Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

FIFA 公式大会は最高の大会 アメリカ女子 U-20 2-1 北朝鮮女子 U-20 31st August

2012-10-01 | Women's Football
仕事で使うB5サイズのスケジュール帳がどんどん埋まって行く。 7月はあんなに暇だったのになぁ~。
お盆休み明けにはすぐにドイツや欧州、1週間で戻り、しばらくは、最低でも2週間は出張は無いはずだったのでけどここで予定を変えざるを得なくなり1週間もせずに出掛けざるを得なくなった。
これにより楽しみにしていたFIFA U-20 Women’s World Cup の決勝戦は観戦できなくなってしまった。 
1979年、日本で開催されたFIFA U-20. 当時はワールドユースカップまたはワールドユーストーナメント大会と呼ばれていた。 関西でも何試合か行われたので観戦できると楽しみにしていたのだけど当時はどこでチケットを買えるかもわからず、部活もあったのでテレビ観戦に留まった。 今から考えれば競技場に行けば当日券はいくらでもあったのだけど….
1993年に開催されたFIFA U-17 は知らない間に始まりそして日本対ガーナ戦だけテレビでちらっと見ただけだった。
2002年、日本列島が熱狂したワールドカップはその前に“周到な準備”を行い日韓合わせて5試合、現場観戦が出来た。
そしてウズベキシタンの開催権利剥奪により10年振りにFIFA 主催の国別対抗の大会が開催されることとなった。
ワールドカップと異なりチケット入手に困難を極めると言う事も無いと思ったのでひそかに楽しみにしていたんだけどなぁ~。

日本代表もさることながら一番観に行きたかったのが8月27日に駒場競技場で開催された試合。 北朝鮮対カナダ、中国対ガーナ、のダブルヘッダーが行われた。 女子サッカーの世界では北朝鮮は列強。 そして中国対ガーナ戦はこの試合で準々決勝進出を掛けた試合となると予想したいたのでこの2試合を一気に見たかったのだった。

前日国立競技場にヤングなでしこの試合観戦に行った翌日、駒場競技場に向かった。 本当はこの日に行われる準々決勝戦2試合を観戦したかったけどこれまた仕事に邪魔されて前日同様に第二試合しか見られなかった。 しかしこの日も第二試合の方が見たかった試合だった。

浦和駅からは有難い事に有料のシャトルバスが運行されていた。そのバスに乗り込むと周囲はほとんど、いや全員が在日の人達だった。それは話しの内容から解った。中には昨年平壌で開催されたワールドカップ予選に行った時も話しをする人もいた。それに結構固有名詞を朝鮮語で話していた。それは自分が100% 日本人と解ったからかもしれないけど…
競技場には多くの在日の人達が駆けつけており“応援席はこちらです。”と案内する人も。 私はS席だったので正面スタンドに回った。すると丁寧に係員の人が席まで連れて行ってくれたけど…..その席は結局間違っていて結局自分ひとりで探し当てた。
私の席の周囲には何故か多くの女性達が、しかも彼女達は同じ服装を。 そして話し声を聴くと複数の国々の人達だった。 
そしてすぐ隣には(正確には自分の席だったけど。)ドイツ人女性が座っていた。 ここは得意の?ドイツ語で色々話しかけるとこの女性集団は審判団だと言う事が解った。 中には日本人もいたので彼女にも確認をしたらやはりそうだった….
これはすごい、こんな集団の隣で試合が見られる何でやはりFIFAの公式大会と思った。

国歌斉唱の時からスタジアムの雰囲気を盛り上げていたのは何を隠そう在日の人達で結成されている北朝鮮の大サポーター達。
日本戦以外は北朝鮮と中国くらいしか観客の入りは悪いのではないかと思った。だから8月27日には観に行きたかったのだけど。
北朝鮮とアメリカの対戦は昨年のワールドカップ、今年のロンドン五輪に次いで何とこの1年間で3度目の対戦。 ロンドン五輪はあの Wanmbach のゴールでアメリカが 1-0 で北朝鮮を破りこの結果北朝鮮は準々決勝に進出出来なかった。 
なでしこが戴冠を受けた昨年のワールドカップでも1次リーグで同組となり初戦で 2-0でアメリカが勝っている。
そして2008年FIFA Women’s U-20 決勝戦でも両国は対戦しアメリカが2-1で勝っているが、あの Alex Morgan がゴールを決めている。日本はこの大会準々決勝戦で北朝鮮に 1-2 で敗れた。熊谷、宇津木、田中明日菜らがメンバーに居た。日本の1点は永里あさの、あの大儀見の実妹が決めたものだった。

