Mr.コンティのRising JAPAN

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クロアチア戦 勝機はあるのか?

2006-05-21 | FIFA World Cup
ワールドカップで同組になるひとつの国、クロアチア。昨日、隣国スロヴェニアにて代表チームは始動合宿を始めた。クラニチャール監督は“ジーコ監督の事を尊敬している。ジーコ監督の素晴らしさが無ければ今の日本代表は無い”と言うジーコ監督の賞賛に始まり、日本のテレビ番組向けには“クロアチアには勝たないでオーストラリア、ブラジルに勝って下さい。一緒に決勝トーナメントに行きましょう。”と余裕のコメントを。 だがはっきり言ってクロアチアの世論、そして一般市民は誰もクロアチア代表が日本代表に負けるとは想像もしていない。1991年に端を発した旧ユーゴスラビアの崩壊に始まり、1996年の欧州選手権決勝大会への進出を皮切りに、ワールドカップフランス大会の3位、続く日韓大会への連続出場、2004年ポルトガルでの欧州選手権進出。これだけの戦績を列挙しただけでも彼らがアジアからやって来た、行った事も無い国に負けるなど考えられないと言う事も理解できる。 8年前のフランス大会では 0-1 と惜敗ではあったが、日本の決定機はあの中田から出たロングパスを受けた中山のシュートが GK ラディッチの自身の歴史書に残るであろう反応によって防がれたあの1回のみ。不安視された負傷で出られなかったボバンの穴も問題せず勝利という結果を引き出した。 6月18日に当たるクロアチアに敗れるようでは日本のベスト16は有り得ない。では日本はクロアチアに勝てるのであろうか?

クロアチア代表の23人
Keepers: Tomislav Butina ( 32 : FC Bruges/BELGIUM ), Stipe Pletikosa ( 27 : Hajduk Split ), Joseph Didulica ( 28 : Austria Vienna/AUSTRIA )
Defenders: Robert Kovac ( 32 : Juventus Turin/ITALY ), Stjepan Tomas ( 30 : Galatasaray/TURKEY ), Dario Simic ( 31 : AC Milan/ITALY ), Mario Tokic ( 31 : Austria Vienna/AUSTRIA ), Josip Simunic ( 28 : Hertha Berlin/GERMANY ), Igor Tudor ( 28 : Sienna/ITALY ).
Midfielders: Jerko Leko ( 26 : Dynamo Kiev/UKRAINE ), Jurica Vranjes ( 26 : Werder Bremen/GERMANY ), Antony Seric ( 27 : Panathinaikos/GREECE ), Niko Kovac ( 34 : Hertha Berlin/GERMANY ), Marko Babic ( 25 : Bayer Leverkusen/GERMANY ), Darijo Srna ( 24 : Shakhtar Donetsk/UKRINE ), Ivan Leko ( 28 : FC Bruges/BELGIUM ), Luka Modric ( 23 : Dynamo Zagreb), Niko Kranjcar ( 22 : Hajduk Split).
Strikers: Ivan Klasnic ( 26 : Werder Bremen/GERANY ), Ivan Bosnjak ( 26 : Dynamo Zagreb), Bosko Balaban ( 27 : FC Bruges/BELGIUM ), Ivica Olic ( 26 : CSKA Moscow/RUSSIA ), Dado Prso ( 21 : Rangers/SCOTLAND ).

