Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

3回目の Grand Final Central Coast Mariners 2-0 Western Sydney Wanderers 

2013-04-27 | Aussie & Kiwi
あぁ~~下手こいたぁ~ と思わず時代遅れのギャグフレーズを口に出してしまい、私は髪の毛をかきむしった。
4月19日、オーストラリア大陸の西の街パースから留学生の街アデレードを経てシドニーに移動して仕事を終えた夕刻、 A-League の Web Site を通じて Ticket 販売のサイト開いたときだった。 そこには SOLD OUT という文字が。
4月12日 Western Sydney Wanderers が Brisbane Roar を 2-0 で破り、2日後 Central Coast Mariners が Melbourne Victory を 1-0 で破り Grand Final の組み合わせが決まり、チケット販売を調べたときはそれぞれのチームのファンクラブ会員への先行販売に続いて一般販売は19日と記されていた。 
しかし地元の邦人向けに発刊されている日本語情報誌には17日からチケット販売と書かれていた。もう一度 WEB SITE を見てみると Football Family 登録をすれば14日の先行販売で購入できたのだった。登録料金や年会費は調べなかったけど…. ここに来て Grand Final が…. と天井を見上げた。 しかし今までこういうことは経験してきた。 ワールドカップドイツ大会の日本対クロアチア戦、EURO2008 の決勝戦。 現場でチケットは入手し現場観戦を可能にした。 とにかくスタジアムに行けば何とかなるだろう、ワールドカップでも EURO でも見られたのだ。 A-League の Grand Final でも恐らく…. と自分に言い聞かせた。 
そして私を置いて他にこの試合を見る資格のある一般日本人は殆どいないはずだ。自分自身こそこのゲームを見なければ誰が見るのだ…と勝手な理由づけもしていた….

シドニーのホテル事情には閉口する。特に金曜、土曜は空き部屋が激減する。1泊 AS$200 以上の部屋なら取れなくもないけど今や世界的な円安更に豪州ドル高の影響で4月から1豪ドルは 105円を越えてしまっている。そんなホテルに泊まったら出張規定をはるかに越えてしまう。
シドニーでは3泊しながら1泊ずつ安いホテルを求めて転々とするジプシー生活だった。
Grand Final の行われた21日はシティーの中心街のホテルが取れたけど前日は空港付近のホテルしか取れなかった。
朝、電車で街中に移動する。 Central Station に到着するとまだ午前11時前なのに赤と黒の縞模様のユニフォームを着た多くの Wanderers サポーター達姿を目撃する。  We are Champion! We are Champion !! と叫ぶ少女達の一団も。
オーストラリアのサッカーの見方を替えたと言われている wanderers のサポーターの熱さを感じる。
Mariners カラーの黄色のユニフォームを着たサポーター達もちらほらいたけどすれ違いざまには特に一色触発という雰囲気はなく何やら友好的な空気が。 あぁぁ今日チケット手に入るかなぁ~。 とも思った。 
Central Station で乗り換えをしようとするもいつも使う Air Port Line がこの日は点検の為に運行止め。空港に向かうわけではないのでそこからホテルまで15分足らずの道程を歩いて行くことにした。不運はここで落としていきたいと願いながら…..

チェックインを済ませ、商用を終え競技場に向かったのは午後2時少し前。試合の行われる Allianz Stadium 迄はバスで10分くらいだ。 2時半前に着いてチケットをどうにかして….と思った。 シドニーのバスは運賃前払いが多い。そして最近は小銭ではなくプリペイドの Bus Card を購入する必要がある。もし Bus Card 専用バスに乗り込もうとして Bus Card を持っていなければそのバスには乗せてくれない。 前日に買っておいた Bus Card を指し込もうとすると運転手が
“ Stadium に行くのか?” と訊いてきたので “ Yes “ と答えた。すると“チケットは持っているのか?だったら運賃は不要だ。”と言われたのでそのまま “ Thanks “ と言ってバスに乗り込んだ。 もし見せろと言われたら”仲間が持っていてスタジアムで待ち合わせている。“と言おうと咄嗟に思うもおとがめは無かった……

バスの後部の方には日本人の家族連れが。小さな男の子は Wanderers のユニフォームを着ている。
“シドニーご在住の方ですか?私は日本から来たのです….” ってな言葉を掛け、2,3会話をかわした。
Grand Final を観戦するのは3回目。ここ Sydney Allianz Stadium での観戦は4年ぶり2回目。 競技場途中で日本人家族と会うのは初めてだった。 その理由はいうまでもなく小野伸二。 日本のスーパースターはここでもファンタジスタぶりをいかんなく発揮し新チームをリーグ優勝に導いた。シドニーには多くの邦人が在住されている。遠くに離れてこそ愛国心は芽生えるもの。日本が誇るアスリートを晴れの舞台で観戦したいとは誰でも願う事。 あの SOLD OUT も“小野効果”が十二分に寄与していると感じた。 そしてチケット入手に不安感が募りだした。 やっぱりバス料金払ったらよかったかなぁ~とも思った。