北朝鮮としては何度目の正直か、今度こそと思っていた事だろう。そして私はチャンスは大いにありとおもっていた。
それはこの日のと云うよりも今大会の北朝鮮のメンバーにあった。この日のスタメンを分析すると2年前の FIFA U-17 大会はおろか昨年のワールドカップ、そしてロンドン五輪経験者が多かったからだ。
173cm のGK O Chang Ran はロンドン五輪メンバー。 両サイドバックを見ると左SB Yun Sung Mi は2008,2010 年に続いてFIFA U-20 3大会連続の出場の上ロンドン五輪メンバー。 右SB Kim Un Ha はFIFA U-17 2010メンバーでとロンドン五輪のアメリカ戦にも出場経験がある。Ri Nam Sil と組むCN Kim Nam Hui も FIFA U-17 2010 とロンドン五輪メンバー。
ボランチ Jon Myong Hwa はワールドカップ、五輪のメンバーでもあり U-20 では前回に続いて連続出場、そして15歳で FIFA U-17 2008に選ばれている。 もう1人のボランチ O Hui Sun も五輪メンバーでFIFA U-17 2010 にも出場。 左MFのYu Jong Im はU-17 2010メンバー。 これまで5ゴールを挙げているKim Un Hwa と組む2トップのもう1人の FW Yun Hyon HI は16歳の時に FIFA U-17 2008に選出され行こう 2010 FIFA U-20,そしてワールドカップ、ロンドン五輪でもプレーした完全な国家代表選手。 ベンチに控える今大会同様に5ゴールを決めていた Kim Su Gyong もワールドカップ、オリンピックメンバーで U-17 2010 のメンバーでまだ17歳。  
この試合と云うよりもこれからどれだけ北朝鮮女子チームは強くなるのだろうと思う経歴であった。 この世代を集中的に鍛えているのだと思った。
アメリカU-20の方は右SB Crystal Dunn が U-20 2010, U-17 2008 経験者。 CB Mollie Pathman が 前回の U-20 メンバー、トップ下の Morgan Brian が U-17 2008, そして2列目右の Maya Hayes がU-20 2010 の経験者で他のスタメン選手は FIFA 大会初出場。 しかし裏を返せばそれだけアメリカの方が選手層が厚いと言う事か….

キックオフ前に北朝鮮選手達が大応援団に向かってまず挨拶に向かうと大歓声が送られる。 これまで1次リーグ3試合すべてにこの様な応援団が組まれたのだろうか? 
北朝鮮のキックオフで始まった試合は立ち上がり北朝鮮選手達の間でボールが良く回っていた。そこは組織力の北朝鮮、個人力のアメリカの予想通りだった。 Kim Un Hwa がワントップとなって残り、攻撃時には Yun Hyon Hi が上がって来る。
9分を過ぎるとアメリカが徐々に前に出て来る。13分に Hayes がミドルを放ち, 14分には Brian がドルブルシュートを放つ。
しかしすぐに北朝鮮が主導権を握り返す。 



17分には Yun Hyon Hiが抜け出してGKと1対1になるが GK Bryan Heaberlin がストップ。 20分には Kim Un Hwa がスルーパスに抜け出してシュートに持ち込むがここはCKに。そしてそのCKは GK Heaberline がパンチでクリアー。 北朝鮮はパス交換でビルドアップしてくるがアメリカはトップの Kelly Cobb 頼り。彼女にボールが入ったあとのボールキープからの展開以外は攻撃の形が出来なかった。 この Kelly Cobb は身長が175cmもあるが横幅も結構。それでいて走ると早い。 さすがにプログラムには体重は載っていなかった。この試合が今大会2回目の出場だった。 
26分15秒。少し距離は有ったが北朝鮮が正面の位置でFKを得る。 トリックプレーを使って Jon Myung Hwa が放ったシュートはまたも GK Heaberline がファインセーブ。 惜しいチャンスだった。その後も北朝鮮がボールを繋いでボール支配率を高める。
試合開始からはずっと在日応援団からの声援が続く。隣の在日の人と思しき人に声を掛ける。
“すみません。応援団、何て言っているんですか?”
“カラ、カラ、チョウソン、行け、行け朝鮮って言っているんですよ。”
“カラ、カラですか?あの KARA とは違うんでよね?”と云うと、笑いながら違いますよ~と答えてくれた。



