今年の夏は、いや今年の夏も暑い。強烈に暑い。
そんな中、甲子園球場では熱戦が繰り広げられた。いや甲子園だけでは無い、部活に頑張る中高生がたくさんいるのだ。しかし私が現役だった“スポーツ原始時代” とは違う、指導者達は適切な指導、“水を飲むとばてる”とか“暑さは精神力を鍛える”といった無駄な精神論は押しつけないでもらいたい。 まぁ最近の指導者なんて精神論は言わないか…..
7月末日、海外に商用で赴いている時に吉報が入って来た。
我が母校京都西高校が3年振りの全国高校野球選手権大会に進出を決めた。
準決勝の京都成章戦で競り勝った時点で大きく甲子園に前進したと思っていたけどやっぱり吉報を聞くと嬉しくてたまらない。
毎年この季節になると思いだす。同級生の野球部の連中がこの3年間甲子園を目指して毎晩遅くまで練習に明け暮れていた事。それでも甲子園に届かなかった彼らの心中は…みんな元気にしているかなぁ…
卒業してから3年後、母校が甲子園の土をようやく踏む事が出来た時、まだ大学生だった自分は当然の様に甲子園球場に応援に出かけたその時に何人か同級生の野球部員と再会ししばし昔話をした…そしていつか俺も全国大会に出てやるぞぉ…と誓ったものだ。
組み分け抽選があり1回戦の相手は新潟明訓高校と決まった。 職場や知人の何人かは“組みし易し”ではないですか…と声を掛けてくれたが私は決してそう思えなかった。確かに一時新潟県の代表校はなかなか1回戦を突破出来ない時期が続いた。 しかし昨年の準優勝校、日本文理学園は新潟県代表。今は21世紀。もう都道府県名で相手の強さを測る時代はとっくに終わっている。そして我が母校が初めて全国大会に出場した昭和59年度の大会では1回戦で新潟南高校と対戦したのだ。試合内容はあまり覚えていないが先制されて、追い付いて…そして最後はサヨナラ負けだった。ランナー2塁にいてレフト前にヒットを打たれた。あぁサヨナラ負け..と思ったら当時の左翼手から矢の様な送球でセカンドランナーはホームイン出来なかった。 その時外野席から大拍手が送られていた。
しかし安堵もつかの間次の打者にも安打を喫し3塁んランナーがホームインし激戦に終止符が打たれた。翌日の新聞では喜んだ1塁ランナーが2塁に達する前に歓喜の輪に入り、もしそれに誰かが気がついて2塁を封殺すればホームインは取り消された…と書いてあった。
その試合後の思い出は忘れられない。 高校時代の担任がバスに乗せてやるから一緒に帰ろうと京都まで連れて行ってくれたのだが、駐車場までは対戦相手の新潟南高校の生徒と一緒になり私だけでなく多くの在校生達が新潟南高校の生徒達と仲良く話していた。今の様にデジカメがあればなぁ…
彼らは嵐山に宿泊しており、母校の前を通り京都西高校の生徒や京都市民達が彼らのバスに手を振っていた。そして新潟南高校の生徒達もそうだった。私は卒業していたけど、良い思い出だったなぁ….. 新潟南のチアガール、みんな可愛かったなぁ….当時京都西高校は男子校だった……
8月13日、大会6日目にようやく登場した我が母校。6日目まで待ちしかも大会第一試合という難しい試合。ただ対戦相手も同じ条件。よくは解らないが今年の京都西はどちらかと云うと守備のチーム。勿論京都府大会では逆転勝利も収めたが、全国大会では相手が違う。先制して何とか逃げ切って欲しいと思った。
序盤 送りバントが明暗を分る…
高校野球というよりも負けたら終わりのトーナメント大会はバントが大切。それは4番打者でも同じと思う。初回、新潟明訓は3番田村君の2塁打で先制をし、2回は池田君の犠牲フライで、3回は柄沢君のライト前タイムリーで3回まで毎回得点を挙げ主導権を握ったが、京都西もチャンスはあった。初回は先頭打者の下村君が2回も先頭の渡辺君がそれぞれヒットで出塁するものの、続く打者がバント失敗で送れず、2点ビハインドの3回表には先頭の佐藤君が左翼線を破る2塁打で出塁する。 続く下村は送りバントに成功するも荻野君がスクイズに失敗。これで立ち上がり不安定だった新潟明訓の先発池田君を助けてしまった。
