Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

Del=Piero  Final Series に進めず   Brisbane Roar 3-1 Sydney FC

2013-04-29 | Aussie & Kiwi
今シーズンの A-League は日本でも話題になるのではないかな?そう思ったのは小野伸二が Sydney Wanderers への入団が決まる少し前だった。イタリアのスーパースター Alessandro Del Piero が Sydney FC との契約締結のニュースを見た時だった。
それから数週間。 A-League の話題は Del Piero がほぼけん引していたと言っても過言ではなかった。

そして2012年10月6日、Melbourne ダービーで開幕した A-Leagueはその翌日に Sydney FC は New Zealand の Wellington に乗り込みシーズン初戦に臨んだ。 試合前は Del Piero は調整不足から出場しないのではないかとも言われたがスタメンには名を連ねた。 しかし Sydney FCは Del Piero を擁しても開幕戦を 0-2 で落としてしまう。次の Newcastle Jets 戦も 2-3 で落とした後、第3節の Wanderers との史上最初のSydney ダービーを Del Piero のゴールで1-0 で制しようやくシーズン初白星を挙げ、続く Perth Glory 戦も 2-1 で連勝を飾った。サポーター達はこれで波に乗ると期待すると第5節、強豪 Central Coast Mariners に 2-7 と惨敗を喫しその試合を境に4連敗をしてしまった。 その間 Ian Crook 監督の更迭、Steve Corica 暫定監督を経て Frank Farina 監督が就任するもベテランMF Jason Culina が Farina 監督との確執から退団とドタバタ騒動が続いた。それでも第15節から21節までの7試合を4勝2分1敗で14勝点を稼ぎ順位も最下位から5位にまで押し上げた。
この調子で最低でも上位6チームが進出できる Final Series 圏内は確保したいと事であったが第26節までの5試合が1勝2分2敗と勝ち点をあまり上積みできず最終戦を前に勝点32で6位に留まっていた。その最終戦の相手は同じ勝点32ながら得失点差で一つ順位が上の Brisbane Roar。この時点で5位7位 のPerth Glory 、8位 Newcastle Jets が勝点31で付けていたので何とか最終戦を勝利で飾り Final Series 進出を確実にしたいところであった。

Horrendous mistakes cost Sydney FC

19,010 人が集った Roar のホーム Suncorp Stadium で前年度、前々年度王者の Brisbane Roar は Sydney FC を 3-1 で降して Final Series 進出を決めた。
開始8分 Thomas Broich が前の週、 Melbourne Hearts 戦で決めた直接FKを彷彿させる FKを放つがポストをかすめて外れる。その直後に Sydney FC はCKのクリアーを拾った Ali Abbas が左サイドからファーポストめがけて放った弾道はゴール枠を捉えるが GK Michael Theo がファインセーブで弾き出す。
25分には Roar MF Luke Brattan が25mの位置から放ったシュートは Sydney FC GK Ivan Necevski が目一杯手を伸ばすその先に飛ぶがポストの右に外れて行く。
しかし29分イタリアの国際的選手 Alessandro Del Piero の不用意なバックパスを拾った Thomas Broich が入れたクロスに Besart Berisha が中央で合わせて先制ゴールを上げた。 Benrisha の今シーズン14得点目であった。
先制を許した Sydney FC はその後怒涛の攻撃を仕掛ける。 
Berisha は前のシーズンの Grand Final でもロスタイムに決めた決勝ゴールと先制ゴールを決めた選手だった。
3分後 Sydney FC の19歳ギリシア系オーストラリア人MF Terry Antonis が放ったミドルはわずかにゴール枠を外れ、その直後にも Abbas のクロスに Joel Griffiths が飛び込むがまたも GK Theo がファインセーブでストップ。
Terry Antonis は来シーズンからイタリアの名門 Parma と4年契約を締結したらしい…..
自らのミスを取り返そうと Del Piero が角度の無い位置から逆サイドにループ気味にシュートを放つ。左上隅に飛んだ弾道は GK Theo が届かないがゴールの中には入らない。
後半開始早々またも Griffiths が至近距離からヘッドを放つがまたも Theo がストップ。 33歳、ベテランの Griffiths は2007-08 Grand Final では Newcastle Jets のメンバーとして優勝に貢献した。その後はアビスパ福岡でもプレーし9試合3得点の実績を残した。 他にも北京国安、上海申花でもプレーした経歴を持ち 1999年は Young Socceroos こと U-20 のメンバーでもあった。代表歴は3試合で1得点という実績があるが、もしワールドカップドイツ大会の Golden Age 達と年齢が外れていればもっと代表に選ばれていたのではと思う私好みの選手だ。
そして51分、またもミスから Sydney FC は失点を許す。Sydney FC Sebastian Ryall のクリアーボールが Berisha の前に飛び前線の Lustica に送り Lustica が放ったショットは Sydney ゴールに突き刺さりリードを広げた。
65分痛恨のミスを冒した Ryall はサイドを上がり Del Piero からのクロスに合わせるがそのヘッドはわずかにゴール枠を外れる。
そして71分Ivan Franjic のミドルシュートが GK Necevski が守るSydney ゴールネットを揺らしてこの時点で試合をほぼ決めた。
84分 Roar DF James Donachie がPA内で Sydney MF のGriffiths を引き倒されて PK を与えるとのゴールを Del Piero が決めて何とか一矢を報いたが、その後数度のチャンスを掴んだがゴールには至らずBrisbane Roar が勝点を35に伸ばし5位の座を死守しFinal Series出場権をほぼ確実にしレギュラーシーズンを終えた。
そして試合直後の時点では6位であったが Final Series 進出にはかなりの条件が必要となった Sydney FC 。 29日に Western Sydney Wanderers と対戦する7位の Newcastle Jets がそして30日に Adelaide United と対戦する8位の Perth Glory が揃って敗れたら6位の座を守り Final Series 進出の可能性があったのであったが。

