Mr.コンティのRising JAPAN

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Thompson Thopmpson !! Melbourne Victory !!

2007-02-19 | Aussie & Kiwi

毎年10月にMelbourne Cricket Ground で開催される Aussie Football の Grand Final Match の当日に2度ほど私は Melbourne に居た事がある。この話をすると8割方のオーストラリア人は羨ましがるが(ただメルボルンに居ただけで)残念ながら私はその本当の価値がわからない。ただ試合の2~3日前から Melbourne の中心街は Grand Final 一色に染まり、出場チームの地元からサポーターがレプリカやマフラーを巻いて駆けつけその雰囲気を徐々に盛り上げる。試合当日はどこのパブも大型スクリーンのテレビが導入され試合中継を流し、そこに多くの人々が集まってくる。
2月18日のメルボルンはどうだったのだろう?
国内リーグの試合では 55,436 人の最高の観客動員数を記録した Melbourne の Telstra Dome で行われた A -League 2年目の Grand Final はレギュラーシーズン独走で1位だった地元 Melbourne Victory が Adelaide United を 6-0 で粉砕し優勝を飾った。この試合の立役者は何と言っても Archie Thompson 。今シーズンはこれまで15ゴールを叩き出していながらレギュラーシーズン第19節以降4試合ノーゴールであったが最後の試合で何と5得点を挙げる大活躍。 A –League 史上最初に1試合3ゴール以上を決めた選手となった。
“私は自身のハットトリックを予想していた。普段よくそういう事は口にするが、実現する事は無かった。この日の様に現実になった事が信じられない。仲間達に感謝したい。”と試合後喜びを爆発させた。

Adelaide は Kosmina 監督が出場停止だが、もっと痛かったのは左サイドバックMatthew Kemp の累積警告による離脱。彼の替わりに Grey Owen が起用されたがその穴埋めは不十分であったのかも知れなかった。

試合は開始5分で Adelaide の Diego と Aloisi が試合中の相手選手との交錯によって一旦外に運び出される激しい幕開け。その後 Victory の MF Adrian Caceres がFKから直接ゴールを狙うが Adelaide のDF Greg Owen が何とかヘッドでクリアー。 Careras は続いて2度シュートチャンスを掴むが得点には結び付けられなかった。 Careras は昨シーズンまで Perth Glory に所属し18試合に出場し1得点。その1得点が対 Victory 戦であった。この Final Series には Major Semifinal の初戦で負傷をした Mark Bynes に替わって前の Melbourne でのSecond Leg から起用されている。ピンチを逃れた Adelaide は16分から立て続けに Nathan Burns がチャンスを掴む。最初は Michale Theoklitos のパスから、その次は Melbourne DF 陣がボール処理をもたつく間をさらって。そしてその直後 Adelaide DF Aloisi が Victory FWの Fred へのチャージで1枚目の警告を受ける。Adelaide は、その直後に Carl Veart が フリーのOwen に絶妙のパスを送りチャンスをつかもうとするが、 Victory の Rody Vargas がインターセプト。それらのチャンスのいずれかをゴール枠に飛ばしていれば試合結果は違ったものとなっていただろう。
そして21分 Grant Brebnerからのボールに走りこんだ Fred に渡り、ペナルティーエリア内にクロスが入るとAdelaide GK Beltrame より一瞬速く反応したいた Thompson がそのままゴールに流し込み先制点を挙げるとこれがゴールラッシュの始まりであった。29分にはまたも Allsop の突破から右サイドに位置した Fred にボールが渡り完璧なクロスを入れるとそこに走りこんだ Thompson が難なく2点目を挙げる。このころピッチには雨が落ちてきた。
こうなると Adelaide に焦りが生じる、と言うかまだ焦らなくても良い時間帯、得点差なのに。この辺がまだ未熟なリーグなのかもしれない。 34分に Aloisi が Brebner に肘を入れて2枚目のイエローカードで退場に。残りの55分で Adelaide は10人で戦わねばならなくなった。その5分後の40分、Victory の主将 Kevin=Mascutt がボールをカットすると前線にはフリーの Thompson が。 Mascut が完璧なパスを通し、また Thompson も完璧なボール運びで3点目を挙げる。これで Thompson が A League 最初のハットトリック達成者に。
後半開始早々、 Mascut の早い FK から Thompson が抜け出てGKと1対1になるがシュートはクロスバーに。何とか挽回を図る Adelaide は Burns がロングシュートを放つが僅かにそれる。DF陣も Allsopp, Fred そして Adrian Leijer の突破を必死に防ぐ。しかし56分決定的な4点目が入る。 雨脚の強くなった中、 Fred のスルーを受けた Thompson が最後はGKをかわして追加点を挙げる。この時点でほぼ Adelaide の勝利は潰えたと言って過言ではなかった。それでも60分には Burns のショットが Victory GK Theolitos を破るがこれはオフサイドの判定。その後も途中出場で Fernando に替わって投入された Bruce Djite がゴールを襲うが至近距離のシュートを Theolitos が防ぐ。73分には Fred が左サイドを突破し、入れたクロスを五たび Thompson が決めてついに5点差が。その直後には Allsopp が決定機をつかむがミス。85分には Adelaide の Olyroo 選手 Djite のショットを GK Theoklitos が片手でセーブ。あたかもこの日は Thompson 以外はゴールを決めてはいけない様な雰囲気となった。
そして90分、ロスタイムにはいろうとする時間に大歓声に送られてお役目ごめんと Thmpson がベンチに下がり、Sarkies がピッチに送られる。あとはホイッスルを待つばかりと大観衆は時計を見つめる中、93分に Sarkies が6点目を決めて Victory の Festa はようやく終わりを告げた。