しかし今度はバスが一向に動かない。もう歩けば10分くらいのところなのに5分、10分経ってもバスは少ししか動かない。 
公共交通機関が発達していないオーストラリアは完全な車社会。 サイトでも車での来場は遠慮願います、という案内をしてもバス代金が無料になっても地元の人達はやはり車を利用する。 Mariners のホームタウン Gosford は Sydney から車で1時間半程度のところだ。バスの周りは殆ど競技場に向かう人だろう、両チームのフラッグやユニフォーム姿が車中に見られた。 結局ここからは歩いた方が早いとばかりに前方の乗車扉が開いて乗客は一斉にバスを降りて歩道を行く人の流れに合流することとなった。 

競技場公園内に入るとキックオフまでまだ1時間以上もあるのに遠目にもかなりの人が入り口付近にいるのが判った。
そしてこちら側に “ WANTED TICKET “ と書いた段ボールの切れ端を持った男性が何やら叫びながら向かってきた。
入口ゲートまでまだ200m 近くある。ここまでチケットを求めて歩いて来るなんて、そんなにチケットは入手しにくいのか?と不安になった更にその様子を見たオージーが “ AS$1,000 なら売ってもいいよ。“と仲間と話していた……
ゲートの前で私もカバンから “ Please sell me A Ticket !! “ と書いた紙を取り出した。そしてすぐ近くにチケットを数枚持った東南アジア系の数人がいたので紙を見せて“ Ticket は余分にありますか?"と尋ねると、その中の女の子が ”この Old Man が Ticket を持っている。“と教えてくれたのですぐにアプローチした。 
“何枚?” “1枚、いくら?” “ AS$100 “ “ よし買った。“やり取りは30秒も無かった。 先にチケットを手にして見せて貰い50ドル札を2枚渡した。 その老人は” Enjoy ! “ と言って私の肩を叩いた。そしてさっきの東南アジア系数人に御礼を言ってゲートに向かった。 数日間懸念していたことが1分も掛からず解決した。と安堵の息を洩らしながら天を見た。 あぁ良い天気だ…きのうは大雨だった、今日はえらい違いだな~と

Souvenir Shop に向かった。 もう Wanderers のユニフォームは売り切れだった。 Mariners のはまだあったけど….
Wanderers Tシャツを買って席に向かう。 ゲートをくぐったところでプログラムを売っていたのですぐに買った。 2011年の時は競技場に入った時はもう売り切れだった。そして過去2回の Grand Final 観戦は当日券で入ったことも思い出した。
やっと競技場内に入ったけどあまりのも人が多すぎてそこから入場門に辿り着けない。今度はキックオフまでに着席できるか?と心配になる。周りは Wanderers のサポーター達で溢れている。 しかしC Gate を過ぎると一気に人波は引いてしまった。後でわかったけど C Gate は ゴール裏のWanderers サポーター席側のすぐ近くの入場門だった。 そこには小野の大きな顔写真を掲げるサポーター達もいた。日本人の私を見つけて親指を立ててくれた…







入場門に到着しチケットのバーコードの部分をスキャナーにかざすと無事にグリーンランプが点灯した。 オーストラリアにはTICKETEK というTicket 販売会社が販売を請け負っていることが多いがこのネット時代オンラインで Credit Card を用いて購入でき、チケットそのものは e-mail で PDF ファイルで添付されて送られてきてダウンロードをして自分で印刷をしたものをチケットして持参するのだけど同じものを何枚も印刷が出来てしまう。 だから同じチケットを複数人数に“転売”することが出来る。しかしそれは入場門でスキャンするまでは解らない。実際に入場できるまで“掴まされた”かどうかはわからないのだ….

しかし兎に角無事に Grand Final が観戦できる事となった。すると急に空腹感が襲ってきて喉も渇いてきた。 
すぐに売店に向かうと寿司が売っていた。初めて見たぞ。これも小野効果か?




着席したのはキックオフの約40分前だった。 ピッチ上には両チーム選手が大歓声を浴びて登場しアップに入る。 早速 Wanderers のサポーター達からも熱い声援が飛ぶ。 私は必死に小野の動向を追った。まさか A-League で小野を見られるなんて…私は創設時の 2005年の事を思い出した。



そしてピッチ上ではセレモニーが始まった。 J League と異なりこれが決勝戦。シーズン最後の試合。 Grand Final に進出出来なかったA-League 8チームを含む全10チームのフラッグがピッチ上に敷かれそして読み上げられる。 Sydney FC の名前が読み上げられると一斉にブーイングが Wanderers サポーター達から沸き上がった。 そしてここ Allianz Stadium は Sydney FC のホームグランド。 2007-08 の Grand Final でも Sydney FC は進出できなかったが観客動員を考えてここが会場となった。