“だれもこの時点で他のチームの結果に頼ることは好きではないが我々には他の選択肢はもう残されていない。この週末に何が起こるかを見届けるだけだ。” このように Sydney FC の Frank Farina 監督は試合後のインタビューにこう口火を切った。
“我々は最初の2ゴールを贈ってしまった。 それらはひどいミステークだった。そして我々は罰を受けた。2回連続に。 それらは Roar のファンタスティックなビルドアップから生まれたものではなく我々の学校の生徒が冒すような失敗から生まれたものだった。このレベルではもうどうしようもない。特にああいう相手にとって良い位置では。我々は自分達の大変ひどいミスから相当な代償を支払った。” 
先制ゴールを許した事によりこの試合の敗因ではないかというDel Piero のミスに就いて Farina 監督はこの様に庇った。
“それはミステークの一つだ。敗因の一つというよりも恐らくミスの一つだ。 あのエリアのでボールの扱いは例え Alessandro であろうとも正しい選択ではなかった。起こってしまった事をみてみたまえ、最も経験のある選手だろうが若い選手だろうが関係ない。 それは我々が償わねばならなかったひどいミスが起こったある夜の出来事であったのだ。”
結局翌日の試合で Newcastle は対戦相手の小野伸二の所属する Western Sydney Wanderers が優勝がかかった試合と言う事もあり 0-3 で敗れたが、もう一つの対象チーム Perth Glory は Adelaide United に 1-1で引き分け勝点32で Sydney FC と並ぶも得失点差で上回り Final Series 進出を決め、 Sydney FC の7位が決まりシーズンを終える事となった。



Brisbane storms into finals
この最終戦を前にして、 Sydney FC の Farina 監督はどういう心境だったのだろう?現役時代はこの Brisbane でプレーをし2009年には飲酒運転で Roar の監督をクビになった。
Sydney FC はBrisbane Suncorp Stadium での戦いを苦手としており過去18回対戦して3回しか勝利をしておらず最後にここで勝ったのは 2007年のシーズンまで遡らねばならない。 Roar はここで Sydney 相手に8勝を収めている。
そしてこの最終戦でも Roar は Sydney を破った。