敗れたAdelaide はやはり Matthew Kemp の出場停止が痛かっただろう。鍵を握っていた Victory の攻撃陣に翻弄された形だった。更にAlloisiの退場がそれに拍車をかけ全てにおいて後手に回った。59分にFernando を下げて 若いアメリカ生まれの五輪候補選手 Djiteを投入したのはもう4点差がついてからでそれも攻撃的選手を入れ替えただけ。70分にようやく右FBの Richie Alagich を下げて攻撃的MF Jason Spagnuolo が投入されたが Spagnuolo の状態が万全であればもっと早い時間に使われていたかも。
スタンドでこの試合を“指揮した” Adelaide の Kosmina 監督は“ 先週の Newcastle Jets 戦が全て。しかし、この試合では誰も痙攣やこむらがえりを起こさなかった。精神的にも感情的にもそして肉体的にも一歩前進を果たした。”と語った。 敗れた Adelaide は来月から始まる Asia Champions League を控えている。うまく切り替えて臨んで貰いたい。
勝った Melbourne の Mascutt 主将は“このシナリオは何年も前に書かれていた事だ。我々が今日成し遂げたことは充分に考えられた事だ。”と胸中を吐露した。 Socceroo を支えて来たヴェテランが最後にワールドカップメンバーに選ばれなかった鬱憤を晴らせただろう。同じことは5得点の Thompson にも言えるだろう。 Hiddink 監督に見いだされ PSV Eindhoven に入団するも出場機会が無くワールドカップが始まりそこでも出番は無かった。そして Melbourne に戻り心中“欧州組に負けてなるものか”との気持ちがあったはずだ。アジアカップでは Cahill, Viduka らの間に割って入るかもしれない。 この日の観客動員数はRugby League, AFL の試合での観客動員数は上回ったが 2001年の Wallabies vs Britishu Lions の 56,605 人には及ばなかったらしい。しかし、それはどうでも良い事だろう。 Asia Champions League そして3年目の A-League とオーストラリア大陸でますます Football 人気が浸透して行く事だろう。
でもあんまり強くならんとってほしぃなぁ…..

Melbourne 6 (Thompson 21, 29, 40, 56, 73, Sarkies 91)
Adelaide United 0
Crowd: 55,436 at Telstra Dome


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4 コメント

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東欧観戦 (Mr.コンティ)
2007-02-22 02:58:55
鍼灸様  私が最後に東欧で観戦したのは1992-95年頃、ようやく Champions League に以降し始めた頃で今の様な肥大した League ではありませんでした。選手もまだまだ良いのが国内に残っていましたので。そちらこそパルチザン対レッドスターとは羨ましい。パリチザンは1991年来日した時に家内に内緒で日本代表との試合を観に行きました。大宮でした。KAZU や柱谷、井原、北澤、松永がいたなぁ。 昔は東欧勢の活躍も欧州カップ戦の興味だったのですが、今は少し....
豪州では何とか ACL で盛り上げようとしているみたいですね。本当は日本でも浦和が出なくてももっと重要視すべき大会だと思うのですが。
今年末にLA Galaxy をメルボルンに呼ぶ計画があるとか。これもベッカム様効果でしょうか?

http://www.theage.com.au/news/soccer/a-galaxy-far-far-away-could-be-playing-victory/2007/02/20/1171733764135.html

ラグビーの方もアマチュアの最後の聖域と言われていましたが、プロ化と言ってもどうしてもサッカーと比較すると差が出てくるみたいで。弱い Wallabies は見たくないのですが...