そして注目のスタメンイレブンが発表される。 
Mariners は英国人MF Nick Montgomery が前の試合、 Melbourne Victory 戦で警告を受けた為に累積警告で出場出来ない。その穴埋めとして John Hutchinson と組むボランチにはかつて England の Reading でもプレーした Oliver Boznic が起用された、それ以外は全て Victory 戦と同じメンバー。 GK には Matthew Ryan , Socceroos にも召集された。CBは 178cm のTrent Salisbury とかつて大分でもプレーした 190cm の長身オランダ人選手Patrick Zwaansnik 。
左SB には 31歳ベテランKiwi のJoshua Rose。右SB は29歳の Pedrag Bojic 。2列目左にはAll Whites のMichael McGlinchy 。2009/10 にはScottish Premier の Motherwell に所属したが出場試合は5試合で60分間。左には 20歳ナイジェリア生まれの 182cm MF Bernie Ibni Isei 。今シーズンは7 ゴールを決めている。 
2トップは Daniel McBreen 今シーズンは18ゴールを決めておりリーグの得点王に。そしてもう一人はワールドカップ2006での日本戦にも出場した Mile Sterovski 。France Ligue 1 の Lille, Suisse Super League の Basel ( 仲田浩二と共にプレー ) English Premier の Derby County 等でプレーした実績を持つ、2009年から A-League の Perth Glory に移籍してきたが2012年は中国超級の大連阿尓濱に移籍し今シーズンから Central Coast Mariners でプレーしている。 McBreen が36歳、 Sterovski が33歳と2トップは共にベテランだ。
今回で Mariners は4度目の Grand Final 進出であるが過去3回は共に敗れている。ボランチの Hutchinson は 2008 2011 に続いて3回目の Grand Final 。他にも DF Bojic, Zwaanswijk, Rose, MF McGlinchy FW Mc Breen らが2011年の Grand Final に出場実績がある。Graham Arnold 監督も2011年の Grand Final では指揮を執っていた。それだけにこの試合に掛ける執念はよく理解できた。

一方の Wanderers は GK Ante Covic はかつてワールドカップドイツ大会のメンバー。残念ながらいつも Mark Schwarzer がいたので代表では控え GK に甘んじ続けた。2007-08 Grand Final では優勝した Newcastle Jets のレギュラーGK. その試合で対戦した相手が Central Coast Mariners と言う巡りあわせ。
CBはかつて Sydney FC でプレーし浦和レッズと対戦した経験のある189cmの Nikolai Topor Stanley とワールドカップ2006,2010 メンバーだった Michael Beachamp 。2006~2008迄 Bundesliga Nurnberg でプレーした。Stanleyが189cm, Beachamp が191cmとアジアレベルでは考えられない長身CBだ。左サイドの Shanon Cole は昨シーズンまで Sydney FC でプレーし代表招集経験もある。右 SB はドイツ人の Jerome Polenz 2008-09 には Bundesliga 2部の Alemannia Achen に所属しスタメン17合を含む23試合に出場したが以降は出場機会が減り今シーズン渡豪して来た。
クロアチア人MF Mateo Poljack と組むもう一人のボランチは22歳の Aaron Mooy 昨シーズンまでの2シーズンは Scottish Premier の St. Mirren に所属したが2シーズンでの出場は21試合スタメン起用は10試合で880分だった。今シーズンはほぼレギュラーで起用されていたが前の2試合はが19歳の Yianni Perkatis 起用され Mooy の起用は第25節の Melbourne Hearts 戦以来4試合ぶりだった。
ワントップにはクロアチア人FWの Dino Kreisinger 。2列目左には北京五輪メンバーの Mark Bridge。2009年には天津でもプレーしたが Sydney FC でのプレーが長く A-League の顔的存在だ。 左には前の Brisbane Roar 戦で退場処分を受け出場停止のエチオピア人MF Youssouf Hersi に替わってガーナ生まれでニュージーランド育ちの20歳の Kwabena Appiah-Kubi が起用された。スタメンはこの試合で4試合目。 Hersi の欠場が非常に心配されていた。
そして小野伸二の名前がアナウンスされると会場からひときわ大きな歓声が沸き上がった。 



              1. Ryan

    4.Bojin   16 Sainsbury   6 Zwaanswijk   3 Rose

       7 Hutchinson        11 Boznic

     9 Ibini-Isei             14 McGlinchy

        2 McBreen       21 Sterovski


              9 Kreisinger

     19 Bridge      21 Ono     14 Appiah-Kubi

        8 Poljak       10 Mooy

    2 Cole   4 Topor-Stanley 5 Beachamp    6 Polenz

              1 Covic

いよいよキックオフの時間が迫る。 
小野と Kreisinger がセンターサークルに入りキックオフの準備に入るがなかなか笛が吹かれない。
Wanderers サポータ席で発煙筒がたかれていたからだ。 






あぁオーストラリアでもこういうシーンが見られるようになったのか….と思っているとようやく Peter Green のホイッスルの音が鳴り響いた。



                                                                 続く