのは何故でしょうね?

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Unknown (露芳)
2007-08-10 11:04:10
一刀入魂。

能面は、あの世とこの世を繋ぐもの。

彫り師の入魂、そして面の持つ怨念が舞い手に乗り移らないよう、面の裏に経を書き入れる話を聞いたことがあります。

その人の「歴史解釈、概念」が、古いものを使う方が顕著に表れますね。
現実吟味力、アイデンティティの統合、防衛機制の観察と考察がしやすいという利点を感じます。

絵画鑑賞療法や俳句療法にしても、何かの媒体を通しての心理療法は、同じ事がいえるように思います。

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