以降、この人とも色々話す事に。80年代から自分はサッカーが好きで前に男子の代表が来日した時にユンジョンス監督からサインを貰った話しやいつの日か平壌で試合が見たいと言う事を話した。 それを彼は熱心に聞いてくれた。
これだけ応援団が結成されるんだから選手達と在日の人達との接触はないんですか?と訊ねると
“無いんですよね~。 この試合勝てば交流会くらいしてくれるんと良いんですけど。”と少し残念そうに答えた。
ただ世話掛かりの人はいるみたいでその人も私が“やっぱり総連の上の人達ですか?”と訊くと、“恐らくそうだと思います。”と教えてくれた。

37分、CKのチャンスを掴んだアメリカは北朝鮮ゴール前に送られたボールに米朝数人の選手達が飛び込み、ボールが北朝鮮ゴールに転がりこむ。アメリカ先制と思われたが、主審はセンターサークルを指さなかった。
“どうしましたか?”隣の人が訊ねたので “キーパーチャージじゃないですか?”と云うとその通りGKからの再開となった。



40分を過ぎると俄然アメリカ選手達の動きが多くなる。 
“動きが早くなりましたね~。” “この暑さと湿度はアメリカには厳しいでしょう。省エネじゃないですか?”てな話しを隣の人と。
前半終了間際にCKから Morgan Brian のシュートは僅かに外れそのまま前半がスコアレスのまま終わった。 それにしても何と言う蒸し暑さなんだろう….



ハーフタイムの間に今度は隣のドイツ人審判と話しをする。彼女はあの応援団が北朝鮮から来たのかと思っていたらしい。だから皆日本に住んでいる人達だと言うと何故 North Korean が日本にそんなに多いのか?と訊かれたので何とかドイツ語で説明した。しかし難しいところは英語で。 わかってくれたかな~? 
そして隣の在日の人にもそんな質問を隣のドイツ人から受けたと言うと苦笑していた。 極東では殆どの人が知っていることでも欧州の一般の人の認識なんてこんなもんか?と2人で話していた。 通路を挟んで向こう側の席にはちょと雰囲気の違う人が。
“あの人は共和国の人ですか?”と隣の人に訊ねると“えぇそうですよ。”と教えてくれた。 “ その人は恐らくコーチかもしれないが今となっては隣の彼と一緒に話しかければよかったな~と後悔している。

両チーム選手交替無しに後半が始まった。 
“先制点が欲しいですね~。”と隣の人と話した。 しかし先制ゴールはアメリカ。51分クリアーボールを拾ったボランチ Vanessa Di Bernardoの強烈なミドルが北朝鮮ゴールに突き刺さりあっさりとアメリカに先制を許してしまった。 “あぁ~やられましたね~。”と声を掛けた。



先制を許した北朝鮮ベンチは55分 Yu Jong In に替えて Kim Su Gyong を投入する。
“よし、よし出て来た。 Su Gyong 行けよ。 彼女が良いんですよ。”と隣の人が教えてくれた。
ピッチに出た Kim Su Gyong はちょっとオーラが違い気がした。 



61分アメリカベンチは運動量の落ちて来た Cobb を下げて Sammantha Mewis を投入しそのままワントップに置く。 そして Cobb 同様に前線でボールキープを何度も。
試合は一進一退を繰り返す。 Kim Su Gyong にボールが入りドリブルを始めると一斉に大応援団から歓声が上がる。しかしアメリカDFもしっかりとマークに着く。71分先に2人目の交替カードを切ったのはリードしていたアメリカ。 Haynes に替えて黒人選手の Chioma Ubogagu が投入される。 彼女の身体能力で中盤戦に挑むのか?しかし結果的にこの交替が試合を決めるとは….



Kim Un Hwa がドリブルで突破し中央の Kim Su Gyong に。 Kim Su Gyong がワントラップして放ったショットが遂にアメリカゴールネットに突き刺さり北朝鮮が同点に追い付いた。 Su Gyong のファーストタッチも良かったけどよく Kim Un Hwa がドリブルで相手DFを破ったなぁ~と思った。
大歓声が応援団から沸き上がる。そして隣の人や周囲の人達も一斉に立ち上がる。 “やりましたねぇ~。” “はいっ!” 