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興味深い証言 (鍼灸)
2007-02-22 01:51:34
その証言はかなり興味深いですね。
僕もAリーグが盛り上がると一番影響を受けそうなのはラグビーユニオンじゃないかと推測してましたが、やっぱりそうでしたか。
AFLやNRLに比べると国内の基盤が弱いのを、ユニオンは「国際性」というのでカバーしてたわけですが、国際性ならサッカーの方が上ですから。


ステアウアやスパルタ・プラハ、レギエ・ワルシワですか。羨ましい。
その3国とも行ったのはたまたま試合のないときでした。
僕が見たのはセルビアのパルチザン×レッドスターで、去年のことです。
ゴール裏はほぼ満席でしたが、メーンとバックスタンドは7割くらいの入り。
ナショナルダービーなのに大した入りじゃないなと思いました(後で調べたら2万ちょっとの入りでした)。
スタジアムもボロボロでこれでは女性は来にくいなと思いました(新しく建て直す計画はあるそうです)。
そのときブルガリアも行ったのですが、スタジアムの周りに人だかりが出来ているのがニュースに出ていて、1週間後のCLのチェルシー戦のチケット目当てなんだとか。
もはや東欧ではCLが最大の集客、収入源、命綱になってます。
結局、東欧のクラブもイングランド、伊、西あたりのビッグクラブに寄りかかっているわけですが、国内リーグが疲弊してもCL出場という保険がある分、東欧は救われています。
オーストラリアにはCLがありません(日本もですが)。ACLはありますが、それほど集客は期待できないでしょう。


「The Age」紙に数日前ですが、Aリーグのブラジル人プレーヤーの元にブラジルから売り込みが多く来ている、という記事がありました。
各クラブもヨーロッパからよりも、安くていい選手が取れるというので、南米に目を向けてるようです。
同じ南半球だし、東アジアに行くより近いですからね。
今後、南米の選手は増えるでしょう。
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兵どもが夢の跡 (Mr.コンティ)
2007-02-21 09:50:20
鍼灸様

A League の興隆に最も危機感を抱いているのはラグビー協会でしょうか?地元でラグビーに関わる知人が言っていましたが、今子供たちの間ではサッカー人気が急上昇中で、それは昨年のワールドカップの好成績もあるでしょうが”怪我をさせたくない、長くプレーさせたい”という親御さんが増えているからとの事です。(それにプロになれば稼げる可能性が高いから?)来年のラグビーワールドカップには既に白旗状態らしいです。( Tri Nations ももう一つでしたから。) 
私も東欧でサッカー観戦経験がありますが、(といっても10年以上昔ですが)レギアワルシャワ あたりはウルトラスの中に女の子も混じっていました。(けっこう大声で怒鳴っていました。意味は解らないけど。)ステアウアブカレスト、スパルタプラハはおっさんやおにぃちゃんばかりでした。それと子供も。昨年パースで Sydney FC のレプリカを着た女性を見ました。(あんまりじろじろみたので少しにらまれました。KAZU を知っていたかな?)
どうしてもオーストラリア大陸は遠いので欧州のクラブも遠征しにくいかもしれませんが、いい勝負はすると思います。むしろ南米大陸のチームの方が来豪し易いかもしれないですね。
日本でのA League の報道なんてそんなもんでしょう。日本の新聞記者やスポーツジャーナリストの8割は本当にサッカーの知識があってスポーツの歴史をしっているなんて思っていませんから。
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戦い済んで (鍼灸)
2007-02-20 00:03:18
僕もなんとか動画を拾って見ることができました。
レッズ(=アデレードU)は前のPK戦ですべてを使い果たしてしまったのでしょうか。
最終ラインも中盤もズタズタでした。
トンプソンの4点目も少しオフサイド臭かったのですが、もはや抗議する気力も失せていたのでしょうか。


それにしてもテルストラ・ドームの雰囲気がとてもいいですね。
スタジアムの雰囲気だけはカンプノウやアンフィールドにも負けてない。
Jよりヨーロッパぽい感じがしました。


あと、動画サイトを見てて気づいたのですが、意外にゴール裏に若い女性が多いなということ。
毎試合4万、5万という動員をするには女性や家族連れが来られる雰囲気にしないといけません。
僕は東欧やトルコやアルゼンチンでもサッカーを見たことがありますが、東欧やトルコは過激すぎて女性が入りにくい感じですね。
アルゼンチンもゴール裏に女性はまずいません。
家族連れはホテルなどでピックアップしてもらって観戦ツアーに参加します。

メルボルンの場合、昨シーズンから熱いファンでオリンピックパークは盛り上がっていましたが、それと今季の好調がうまくシンクロしたなと。
人が集まって、わいわい盛り上がっていれば、それにつられてもっと集まってくる→行ってみたら楽しかった→リピーター増える→人が集まればテレビで取り上げられる。この好循環でした。
浦和レッズや阪神と同じ原理だと思います。

ぜひこの夏は、ヨーロッパからビッグクラブが遠征に来て欲しいですね。
この盛り上がりを来季以降も持続させて欲しいし、そのためにはもっと大きな仕掛けが必要です。
ビッグクラブの来豪も4、5年前にリーズ以来ないですし、しかもあの時は国内に相手をするだけのチームがなくて、チリのコロコロが対戦してました。
今ならメルボルンのチームが集客できます。
オーストラリア人のいるパレルモ、ニュルンベルク、レディング、ボロ、PSV、マクドナルドが移籍するという噂のレンジャーズあたりならうまくいきそうです。

今日の日刊スポーツにはAリーグファイナルの結果は1行も報じられていませんが、日本のスポーツマスコミはそんなものですから。
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