新潟明訓が1,2回バントをきっちり決めてランナーを送って得点を挙げたのと全く対照的な立ち上がりだった。そして西校がスクイズ失敗でチャンスを逸した直後、新潟明訓に追加点を許し完全に主導権を握られる展開に。先頭の町屋君がヒットで出塁し盗塁を決め、続く田村君の犠牲フライで3塁に進んだ後に柄沢君にタイムリーを許した。柄沢君のバッティングも良かったがランナー3塁、犠打でも得点が入ると言う場面で打席に入れたのも大きかっただろう。
ここで京都西は3年生の中村君にスイッチ。だが新潟明訓は続く漆原君がレフト前に弾き返し、渡辺君がファンブルする間に2,3塁とする。 続く伊藤君を3塁ファールフライに打ち取るも7番間藤君を歩かせ2死満塁のピンチ。前の打席で2塁打を打たれたのが気になったか。だが続く西山君を三振に切って取り追加点を何とか阻んだ。先制され、チャンスを逃し、追加点を許し..の悪循環。 先発佐藤君は2年生。それは問題ないのだろうが京都府大会でも先発した事がなかったらしい。 色々事情はありそうだけど、ここは….とも思った。 でも3回までのチャンス、どこか一つバントが決まっていれば…と思った。
中盤1点差にするも…
新潟明訓の先発池田君は相手の拙攻に助けられるが、投球内容も立ち上がりスライダーがよく切れていた。 4回には自らの悪送球で1死満塁のピンチを招くが後続の石山君と久須美君をスライダーで外野フライに打ち取り失点を許さなかった。
4回裏これ以上失点を許したくない京都西、佐藤君はまたも先頭の池田君にレフト前にヒットを打たれ出塁を許す。続く山本君にきっちりと送りバントを決められ、更に脇谷君にはカーブをぶつけてしまい1死1,2塁としてしまい、初回先制の2塁打を放った田村君を迎える。だが何とかライトフライに打ち取った上に1塁走者の脇谷君が飛び出してしまっており、あっという間にピンチを脱する事になった。でもまだ安定感が… だがこの試合初めて新潟明訓のイニングに0がついた。
そして5回表ようやく京都西が反撃に転じる。先頭の中村君が打ち取られたが、続く下村君がライトに弾き返し出塁すると後続の荻野君が頭部に死球を受ける。荻野君に替って一時的に石山君が代走に送られる。 続く打者は前の打席でヒットを打っている前田君。2-2 から打った当たりはショートの田村君に。2塁で封殺されたが2塁手山本君の1塁への送球がそれてしまい、2塁走者の下倉君が生還しようやく1点を返した。 更に続く金瀬戸君がストレートを見事にセンターに打ち返し 2塁に進んでいた前田君が生還し1点差に。
更に続く渡部君が 2-0 と追い込まれながら1球見送った後のストレートを打ち幸運な内野安打となり同点のチャンスを迎えた。
ここで京都西ベンチは渡部君に替えて柴田君を代走に送る。 柴田君が還れば同点となるが続く西下君はセンターフライに倒れた。 3安打に渡部君を下げてまで代走を送ったのに..と少し勿体ない気がした。だがこの回の池田君はスライダーの切れが悪くなったせいかスライダーを見送られる様になり、ストレートを打たれる様になった。中村君、金瀬戸君のヒットはいずれもストレートを打ったのも。
京都西高2番手の中村君は前の回のピンチを三振で打ち取り調子が出たか5回裏は7球3者凡退で仕留め味方の反撃を待つ。6回表の京都西は先頭の石山君が 2-3 まで粘るも最後はストレートで投手ゴロに打ち取られた。ここで新潟明訓ベンチは2番手右腕投手の神田君を投入する。 試合後新潟明訓の佐藤監督は石山君の打席で捕手も取れない暴投をした時に替えようと思ったと話していたが私もその時握力が落ちて来てスライダーを含む変化球の切れが全くなくなっているのでこのイニングもチャンスありと思っていた。
2番手の神田君は伸びのあるストレートで久須美、中村の両君を打ち取った。 特に久須美君には全てストレートを投じて打ち取った。 こりゃもう次の1点は先にやれないなぁ…..と思った。
だが戦局はこちらに味方してくれない。前の回7球で終わらせた中村君が6回につかまってしまった。先頭の間藤君に 1-1 からのストレートをレフトに打ち返されると続く西山君に送りバントを決められた後に神田君には外角のカーブを右中間に運ばれ追加点を許すと続く山本君は何とかレフトフライに打ち取るが町屋君にはストレートをレフトに運ばれ5点目を失い更に2死2塁のピンチが続く。