クロアチア伝統のシステムは 3-4-1-2 。しかし、前回のワールドカップではボクシッチのワントップ気味のどちらかと言えば4バックを採用した 4-3-2-1 。1次リーグで敗退したせいか?2年後の欧州選手権では 3-4-1-2 に戻している。しかし、当時のバリニッチ監督は、今大会で話題になっている司令塔クルニチャ-ルをメンバーから外し、クラスニッチ、バビッチと言ったブンデスリーガで活躍する選手を起用せず守備的な布陣で臨み1次リーグで敗退。イングランド、フランスと同組では(もう1つはスイス)そうせざるを得なかったか?後任のズラトコ=クラニチャール監督は伝統のシステムはそのままにしながらも特に実息になるニコ=クルニチャールを直ぐに代表に呼び戻すなど攻撃的な布陣を敷く方策を慣行。それには特にディナモ=ザグレブのサポーターを中心に批判が集ったもののソフィアでのブルガリア戦でゴールを挙げるなどその実力を証明するなど完全にチームの中心的存在となる。 しかし、今般の代表選出に当り、2005年のクラアチアリーグ最優秀選手でもある注目の帰化人選手ディナモ=ザグレブ所属のエドゥアルド=ダシルバを外しマルコビッチ協会会長までこの選出に言及し“クラニチャール監督を話し合う”とコメントする等物議を醸し出している。 兼ねてからクラニチャール監督は“予選の重圧を乗り越えた選手を選ぶ”と公言していた。 確かにダシルバはワールドカップ予選に選出されたがプレーはしていない。だがディナモサポーターはFWオリッチは怪我の回復が不安視されている、ダシルバを選ぶべきと、これはディナモ叩きだ、と不満を隠さず息子ニコのユニフォームを豚に着せるパフォーマンスまで。だが、先のアルゼンチン戦の好パフォーマンスを評価され、ワールドカップ予選に召集されなかったただ1人の選手、モドリッチはディナモの選手だ。予選では合計38名の選手が召集され6名が国内クラブチーム所属の選手だった。その中から今回選出された23人の選手の中で国内組はディナモ、ハイデゥク=スプリトから2人ずつの4人だ。

GK 日韓大会ではプレティコサがレギュラーであったが、以降ブティナが正GKとして2004年欧州選手権もゴールを守る。ワールドカップ予選も10試合中2試合をプレディコサに譲るも予選突破のかかったスウェーデン、ハンガリーとの最後の2連戦はプティナが起用された。第三GKのティドリッツァも含めGK全員が190cm以上の長身。中村のFKに手が届きやすいか? 

DF : 左からシムニッチ、コヴァチ、トマス(またはシミッチ)の3バックだが、スタンメン候補はシミッチを含む4人全員が前回のワールドカップ、2年前の欧州選手権の経験者。DF登録6名の平均年齢は30歳丁度。こちらはトキッチ以外180cm以上。欧州では高いDFとはいえないだろうが、今大会の予選も高さでは定評のあるスウェーデンを2試合とも完封している。 空中戦では日本は不利だろう。思い出すのは8年前。クロアチアDF 陣は終盤の日本は何度もコーナーキックを得るが、それはクロアチアが制空権を完全に支配したとみるや、日本の連続攻撃に余裕を持ってコーナーに逃れた為。 中澤の攻撃参加に期待するか?それとも空中戦以外の戦術に専念するか?だが平均年齢30歳、ブラジルとの初戦を終えた後ではスタミナの消耗も激しいであろう。DF陣の層の薄さがクロアチアのネックだ。シムニッチ、トマスの両サイドバックのバックアップ(洒落ではありません。)に人材がいない。日本戦はそれが吉と出てくれれば良いのだが。 日本のFWは高原、玉田。または高原、柳沢の様に動きの早さに特徴のある選手が効果的か?そして終盤のスタミナ切れを狙って巻を投入するか?