北朝鮮ベンチは78分 Kim Un Hwa を下げてワールドカップメンバーの Kwon Song Hwa を投入する。 個人的には Kim Un Hwa を下げるのか~と思ったけど….

残り時間は10分弱。 追い付いた北朝鮮がこのまま逆転するかと思った。終了間際に Kwon Song Hwa がヘッドを放つがGK Heaberlin の正面に。 そして試合は延長戦に入った。

隣のドイツ人が“まだ試合が続くのか~”と云ったことを。 まぁそれが本音だろうぁ~と思った。 それからハーフタイムに流れた乃木坂46の曲が流れると他の審判達とこの曲に就いて色々話しだした….

延長戦に入ると体力のある、と云うよりもこの蒸し暑さが北朝鮮に味方すると思った。
“このまま決勝戦が日朝対決になると面白いですね。”と隣の人に声を掛ける。
“いやいや、日本は強いですよ。とてもかないませんよ。”とは言っていたけど….







しかし次のゴールを決めたのはアメリカ。 98分、カウンターから右サイドを上がった Crystal Dunn がファーサイドに入れたクロスに走り込んだ Chiomo Ubogaga が走り込んで放ったヘッドが決まり再びリードを奪った。 Dunn も Ubogaga も黒人選手。彼女達のパワーにやられた感じがした。
“まだ20分以上残っていますよ。チャンスありますよ。”と隣の人に声を掛ける。 隣のドイツ人も“ Elfmeter : PK戦に入る気がする”と呟いた。



しかし北朝鮮はボールは繋ぐけどシュートに持ち込めない。 アメリカは交替選手の Ubogaga がカウンター時には一気に縦に走り込みそこにボールが送られるのでDFラインが押し上げられない。 そして Merwis を中盤に下げてトップ下にいた Morgan Brian を前線に置いた。しかしどちらかと言えば Ubogaga が上がってくる方が多かったしそれが脅威になっていた。
延長前半のロスタイムに北朝鮮ベンチは最後の交替選手 Ri Young Mi を投入するがベンチに下げられたのは78分に投入された Kwon Song Hwa だった。  “17番下げるんですか~” こう言うと隣の人も首をかしげながら頷いた。 そして Ri Young Mi は2列目左に入った。Ri Young Mi もU-17 2010のメンバーだった。



延長後半に入っても北朝鮮はアメリカゴールが遠い。 Ubogaga の前線からの守備も効果的でなかなかPA付近に近付けない。
そしてイタリア人の Silvia Spinelli 主審のホイッスルが鳴りまたも北朝鮮はアメリカの軍門に降った。





ドイツ人審判には今度はドイツに行った時に Die Bundesliga で会いましょうと挨拶をし、隣の男性にも丁寧に御礼とお別れを。
そして後ろの VIP 席には小倉純二日本組織員会委員長が御夫妻でお見えになっており、大仁日本協会会長、田島副会長らのお歴々がおられたのでプログラムにサインをして貰った。 みな私の様な一般人にでも気軽に話しかけてくれた。
そして皆さんに“私は日本リーグ時代から見ています。日本を強くして下さい。”とお願をした。

帰りにシャトルバスを待っていると北朝鮮選手団のバスが前を通った。 多くの人が手を振っていたけど気が付かなかったのか無反応だった。そしてそのバスには大会スポンサーの Hyundai の大きな文字が。 
“ Hyundai のバスに乗ってまずくないですかね?” 後ろの人に声を掛けたら。 “そうですね、まずいですね….” と云った。
バスの中には黒人男性が。話しかけるとナイジェリアの人だった。 日本に何年もいて日本も理解できるらしいが浦和駅まで英語で話した。 

浦和駅に着いたらもう10時半だった。 ホームには何故か韓国代表のレプリカを着た小さな男の子とお母さんの2人連れが。
この試合見に来たのかなぁ~。 

電車に乗った時に思った。 あぁ俺のFIFA Women’s U-20 が終わったなぁ~。 

今度、北朝鮮チームが来日するのはいつだろう…… そしてFIFA の大会は…..


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