中村君に対し新潟明訓打線は2巡目、左打者の神田、町屋の両君に外角の球をレフトへ狙い打ちされた。 更に初回先制2塁打の田村君を迎える。そしてレフトへ弾き返される。またやられたと思うがここは左翼下村君から遊撃前田君を中継してストライクの返球で2塁走者の町屋君を本塁で刺し何とか6失点目は凌いだ。あの当たりでどうして突っ込ませたのだろう?しかもリードしているのに。あのまま二死ながら一、三塁に走者が残っていた方が更に失点が…と思った。しかしこのイニング4安打を浴び2失点を喫しまた3点差にされてしまった。
粘るも挽回できず…
新潟明訓の2番手神田君は投入2イニングス目の7回もストレートと変化球が冴える。代打中沢君にライト前にヒットを許すも前の打席でタイムリーを放った金瀬戸君をストレートで三振に打ち取る。一方の中村君も7回裏は無失点に切り抜けるが、先頭の柄沢君が右中間に打ち返した打球をセンターの石山君が素早い送球で2塁を狙った柄沢君を刺した。見事な送球だったが柄沢君は何故走ったのだろう? さっきの町屋君もそうだったけど…
相手の拙攻に乗じて何とか1点でも返してほしいと思った8回表、先頭の柴田君が外角ストレートを打ち返し左中間を破る。 よしツーベースだっ、と思ったが柴田君は2塁も回る。一瞬3塁でクロスプレーにならないか?と案じたがなかなかの快足だ。
3安打に渡部君にどうして替えるんだろう…と思った事を後悔した。
そして続く西下君が1,2塁間に鋭い打球を飛ばす。よしタイムリーと思ったが2塁手山本君が素晴らしい動きで打球を掴み西下君の出塁を許さない。この間柴田君がホームインし2点差とするがこれで走者が無くなった。無死1塁と1死無走者は大違い。山下君のナイスプレーがこの試合を大きく左右した。
神田君はこの回も外角変化球でストライクを取りに行くがストレートを芯で捉えられるようになってきた。その一方で中村君は8回裏の新潟明訓をあっさりと3人で討取ってくれた。そしてセカンド前田君のファインプレーもあった。
2点差はあるが最終回、まだまだチャンスはあると思ったのだが…. 先頭打者の中村君は初球129kmのストレート、2球目114kmの変化球でたちまち 2-0 と追い込まれ最後は 2-1 から外角低めのストレートを打ちあげてセンターフライに倒れる。続く1番下村君は初球、2球目と変化球が外れて 0-2 となるも3球目に134km の内角ストレート、続く131km の高めのストレートにバットを出してファールとなり 2-2 の並行カウントに。そして最後はインコースの変化球に手が出ず三振に切って取られた。
ここにきても変化球でストライクが取れる神田君はさすがだ。続く打者、代打森永君は3年生。県大会でも数度打席に立っただけらしい。しかし初球の133km のストレートを打ち返した打球はレフトの頭上を破る2塁打に。2死ながらクリーンアップの前にランナーが出た。それにしても森永君の思い切った振りは見事の一言。 きっと一生の思い出になるやろうなぁ…と思った。
新潟明訓の神田君は続く直前の守備でファインプレーを披露した前田君に初球132km ストレートでストライクを取る。 捕手の佐藤君、よくストレートを投げさせたなぁ…. 2球目は外角に変化球が外れ、3球目、ストレートが来ると私は思いそのストレートを前田君が打ち返した打球は快音を残す、よし抜けた !! と思ったがショートの田村君は左に上手く脚を運び打球を掴み1塁に送球し京都西高校の夏が終わった……
新潟明訓はベスト8まで残った。だからこの試合に勝っていればなぁ…と少し胸算用した。
京都西高校は敗れたがしかしこの日の出場メンバーの6人が2年生。来年以降も期待が出来そうだと思う。 両校の3年生達はどういう心境だろうなぁ….
今頃はもうこれで練習から解放されたぁ….と思っているだろうか?
夏休みもあと10日ほど残っている。 今から一般の高校生が味わった楽しさ2年半分をこの10日間で味わってくれれぃ….
そして私は会社の5日間の夏季休暇疲れが今でも取れずにいる……
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