Mike Mulvey 監督は „選手達を大変誇りに思う。私が就任して以来我々の調子の良い時もあったが今夜は大変な手柄を立てた。彼らはそれを受けるに値していた。そして今は次に向けて我々は準備が出来ている。“この様に語った。
昨シーズンまで Grand Final 2連覇を果たした Brisbane Roar は今シーズン5位に終わった。 
GK Michael Theo, MF Besart Berisha, FW Thomas Broich そして MF Matt Smith ら昨シーズンの優勝メンバーは何人か残ったがこの日の Sydney 戦のスタメン5人が昨シーズンの優勝メンバーではなかった。その中でかつて札幌でプレーし Socceroos にも選出された実績を持つ Jade North らを補強したが今シーズンは下位に低迷する時期が長かった。それでも最後の7試合を4勝2分1敗で勝点を伸ばし5位にまで浮上することが出来た。



No regrets for Paston    Wellington Phoenix 2-3 Melbourne Victory
2012-13 のレギュラーシーズン最終戦は Cake Tin こと Wellington Westpac Stadium で行われホームの Wellington Phoenix は Melbourne Victory に 2-3 で敗れ全日程を終了した。
そしてこの試合を最後に GK Mark Paston が退団をする事となった。 36歳の Paston は Phoenix で6シーズンをプレーした。 そしてその前の2シーズンは解散した New Zealand Knights に所属した。

“この瞬間が遂にやって来た。 いつ退団しようかとずっと考えていたけど今はその決定は正しかったと思う。
2010年12月11日の Gold Coast United 戦で右足脛骨を骨折するなど昨シーズンは14試合、そして今シーズンの出場は8試合に留まっていた。
“昨年の12月には体が行き詰まっていた。 トレーニング中のウォーミングアップで殆ど一人では走ることの出来ない姿を見て笑う奴もいた。 毎年体はきつくなって来ていた。本練習よりもウォーミングアップ時間の方が長くなりだした時に楽しむという事が出来なくなっていた。” この様に愛想よく語っていたらしい。
妻の Amy と子供達 Jack, Benji そして Charlie ともっと過ごしたいという望みも大きな原因であった。
しかし All Whites のキャリアーはまだドアを開けておくと語った。
“この期に及んでそれを委ねることは出来ないが諦めたくもない。 何人かの人たちと話し合う必要がある。 もし代表でプレーするのなら正しい理由によってそれを確実にしたい。 Phoenix と All Whites を分ける事が重要だ。 プロ選手として年間10~11カ月、週に5~6日過ごし、長旅を重ねる。それは心身共にかなりの負荷がかかる。 今はそれから離れる時期である。それが All Whites から引退する事かどうか、今は解らない。今は充電をしてどうするかを見守りたい。”
シーズン途中からチームを指揮した Chris Greenacre 監督は Paston を称えた。
“この選手を称える言葉が見つからない。 彼は偉大なニュージーランドのゲームでの特使であった。若い選手にってとても良い手本であったに違いない。彼は家族的な雰囲気を持っていて練習中や練習後を見ていた、そして日曜日の試合に臨んで来た。 彼は本当に全てを持っている。彼と共にプレー出来て誇りに思う。 我々は彼の新しいキャリアーに幸運を祈る。新天地でも素晴らしい成功を得られると確信している。” 

今シーズンの Wellington Phoenix は開幕戦の Sydney FC 相手に白星スタートを切ったが第10節から21節まで2勝2分8敗と勝ち点を積み重ねられず Ricki Herbert 監督が更迭されるなど良い所なく最下位に沈んだ。
Mark Paston と言えば2009年11月 Wellington で開催された Bahrain とのワールドカップ大陸間プレーオフで絶体絶命のPKを見事にストップし28年ぶりワールドカップ出場をニュージーランドに齎した立役者の一人となった。それまで All Whites の正GKは Glen Moss であったがオセアニア地区予選でレッドカードを受け4試合出場停止となり Paston がゴールを守った。 ワールドカップでも Paston の攻守は冴えわたり、特にイタリア戦はファインセーブを連発。見事に勝点1をものにし前回王者を1次リーグで敗退させるきっかけを創った。日本では話題にならなかったがニュージーランド代表 All Whites は他の2試合でも引き分け ( 1-1 Slovakia, 0-0 Paraguay ) 無敗で大会をあとにした。
Paston が11月に行われる大陸間ワールドカップ予選で起用されるかは解らないがまた一人日本では話題にならない偉大な選手が A-League を退団したと寂しく思った。



                                                           続く