MF トップ下に配されるハイデゥク=スプリト所属の司令塔のクラニチァール、攻撃的MF左のバビッチ、右のスルナは脅威だ。両サイドから質の高いクロスが配球され、特に右のスルナ=ダリオはブルガリア戦で2得点最終戦のスウェーデン戦での1ゴールを含む予選4得点クロスも挙げてゴールも決めると言うメキシゴ輪の宮本、杉山を髣髴させる(古いか?) 先のアルゼンチン戦で見せたクラニチャールのパフォーマンスは欧州のどこのビッグクラブでも欲しがるのでは無いか? またダブルボランチのニコ=コバチ、トドゥールこそスウェーデン、ハンガリーに失点を許さなかった立役者。おそらく先制点を取れば、後はニコ=コバチの実弟ロベルトを入れて守備を厚くしてくる。ユーベントスでプレーするロベルトは、かつてはバイエルン・ミュンヘンでもプレーしている。ブラジル戦ではワントップにしてこの3人が守備的MFに配置され、失点を抑えあわよくば引分に持ち込み、日本戦には2ボランチで臨んでくると思われる。ニコ=コバチは欧州選手権のフランス戦でゴールを決めており、トドゥールはフランス、イングランド相手に1点ずつ決めており国際舞台での得点力も有る。そしてあまり注目されていないが SRNA Darijo は要注意だ。ホームとアウェーでのスウェーデン戦で各1点ずつ、ブルガリア戦で2得点と重要な試合で得点を挙げている。日本戦では彼がどこかで起用される展開になるかもしれない。だがコバチ兄弟は年齢30歳以上。大会期間中もコンディショニングが不安視されている。

FW 予選5得点のプルショはグラスゴーレンジャーズのストライカーで身長190cmの長身で予選最終戦のハンガリー戦では2ゴールを決めている。そしてブンデスリーガ、ブレーメンの186cm FWクラスニッチは優勝した 03-04 では13得点を挙げて、ドイツFWクローゼと並ぶ得点源。昨シーズンもクローゼに次ぐ10ゴールを挙げた。 プルショは2004年の欧州選手権のフランス戦でも1ゴールを決めているが、クラスニッチは先述した通り出場機会を与えられなかった。もう1人の予選で2得点を挙げたFWバラバも187cmの長身で欧州でも屈指の力強いFW陣だ。もう1人の欧州選手権経験者CSKAモスクワ所属のオリッチは怪我の回復が不安視されている。

クラニチャール監督は日本DF陣の弱点を横からの揺さぶりと公言している。これは同時に高さの事も表しているだろう。MFバビッチ、スルナのクロスはハイレベルだ。失点を防ぐのはサイドへのスペースを消す事だ。それと最終ラインが勇気をもって高い位置を維持する事だ。いくら上背がある選手でもその脅威はゴール前のみ。ペナルティエリアの外ではさほど脅威にならない。日本の中盤構成は小野、稲本といった攻撃的MFよりも福西、中田浩二といった守備能力に優れた選手が適役か?ただジーコ監督の指摘する“かつてほど足元がしっかりしていない”と言う様に1対1なら日本も負けないのではないか?クロアチア首脳陣にとってはMFを含めて攻撃的選手にワールドカップ経験者がいないので期間中のコンディショニングが課題だ。クロアチアは好守に渡り中盤がカギを握っている。この中盤を制する事が出来れば日本の勝利も見えてくる。月並みだが相手が攻撃に転じればDFとMFが連携をし、日本が攻めるときはMFの早い押し上げ、前線へのサポートを続け常に数的優位を保つ事が必要だ。

参考までに、GK Joey Didulica, DF Joship Simunic そしてMF  Antony Seric の3人はオーストラリア生まれのクロアチア人で境遇はオーストラリアのFW Mark=Viduka と同じだ。 Viduka も一時クロアチア=ザグレブでプレーをしていたが、他の3名はそのままクロアチアに留まることを決意した。
クロアチアは当然日本から勝点3を挙げられると計算しているだろう。欧州人のほとんどがその様に想像するのは当然だ。アジアの代表国はかつて欧州の地では2回しか勝利を収めていない。そのうちの1つは8年前のフランス大会でイランがアメリカを1-0 で破った試合だが、欧州勢が相手だと、あの伝説の1966年大会イタリアを朝鮮民主主義人民共和国が破った試合しかない。6月17日にイランがポルトガルと対戦するが、日本がクロアチアを破ればAFCにとっては歴史的な日になる。(同日韓国がフランスと対戦する) 日本のマスコミが楽観的に分析する様な容易な試合には決してならないが、可能性はフランス大会よりは高いのではないかと思っている。 


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